浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.111 (10/24)

敗戦をしたもののベガルタ仙台で感じることが出来た「PRIDE OF URAWA」

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

豊田:今回特集は先に行なわれた第4回『URAWA TOWN MEETING』の模様です。あのように現実に矢作アカデミーセンター長を迎え、町田隆治さん(FC浦和、別所少年団監督)、吉野弘一さん(北浦和少年団監督)に同席いただくと、クラブとホーム浦和の育成に関する位置関係が文字どおり生で確認することができ安心しました。ところで編集長は、少年団特集号の本誌が小学校で陳列されていることが大きなモチベーションになっていると聞いています。周囲のサポーター仲間から「そのエピソードの詳細をもっと聞きたい」との声が出ているのですが……。

椛沢:それについて詳説させて頂くと、街の活動で本太小学校にお伺いした時に校長室に通されまして、非常に地域に対して協力的な校長先生がいらっしゃるのですが、校長室の本棚に目を移すと、FC浦和が全国制覇した時のレポートを掲載した本誌が本棚のガラス扉の向こうに立て掛けられていたんですね。その校長先生の前の代の先生が飾って頂いたようなのですが、メンバーの中に本太小学校の生徒さんがいたそうです。そのように地域の子供の活躍の証としてフットボール通信を置いて頂いていることに嬉しく思うと同時に使命感を感じる光景でした。

豊田:そのあたりの印象やエピソードは、とりわけ矢作さんや町田監督やイベントにお伝えしても良いのでは? 本誌のスタンスをより鮮明に知っていただくためにも、次回はそういう広がりの情報も積み重ねて、このテーマの充実を目指して行きましょう。また、先日は本誌次号掲載のために矢島慎也選手に会うことができました。

椛沢:そうですね。そのような地場のフットボール文化を支えるメディアとしても発信をしていきたいですね。そして矢島選手が本誌11月号に登場して頂くことになりました。もちろんセレクション理由は浦和出身だからですね(笑)。選手登場は、こちらも北浦和の先輩、山田直輝選手に続いて二人目です。

豊田:ピッチ上のプレー同様に、先輩の山田直輝君とはちょっと趣きを変えたクールな印象の好青年ですね。ただコメント内容においてはプレー技術に対する、相当なこだわりと熱さを感じることができました。特にシュートシーンでの落ち着きについて訊いた折に、「もとから冷静だったわけではない。繰り返し努力をし、指導陣やチームメイトの助言を得ながら作り上げた成果」と応えた表情などは非常に印象に残りました。

椛沢:直輝選手と共通するのは、吉野監督も評していた通り、「サッカー小僧」ということですね。これは浦和出身プレイヤーの特長でもあるのかもしれません。世界大会出場を目指すU-19日本代表に選出されて、レッズでは最大広島戦まで欠場となりますが、終盤戦のキーマンとしての活躍も期待される矢島選手のコメントにもご期待ください。

さて、先週末は、2位ベガルタ仙台との決戦でした。結果は皆さん、ご存知の通り3-2でレッズが敗戦しました。仙台には3,000人近いレッズサポーターが現地に駆けつけて、今季の山場となる試合を後押ししました。アウェイ側スタンドはどこもぎゅう詰めの状態でした。スタジアムのDJからは、「この試合に大きな声を出して応援しないで、いつやるんですか?」という煽りが入りつつも、レッズサポーターからは「俺たちはいつもやってるんだよ!」という対抗メッセージ。昨年は、震災直後ということもあり、仙台のスタンドからは張り詰めた緊張感とフットボールを通じた強い想いが伝わってきましたが、今年は好調仙台を楽しみにしているという違った盛り上がりを感じることができました。試合前には、レッズのスタンドから「PRIDE OF URAWA」と一枚ずつ文字が書かれた巨大ゲート旗が掲げられて、この試合にサポーターが求めるメッセージが伝えられました。”浦和の誇りを持ち、その姿勢を示して、この試合を勝利しよう。”と。

豊田:ユアスタはロケーションといいコールの反響といい雰囲気は最高です。TV観戦でしたが、参戦したレッズサポーターの心意気はしっかり伝わってきました。

椛沢:試合は、キックオフと同時に勢いをもって攻め立てる仙台に対して及び腰になってしまったような所がありました。誰もが重要な一戦、気持ちが抜けているはずはないのに、仙台の勢いそのまま、早々の2分に先制点を許してしまいます。宜しくなかったのは、今シーズン何度と見させられた形での失点だったことです。

豊田:参戦したサポーターたちからは「スタンドの心意気とピッチ上の乖離が耐えがたかった」というメールコメントが来ました。ここに来て勝負どころに不相応な軽いプレーミスが出るところは辛いです。

椛沢:その後も仙台のハイプレッシャーと芝のコンディションが悪いことも影響してか、レッズは気持ちを見せる前に自分たちのサッカーをどうするかということに迷ってしまてていたように見えました。そのまま全く自分たちのリズムが作れないまま前半を終えます。後半が始まる前には、レッズ側スタンドから再度、「PRIDE OF URAWA」の巨大ゲート旗が掲げられました。お前たち、浦和のプライドを見せろと。そしてスタンドから大音量ではっせられた「PRIDE OF URAWA」の歌声。これは後半45分間、止まることなく続けられたわけですが、この気持ちが伝わったのか、後半はレッズが息を吹き返しました。

豊田:言い訳にしてはいけないのですが、TVを通してみても確かにピッチコンディションが影響したようですね。ただアウェーとはいえ、それでナーバスになった部分を突かれるのはベテランをそろえた守備陣の評価として受容しがたい「弱さ」。それと形勢を立て直し始めた後半においても、ミドルレンジからのシュートの少なさはチームの合意なのでしょうか。

椛沢:多くのサポーターからもシュートをもっと打てという意見を聞きますが、よりゴールへの可能性の高いプレーを選択することを重要視しているとのことです。それが思い切りの無さに見えてしまうのも否めません。後半は、流れを少しずつ手繰り寄せている中、62分にウィルソンに追加点を決められてしまいます。ここもミスからカウンターを食らっての失点。しかしすぐさま64分に槙野が追撃の1点を決めて諦めない姿勢を見せます。これで流れに乗るかと思いきや、また79分にウィルソンに2点目となる追加点を決められてしまいました。これで3-1。しかしレッズは意地を見せて、82分にCKからマルシオが決めて1点差。その後にもマルシオが左サイドから低いクロスボールを受けてGKと1対1になりましたが、相手GK林にビックセーブをされて同点には出来ず、試合はこのまま3-2で終了しました。

豊田:残念で痛い敗戦ではありますが、攻めのカタチをゲーム中に作り直せたことは成果ととらえたいですね。

椛沢:はい。大事な一戦に敗れたわけですが、現場では終了のホイッスルと共に仙台の歓声を打ち消すくらいの大きな浦和レッズコールが起きました。健闘をしたレッズの選手への労いのコールでもあったと思いますし、残り5試合に向けて、今日の気持ちを忘れずに戦って欲しいというコールでもあったと思います。残り5試合、首位との勝ち点差は開きましたが、どうやってこの5試合を戦っていくかは問われる所です。このままズルズルと後退をしていくのか、歯を食いしばって勝利をもぎ取って終わるのか。もちろんレッズとしては、後者の姿勢を見せないといけません。我々サポーターもここで気落ちするのではなく、残り5試合をより一層、盛り上げて、後押しをしていきたい所です。

今週末はホーム埼玉スタジアムに戻って、セレッソ大阪戦です。札幌、仙台とリーグ戦は今季初の連敗中。しかもホームでの連敗です。残り5試合となりここが一番の踏ん張り所です。今こそサポーターも力を結集させて、チームを後押ししていきましょう。残り5試合、ファイズファイナルズの心意気で「浦和レッズこのままじゃ終われないぞ」と気持ちを伝えていきましょう。

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