浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】西川「サッカーは1人じゃない。ミスしてもそれをカバー出来る仲間がいるスポーツだ」2015Jリーグ2ndステージ第3節vsサンフレッチェ広島<柏木、武藤、高木、永田、関根、西川コメントあり>(2015/7/20)

今日のワンポイント!!「全ては決定機を物に出来なかったこと」

無敗記録が途切れ、年間の勝ち点を2差まで広島に詰め寄られてしまった。浦和のシュート数は広島の12本に対して約2倍の23本であった。その内、決定的なチャンスは何回あっただろうか?!

柏木陽介選手は「チャンスがあって、決められず。負けたのは、俺のせいだ。勝てる試合を俺が負け試合にした」と決定機を逃した責任を感じていた。高木俊幸選手も得点を決められずに責任を感じていた。武藤雄樹選手は「前半に、3~4点入ってもおかしくなかった。最後の精度の部分だ」と話した。

水本裕貴選手は「前半は、身体が動けなかった。1失点で済んだから立て直せた。ハーフタイムに監督から叱られた」と話した。また、佐藤寿人選手は「良く勝てました。前半は、ボコボコだった。本当に良く勝てたと思う。だから、サッカーは恐い」と話した。

全ては、決定機を物に出来なかったことだ。だが、下を向くことは無い。柏木選手は「ここから無敗を続けて最後まで行きたい!」と力強く言った。次節の名古屋戦からまた気持ちを新たに再スタートで勝利を目指す!

永田、高木がスタメンに名を連ねる。

夏が来た!!関東地方の梅雨明けが宣言された7月19日。2ndステージ開幕3連戦の最後の試合となる広島戦が、埼玉スタジアムで行われた。

2ndステージ制覇と年間勝ち点1位を目指す浦和にとっては、年間順位2位につける広島を絶対に叩いておきたい。日本代表のハリルホジッチ監督や来日していたギド・ブッフバルト元監督など誰もが注目する一戦は、気温29.1℃、湿度80%と蒸し暑く、中3日の3連戦と選手たちにとって過酷なコンディションであった。

浦和は、出場停止の那須大亮選手に代わり、永田充選手が6月3日の柏戦以来のスタメンとなり、右足ふくらはぎに張りがある梅崎司選手に代わり高木俊幸選手が4月29日の甲府戦以来のスタメン起用となった。

浦和のキックオフで始まった試合は、試合の立ち上がりから浦和が主導権を握った。広島は、予想通り両ワイドの選手が退いて5DFとなり5-4-1と守備的に成らざるを得なかった。

「ブロックを退いて来るチームは、他にもあるが、広島はそんなに厳しいマークではなく、フリックもターンも出来た。ただ、浦和のサッカーは足元のパスが多く、足元に入ったところを狙われてカウンターをされてしまった」と武藤選手は話した。

6分、永田充選手から武藤雄樹選手にロングボールが入ると、武藤選手から横パスを受けた興梠慎三選手がシュート!7分には、左に流れた高木選手のクロスを武藤選手が合わせようとするも僅かに合わずにいた。カウンターのチャンスを覗う広島は、柴崎晃誠選手が柏木陽介選手と競りながら左サイドをえぐり、ペナルティーエリア内に進入した途端に左太腿を押さえるように倒れ込んだ。そばで見守っていた森脇良太選手が、広島ベンチに向けて×印を送った。不足の事態に、広島は柴崎選手に代えて野津田岳人選手を投入されたが、広島はやり方を変えることは無かった。

高木「自分を信じて蹴らせてくれたチームメイトに、本当に申し訳ない」

とにかく、浦和は自分たちのリズムで攻め続けた。17分には森脇選手から斜めにボールを受けた興梠慎三選手が、身体を反転させてゴールを狙うも枠の外。その直後に相手のパスミスから興梠選手が走りこんで来た柏木選手へ、柏木選手のシュートもゴールネットを揺らすことが出来なかった。そして、24分永田選手から柏木選手へと楔のパスが入ると柏木選手がペナルティーエリア内に走り込んで来た高木選手へ、これに慌てた広島DFが思わず高木選手を倒してPKを獲得。自らボールをセットしていたが、青山敏弘選手がボールを置き直して高木選手の集中を切らすことをして来た。

高木選手は「攻撃の起点になれるシーンは、多かった。プレー事態は、悪くなかった。良い感触はあったけど・・・・。ボールを直されたのは、関係ない。自分は、あっちのコースに最初から決めて撃つつもりだった。動作が、読まれたのか・・・。たまたまなのか・・・。そこを逆に変える自分には、冷静さが無かった。決めた方に思いっきり蹴った。技術的なミスと言うよりも、自分の持っている運なのか・・・。実力なのか・・・。今の実力なのか」とポツリ、ポツリとPKのシーンを振り返った。高木選手がゴール左隅を狙って蹴ったPKをGK林卓人選手は見事に読んでいた。弾かれたボールに誰よりも早く槙野智章選手がヘディングで反応したが、決め切れずにいた。そして「誰かが蹴ると言う訳ではなく、自分が獲ったPKを蹴ろうと決めていた。誰も異議を言わなかった。自分を信じて蹴らせてくれたチームメイトに、本当に申し訳ない」と下を向いた。

大きな決定機を生かせない浦和は、気持ちを切り替えて攻め続けた。そして、35、分セカンドボールを拾った高木選手からエリア内の関根選手へとパスが通り、関根選手のシュート気味のクロスがゴールへと吸い込まれて、待望の先制点が浦和に転がり込んで来た。

関根選手は「山形戦は、余り良くなかったので、良いゲームをしようと意識して入った。DFとGKの間を狙ったシュートではなく、クロスです」と話した。その後も浦和のチャンスを作り続け、アディショナルタイムの決定的な宇賀神友弥選手のループシュートも決まらず、追加点が奪えないまま前半を1-0で折り返した。

永田「自分の思いでやってみようとふっ切れた」

後半も立ち上がりから、浦和のペースで試合が進んだ。50分には、槙野選手のドリブル突破から生まれたチャンスに高木選手がゴールを狙うも決まらず、60分には、武藤選手のドリブル突破から得た直接FKを柏木選手が狙うが、林選手に阻まれて決まらず、更に64分には、左に流れた高木選手のクロスに興梠選手がゴールを狙って飛び込むが林選手が素早く反応してクリア。その零れ球をフリーで拾った柏木選手のシュートも決まらずにいた。

浦和に主導権を握られ続けた広島は、65分佐藤寿人選手から足の速い浅野拓磨選手を投入して試合の流れを引き寄せた。67分にドウグラス選手から浅野選手へと鋭いカウンター攻撃で1-1の同点とされてしまった。西川周作選手は「裏に抜け出され、1対1となり彼の勢いで決められてしまった」と悔しがった。

ミシャ監督は、試合後の記者会見場に現れると、水を一口飲んで「今日は、非常に良いゲームが出来た。65分に追い付かれるまでは、稀に見るアグレッシブなプレッシングと連動した攻撃が見られるゲームだった」と話した。

70分、高木選手に代えてズラタン選手を入れて、ズラタン選手のワントップへと変更し、その3分後には、永田選手に代えて鈴木啓太選手を入れて、阿部勇樹選手をDFへとチェンジした。永田選手は「自分の思いでやってみようとふっ切れた。後ろからの繋ぎの部分は、出来ていた。前のサポートも出来た。守りやすかった」と自身のプレーに手応えを感じていた。そして「足がピクピクして来て、チームに迷惑を掛けられないので、足に来ているとベンチに伝えた。続けていかないといけない。90分、プレーすることも大事だ。勝てないことが一番、悔しい!こういうチャンスは、何回も来ることではない。勝ち切ることを追求してやりたい」と悔しがった。永田選手は暑さとハードワーク、そして久しぶりの試合で疲れが足に来ていたのだ。

虎視眈々と逆転を狙う広島は、77分にドウグラス選手に代えて森崎浩司選手を投入して来た。森脇選手も足が攣り始め、選手たちが身体的に厳しい時間帯となった84分に、広島はまたもカウンターを仕掛けて来た。浅野選手がドリブルで中央突破を仕掛けて来た。何とか、阿部選手と槙野選手が対応したが、その零れ球を青山選手がダイレクトで右足を振り抜きゴールへ叩き込み1-2と逆転されてしまった。

「上手くDFが浅野を止めてくれたが、アオは冷静だった。試合前に、アオがゴール前に顔を出したら必ずゴールを決めるって、警戒していたのに・・・」と西川選手は頭をかいた。

浦和は、86分に最後の切り札として宇賀神選手に代えて李忠成選手を投入し、反撃を試みた。90分には、鈴木選手からパスを受けた槙野選手が相手DFに身体を入れてゴールに向かうドリブルからゴールを狙うが、ゴールネットを揺らすことが出来なかった。アディショナルタイムは、4分。最後まで諦めずに攻め続けた90+3分、最後の力を振り絞った槙野選手のアーリークロスをゴール前でズラタン選手がヘディングシュート!!しかし、僅かにゴールの上へ逸れ、埼玉スタジアムは悲鳴に近いため息に包まれてしまった。

敗戦に責任を感じて男泣きした高木選手は「この試合、ちょっとプレーがどうのと言うより、結果が全てだ。大きく自分のミスが絡んでしまった。気持ちを切り変えるのは簡単ではない。今の自分を出し切ろうとして100%やった結果、あっーなってしまった。そこが悔しい。自分にとって、これ以上残酷な結果は無いと思う」と打ちひしがれていた。場内を回った時も「サポーターの声は、聞こえた。今は、ポジティブな声が入ってきずらい。シーズンが続く中、このまま自分のメンタルがどうなるか分からない」と試合直後だけにショックを隠せないでいた。

高木選手に「お前のせいじゃない!」と声を掛けた西川選手は「責任を取ろうとする姿勢は素晴らしい。でも、サッカーは1人じゃない。ミスしてもそれをカバー出来る仲間がいるスポーツだ。この悔しさを生かして欲しい」と話した。

再三訪れたチャンスを生かせずに1-2と惜敗した広島戦。試合後、森保一監督は「もう一度、チャンピオンシップで浦和を叩かないといけない」と話した。広島との対戦が本当に楽しみになった。「この悔しさを絶対に忘れない。負けたあとの試合が大事だ!」と選手たちは心に刻んで埼玉スタジアムを後にした。

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