浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】苦しみながらも2ndステージ開幕勝利。無敗記録を18に。2015Jリー グ2ndステージ第1節vs松本山雅戦<宇賀神、興梠、武藤、西川、槙野、ペトロヴィッチ監督コメントあり>(2015/7/12)

今日のポイント!「終了間際の選手達の判断」

先制点と追加点を奪えたことは、良かった。しかし、松本が後半にロングボールやロングスローを多用することで、試合を落ち着かせることが出来ずに難しい展開になってしまった。

試合終了間際の浦和のFKのチャンス時に、ミシャ監督は、選手たちに上がれと指示を出した。しかし、相手がカウンターを狙っている中で宇賀神友弥選手や槙野智章選手などが異を唱えて残った。

試合後に宇賀神選手は「松本の選手が3人残っていたし、キャッチされてカウンターがあった。マキがドイツ語で監督に話してくれた。ピッチで感じていることと、監督の思いが違うことがある。言い合いは、悪くないことだ」と話していた。

確かに浦和のFKは、ゴールを狙うチャンスだったが、逆に松本がカウンターからゴールを決めるチャンスにもなり得る。FKのチャンスを生かして3-1になったかも知れないが、勝ち点3が勝ち点1になる可能性もあった。選手たちが、時間帯を考えて、無理して上がらずにリスクマネジメントしていた。しっかりとピッチの中で状況を把握して、感じたことをミシャ監督に伝えることが出来た。選手たちのメンタル的な強さと的確な状況判断が良かったと思う。選手たちの成長が頼もしく感じた。

興梠「相手がよく研究をしてきた」

緑深きアルプスの山々に囲まれた松本平広域公園総合球戯場に、西日が射しこみ赤くスタジアムを染めていた。2ndステージから大旗が解禁となり、浦和から駆けつけたサポーターの大旗が勇ましく振られていた。2009年天皇杯で訪れた時とは、スタジアムの様子は変わり、この地にしっかりとフットボールが根付いていることを感じさせてくれるほど、松本のファン・サポーターは熱く、アルプスの山のように緑で埋め尽くされていた。

照明塔に灯りがともり夕闇が迫る19時4分、浦和のキックオフで試合が始まった。松本は、浦和がゴール前に斜めに走り込むスペースを消すために、1枚DFを余らす守備をとりながらマンツーマンディフェンスを敷いてきた。しかし、立ち上がりから浦和は、テンポの良いパス回しから積極的に仕掛けていった。5分、那須大亮選手から大きく宇賀神友弥選手へ展開すると、宇賀神選手の横パスを武藤雄樹選手がスルーして興梠慎三選手へ。その興梠選手がペナルティーエリア内に飛び込んだ武藤選手に浮球を送るもわずかにタイミングが合わず相手DFにクリアされてしまった。

興梠選手は「シャドーにボールが入った時に、『フリックしてくるぞ!』って松本のDFがしゃべっていた。研究していて、一番嫌なところを突いていた。シャドーにマークが1人いて、僕の所に相手のキャプテン(飯田真輝選手)とその後ろに1枚DFが余る感じでいた。DFの裏を抜けなかった。分析して来るチームに対して、崩せるサッカーをしたいと思った」と松本の守備に対して話した。

武藤「厳しいマークの中で先制点が獲れて良かった」

しつこい相手の守備を掻い潜りながら、浦和は焦らずにボールを保持してチャンスを覗っていた。そして12分、那須選手がドリブルで持ち上がり興梠選手へ楔のパスを入れると、興梠選手の落としを阿部勇樹選手がドリブルで相手DFを交わして森脇良太選手へ。上手く相手マークを外した森脇選手のクロスを武藤選手がファーサイドでヘディングシュート!浦和の流れるような展開で松本ディフェンスにギャップが生まれて、浦和が先制点を叩き出した。

先制点を決めた武藤選手は「守りを相手が固めて来ている中で、ピンポイントの落としから阿部さんが持ちこんで、サイドが空いて森脇さんが良いボールをくれた。なんとなく、ファーに来ると思っていた。松本が退いて来るのは、想定内だった。厳しいマークの中で先制点が獲れて良かった。」と安堵の表情を浮かべた。興梠選手は「1点目は、ボランチのサポートが早いと上手く入れ代われて、浦和がやりたいサッカーが出来た。

その後も浦和ペースで試合が進むものの、20分には松本がチャンスを作り出した。ゴールライン際のボール処理が甘く、そこに付け込んだ前田真輝選手がボールをキープして、岩上祐三選手へ。岩上選手のペナルティーエリア左からの早いクロスにゴール前に飛び込んで来た喜山康平選手がシュートを放つも西川周作選手のファインセーブに助けられた。

浦和は、しっかりと後方でボールを保持しながら、相手の隙を突いて、サイドチェンジや細かいダイレクトパスなど攻撃のバリエーションを見せながら追加点のチャンスを覗っていた。マンマークを外そうと武藤選手と梅崎司選手がポジションチェンジを試みても、マークはそのまま着いてきた。「びっくりした。どこまでも着いて来たから・・・」と驚きを隠せないでいた。

ミシャ監督は「前半は、8バックに近い守備をして来る中で崩して得点した。相手は、リードされている展開になったのに、全くボールを獲りに来なかった。我々は、機を見てエリア内に進入して得点チャンスは作れた」と前半を振り返った。
松本にチャンスらしいチャンスを与えずに、主導権を握る浦和だが、追加点が奪えず前半1-0で折り返した。

追加点を奪うも、その後は松本ペースで苦戦

後半も立ち上がりから浦和のペースであった。待望の追加点が生まれたのは、52分梅崎選手とワンツーで抜け出した柏木陽介選手がマイナスのクロスをゴール前に入れてチャンスを作り出したが、相手ディフェンスがクリア。そのこぼれ球を拾った興梠選手が冷静に相手DF交わした右足シュートが決まった。

2点浦和がリードすると、直ぐに松本は飯尾竜太朗選手に代えて得点力のあるオビナ選手を投入。浦和も60分、梅崎選手に代えてズラタン選手を投入し攻撃の活性化を図った。だが、62分に岩上選手の右CKをファーサイド喜山選手がヘッドで折り返し、酒井隆介選手に決められて2-1と1点差とされた。

「後半は、ボールが芝の上を転がっているよりも宙に浮いている時間が長かった。2-1になってからは、松本が主導権を握り、それに付き合う形になってしまった。自分たちのチームの出来に関しては、良いといえない内容だった。松本は、セットやロングスローから追い付けるチャンスがあった」とミシャ監督が思わず言うほど、松本は中盤を省略してロングフィードやロングスローを入れてきた。

西川選手は「ライトが低くて、ロングスローで照明が被りやり辛かった。慌てずにやろうと話した。(セットの失点シーン)1人マークが足りなかったが、いけると思った。リスクを背負った」と悔しそうに話した。

松本に主導権を握られながらも、浦和は72分に宇賀神友弥選手から逆サイドの関根貴大選手へ大きく展開すると、関根選手のクロスに対して、ニアに走り込んで来た柏木選手がゴールを狙うが、枠を捉えることが出来なかった。

79分には、武藤選手に代えて青木拓矢選手を投入。85分には興梠選手に代わり李忠成選手を投入して、試合の流れを変えようと試みた。しかし、その直後の86分に岩上選手の左サイドからのロングスローを飯田選手が競り勝ち酒井選手へ、酒井選手の強烈なシュートはクロスバーに直撃!5分と長いアディショナルタイムも松本はパワープレーで攻め続けたが、浦和が踏ん張り2-1で逃げ切り、松本を下した。

オビナ選手に対して、槙野智章選手が身体を張った守備で押さえていった。途中で槙野選手が倒れ込むシーンもあったが「サッカーしていたら、分かると思うが・・・。ケツの穴が開いただけ」と大事に至らず笑いながら話していた。そして「2-0から失点してバタバタしてしまった。2点目、3点目と畳み掛けられればよかった。ロングボールやロングスロー、CKとピンチがあった。ラインを下げないことがテーマだった。我慢強さで勝ち切った」と話した。

宇賀神選手は「前半は、相手が退いて来てブロックの中で先制出来たのは良かった。マンツーマンで良い形で受けられなかった。後半は、ロングとセットで苦しめられた。難しかった。ロングを蹴られるのを、全部止めるのは無理だと割り切った」と試合を振り返った。

前半は、マンツーマンのしつこい守備の中から浦和らしく崩して得点が生まれた。後半は中盤を省略した相手に浦和の良さを消されてしまった。それでも、選手たちは我慢強く闘い無敗記録を18に更新し2ndステージを白星スタートで飾った。

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