浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】プレナスなでしこリーグ1部・第4節 vsコノミヤ・スペランツァ大阪高槻<加藤、後藤、吉良、北川、清家コメントあり>

今日のポイント!

CKからのセットプレーで失点する前までは、サイドチェンジからボールサイドの2列目の加藤千佳選手か塩越柚歩選手が中にポジションを取り、サイドバックの北川ひかる選手か乗松瑠華選手がオーバラップしてバランスの良い攻撃の組み立てが出来ていた。しかし、失点してから若さゆえの焦りがチームに出てしまい縦に急ぎ過ぎてバランスを崩してしまった。

加藤千佳選手は「勝てていないのが大きい。今日、立ち上がりから良い形が出来ていたのに1点が遠い」と話し、高畑志帆選手は「攻め急いで、失点を重ねた。先にボールを触る。個々で勝たないとチームとして良い方向にいかない」と険しい表情を浮かべていた。

大阪高槻に先制点を獲られ、浦和は自滅してしまった。立ち上がりから見せていた攻撃が先制点により崩れたのが、本当に残念でならない。焦らず、慌てずにゲームをコントロールする力があれば逆転が出来たはずだ。

キャプテン後藤三知選手は「相手の戦い方のポイントを押さえて準備したことが、勝ちに繋がっていない。どれだけピッチで闘い、どれだけ走れるか・・・。上回る気持ちで準備して行きたい。自分たちが自信をなくしたらダメだ」と気合いを入れ直していた。

吉田監督も「後ろ向きにならず、前を向いて自信を持たす」と力強く話した。

1勝が遠く、大阪高槻に破れ最下位に沈む。

浦和駒場スタジアムの上空を駆け抜けるように、雲が流れていった。雨が降ったり止んだりと強風が吹き荒れる春の嵐となった4月17日。今シーズンの初勝利を目指して、浦和はレッズレディースは、3連敗中のコノミヤ・スペランツァ大阪高槻をホームに向かえた。

前節の長野戦でチームの中心である猶本光選手が左足首を捻挫したため、長野風花選手と柴田華絵選手のダブルボランチに置き、塩越柚歩選手を初先発で右の2列目で起用した。吉田靖監督は「柴田を中で使って、点を獲る長野の展開に期待した」と話した。

コイントスに勝った浦和は、風上を選択し前半から勝負に出た。試合開始早々の2分、北川ひかる選手のドリブル突破から塩越選手がヘディングシュート!

8分には、柴田選手の折り返しに吉良知夏選手が合わせてゴール右上を狙い、続く11分にはこぼれ球を拾った長野選手から加藤千佳選手へ、加藤選手のアーリークロスをファーサイドで吉良選手がヘディングシュートを放つも枠を捉えることが出来ずにいた。

チャンスを生かせなかった吉良選手は「最初のチャンスは、ハナから(柴田選手)横パスを受けた。ボールの置き所が悪く、噛んでしまった。千佳の(加藤選手)クロスも決定的なチャンスだった」と悔しがった。

北川選手は「相手が5DFくることを想定して練習をしてきた。風とかあったが、崩せてチャンスは作れていたが、点が入らなかった」と悔し涙がこぼれた。

3DFの大阪高槻は、守備の時に両ワイドの選手が下がり5DFを形成し、攻守の切り替えが早く攻撃では一気に両ワイドが高いポジションを取り、中盤を厚くしてきた。左ワイドの倉員史帆選手にドリブルから左CKを獲得。虎尾直美選手の左CKをゴール中央で佐藤楓選手のヘディングシュートが決まり、大阪高槻が先制。

1点を追う展開となった浦和は、風上の前半のうちに同点に追いつこうと試みるものの、攻撃が上手く噛み合わずに苦しい展開へと追い込まれていってしまった。

吉田監督は「チャンスで点が獲れなくて、相手のセットプレーでやられて焦ってしまった。精神的に落ち着いてプレーをするのが難しかった。相手の5DFは想定していて、左右を揺さぶり良い形は作っていたが、1点獲られると縦に急ぎ過ぎて5DFを崩せなかった」と話した。

前半は、立ち上がりから良いゲームの入りを見せるも失点から攻撃の組み立てが上手く行かず0-1で折り返すことになってしまった。

風下に回った後半は、風の影響を考えて繋ぐことを意識して浦和は挑んだ。だが、大阪高槻の素早い攻守の切り替えに主導権を奪われてしまった。流れを呼び戻すために、アップしていた栗島朱里選手を呼んで交代準備をしていた矢先の62分、成宮唯選手が豊富な運動量を見せつけるようにボランチの丸山桂里奈選手をクッションに使い、再びボールを受けるとサラ・グレゴリアス選手に預けてから横パスを貰いミドルシュートを放って来た。成宮選手の右足ミドルシュートは、池田咲紀子選手の手をすり抜けるようにゴール左隅へと叩き込まれてしまった。

浦和は、63分に塩越選手に代えて栗島選手を投入し、ボランチの柴田選手を右の2列目へとポジションを代え、更に65分には後藤三知選手に代え清家貴子選手を投入し、70分には加藤選手に代えて前節の長野戦で意地のゴールを決めた特定指定選手の山守杏奈選手を投入して打開策を求めていった。

清家選手は「全員でやろうとしていることは、分かっている。だがそれを上手くプレーで再現出来ない。サイドチェンジからハーフが中に入ったところからの崩しを狙っていた。相手のDFラインが下がり裏までボールが届かなかった」と持ち味のスピードを生かした攻撃参加が出来なかった。

そして、71分には成宮選手がドリブルで駆け上がり巴月優希選手へ、巴月選手がドリブルでDFを釣り走り込んだ成宮選手へ、成宮選手が冷静にゴールを決めて0-3と浦和を突き放した。

何とか1点でも返そうと78分には、山守選手のドリブル突破から清家選手が飛び込むも決まらず、CKからのこぼれ球を山守選手がミドルシュートを放つも決まらず、時間だけ虚しく過ぎて行った。

そして、アディショナル3分。本並健治監督はアディショナルタイムに残された交代3枠を時間差できっちり使いゲームを閉めた。浦和からしたら屈辱的で、本当に嫌らしい時間の使い方であった。0-3で大阪高槻の初勝利を献上した浦和は、日テレと引き分けで終ったなでしこリーグ開幕戦の勝ち点1のみで最下位となってしまった。

4試合終了して勝ち点1の最下位だが、選手たちの奮起を期待したい。次節は4月24日アウェイで岡山湯郷ベルと対戦し、30日にはホームでINAC神戸戦へと続く。ここから、浦和レッズレディースの意地を見せ旋風を巻き起こして浮上していく切っ掛けを掴みたい。

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