浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.123 (1/25)

タウンミーティングでの橋本代表インタビューの反応。

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

豊田:浦和レッズはミシャ政権の2年目、宮崎での一次キャンプがスタートしました。開幕戦は昨年に続いてアウェーでの広島戦、ホーム開幕戦は名古屋グランパス戦などJ1のスケジュールも発表されるタイミング。どの専門紙にも開幕前にはおなじみの「戦力比較特集」が掲載され、担当された何人かのジャーナリストと話すこともできたのですが、おおむねJ各クラブの総合戦力も、選手スケールも横ばい状態なのでは?という見解が聞こえてきます。ワールドカップ予選の決着も近く、フランス代表に勝ったりしているザッケローニ・ジャパン関連のニュースは幅広く流布されていますが、J各クラブの動向を追うニュースは全国区においては停滞していると感じる部分がある。今週は編集長と河合貴子さんのライブディスカッションですが、チームの現場直近の情報はいかがでしたか?

椛沢:レッズの補強については、概ね良い補強だった。しかし世間を盛り上げるまでは行っていない。東京がラウール獲得に動いているという報道がされていましたが、レッズもそのくらいのビックネームが欲しいということをタカネエは話していました。Jリーグを盛り上げるためにという広い観点から立つとそのような攻めの姿勢も必要なのではないかと思う部分はあります。新戦力の横顔などについては、たかねえに詳細に聞いてきましたので、ライブディスカッションでご確認ください。

豊田:なるほど。ACL出場の件も含め、今年のオフは前向きになれる話題も多く短かったように感じます。開幕が楽しみです。さて、先週に掲載したタウンミーティングの橋本代表インタビュー、何人かの方たちから印象を聞くことができました。「よく言葉を引き出した」という意見をもらったのはうれしかったですが、実情は編集長も見たとおりです。橋本さんは自らの変化を伝えるホーム浦和に向けてのメッセージを、むしろ率先して発言してくれたと感じます。

椛沢:気がつけば、橋本代表は、レッズの代表として5年目のシーズンとなり、歴代でも長く代表を務めていることになります。長年務める中で、浦和の感覚というものは確実に掴まれてそれをしっかりと吸収して下さっているという印象は受けました。

豊田:同じく、私と同年代のレッズ支持者からは「橋本代表はどのような人物なのか」という質問がありました。そろそろ組織の内部を俯瞰する立場になっている層なので、ビジネス的な見地からのレッズのリーダー像に興味がひかれる、ということなのだと思います。橋本代表は誠実な人であることは間違いない。そして企業人ですね。人物批評をするつもりはないのですが(笑)たとえ話だけでお話しすれば、犬飼さんが次々と新しい成果に繋がる嗅覚を持ち、モノにするアイデアと行動力も持つも持つストライカーだとすると、橋本さんは律儀に身体を張ってチームの破綻を止めに行くタイプと思えました。まあ、私的にサッカー好きのたとえ話にすれば、犬飼さんがベルカンプ(元オランダ代表)なら、橋本さんはガットゥーゾ(元イタリア代表)というイメージかな。

椛沢:ラグビー出身ということもあり、非常に忍耐強い社長であるという評判も聞きますね。その時のクラブの状況もあると思いますので、代表のタイプは一概に推し量れない部分もありますが、これまでの仕事は堅実に築いて仕事をしてきたというイメージだとは思います。

豊田:時期的なめぐり合わせを考えると、クラブの時期的背景があるにしても橋本代表は「ポジティブな改革」よりも「組織維持」に集中しなければならなかった。非常にメンテナンス志向に支配された3年間をトップとして過ごされたと思います。私も仕事柄、企業トップの方とじかに接する機会も多いのですが、橋本さんは履歴を裏づけるタイプのリーダーでしたね。組織のセオリーとか自分自身が叩き込まれた原理原則をふまえた行動を、自分が納得できるまでは死守するタイプとお見受けしました。プロクラブのリーダーには現場情況に即応する柔軟性が求められますが、そこでは「自分の経験に立ち返れ」という思いが常にあったのでしょう。ファンはそこに歯がゆさも感じたでしょうが、ACL出場が決まったホーム最終戦の印象を「選手と各部署、サポーターの皆さんに対する感謝という思いしかなかった」というコメントには、橋本代表のキャラクターが如実に表れていると感じました。

椛沢:現場を信頼しながら、裏方として我慢して築いていく中で、チームが期待通り、それ以上の結果を残してくれたという意味での「感謝」だったのかもしれませんね。

豊田:ただね、社長がどのような人物であるかを心底確かめたいのであれば、タウンミーティングへの参加をお勧めしますよ。クラブサイドはもはや社長を押し立てることは前提にして、ホーム浦和の街中に来てくれているわけですから。さて、高校サッカー選手権においては宮崎県代表の鵬翔高校が初の優勝をかざりました。牙城を築いて来た九州勢ですが、宮崎県からは初のチャンピオンチームの出現なのですね。ベスト8進出校にすべて優勝経験がなく、高校サッカーの普及地図も大きく変わった印象です。大会を通じて感じたのは、選手のパス回しなどの技量は一段とアップした印象は受けました。でも全体的に選手もチームもやや小粒のスケールになった印象は拭えない。一発勝負のトーナメント戦であるせいか、守備固めから作られたチームが多かったことも気になりました。

椛沢:私も実際の為人は膝を付け合わせて話をしないと分からない部分がありますから、自ら当事者となって直にコミュニケーションを取って欲しいと思いますね。
高校選手権については、近年言われ続ける通り、全国のレベルの均衡化になっていると思います。準優勝となった京都橘は初戦で埼玉代表の正智深谷と対戦してPKでの決着となっていることを考えても正智深谷が決勝まで行ってもおかしくはなかったのではないかと思ってしまいます。今や才能の行く先がJユース、高校サッカーという順序になっているだけに、他を圧倒した戦力を持つというのは難しいのかもしれません。その状況においても高校サッカーは人間教育の中でのサッカー指導という部分において、Jユースよりも先を行っていると思いますので、このノウハウをうまく使って行って欲しいと思っています。

豊田:レッズのアカデミーはこの高校生年代の育成成果を問われるわけですが、ユース年代に詳しいファンからは、レッズアカデミーの育成や試合現場の報告が欲しいという声もいただいています。浦和レッズユースは、残念ながら昨年末にプレミアリーグEASTで9位に終わり、この東日本のトップグループから降格する結末を迎えている。主力選手もトップチームへの昇格ができない情況があり、選手たちは大学進学を経てレッズのトップへの復帰を目指す意向とのことですね。『浦和フットボール通信』は変わらず地元での育成事情のニュースも追って欲しいです。

椛沢:今年から浦和レッズ史上初めての小学生年代のジュニアチームも始動しますから、この辺りからレッズアカデミーにおける地元の育成事情ということも報告していけたらと考えています。

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