浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.134 (4/18)

史上最高の舞台へ。上位対決で挑む”さいたまダービー”

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末は、ホーム埼スタに湘南ベルマーレを迎えての一戦でした。激闘の韓国アウェーを終えて、昇格チームの湘南との対戦ということで、気持ちのエアーポケットに入ってしまいそうな雰囲気の試合になりましたが、取りこぼすことなく2-0で勝利することができました。埼スタには36,477人が集まり、今のサッカーへの期待が表れている観客動員数だったように思えます。

豊田:こういうゲームを落とさなくなりました。苦戦しましたが「悪いなりにまとめる」という戦力とモチベーション維持が困難なことはご存知の通り。埼玉スタジアムからの帰り道ではファンの間から「このゲーム、危ないと思っていた」という言葉がもれ聞こえていましたが、同意です。韓国での非常に苦しいアウェー戦をこなした後であることも考えると、ミシャ監督以下の現場スタッフに敬意を表すしかない。戦い方を一貫させた上でターンオーバーの人員を用意し、結果も残す。このあたりが戦術継続を提唱しながらもなかなか結果に結びつかなかったフィンケ体制とは違うところでしょう。埼スタの動員のもの足りなさを指摘する声もあるようですが、やはり特筆すべきものと思います。動員記録トップに関してレッズは2003年から3年に渡って新潟に王座を明け渡した経緯がありますが、アルビレックスも今季は上位対決が続きながらビッグスワンに3万人を集められずにいる(注:浦和戦=3月30日 29,095人)。この動員数と雰囲気を作り続けている埼玉スタジアムは、やはり誇るべき場所と言えるでしょう。

椛沢:湘南の監督は、チョウ・キジェ監督で、紛れもない浦和レッズのOB。Jリーグ初期のレッズを支えたディフェンダーでした。ギド・ブッフバルト、田口視則、チョウ・キジェの3バックは強固なディフェンスラインを作り、95年のレッズ躍進の立役者と言っても良い活躍だったことを今も思い出します。引退後は川崎フロンターレのアシスタントコーチ、ジュニアユース監督、セレッソ大阪コーチ、湘南ベルマーレU-18監督を務め、2009年より湘南ベルマーレアシスタントコーチ。2012年より湘南トップチームの監督に昇格と、着実に指導者としてのステップアップを踏んでこられました。こうしてレッズOBが指導者として活躍する姿も嬉しいものです。

豊田:懐かしいですね。オールドファンで彼に思い入れを持つサポーターは多いはず。当時オフィシャルガイドの仕事で彼のインタビュー現場に居合わせたことがあるのですが、あの頃のレッズのイメージそのままに素朴で明るい笑顔の選手であったことを覚えています。また、当時の同好会サッカーの相手に日立グループ勤務の人たちが中心となったチームがあったのですが、女性メンバーも含めた「チョウ君を応援する会」なんて作って駒場に来ていましたよ。母体は日立なのに、と不思議に思ったのですが、これも彼の人柄のなせる現象だったのかも知れません。バジール・ボリ選手の補強がなかったら、まだまだ浦和で活躍できるタレントだったと思います。

椛沢:試合は、興梠慎三の移籍後初ゴールがようやく決まり、先制。その後もチャンスを幾度となく作り、湘南を圧倒する形にはなりましたが、最後を決めきれないという課題は、まだ残ったまま。柏木のCKが強風に押されて直接ゴールに入り、追加点が入り、勝負は決まりましたが、あと2点、3点は入っていても良い内容でした。興梠もようやくゴールを決めることが出来て、彼が得点を重ねることが出来るような状況になってくれば、よりレッズの試合運びは楽になってくるでしょう。

豊田:興梠選手に関しては、面目躍如の形でゴールできたことはPKで無得点を脱出するよりは彼自身にとっても吹っ切れたのではないでしょうか。柏木選手に関しては、欲しいところで見事に決めてくれた。ラッキーな部分もありましたが、あの追加点がなかったら危なかった。

椛沢:そして今週末は、敵地大宮に乗り込んでの“さいたまダービー”です。大宮は昨年から17戦負けなしのJリーグタイ記録を作り、浦和に続く3位につけており、過去の対戦でも例を見ない上位対決でのさいたまダービーとなりました。サッカー専門誌では特集がくまれて「埼強対決」と煽っていましたね。大宮はベルデニック監督の下、守備を整備して失点が減り、前線にはズラタン、ノヴァコヴィッチと強烈な個性が決めるという形です。地味で、手堅いサッカーをするベルデニックは大宮のカラーに合っているのかもしれません。前節のC大阪戦を見ても非常に手ごわい相手になっていることは確かです。

豊田:駅界隈のフットボール論客の間でも、アルディージャは格好のネタになっている。いちばん「らしい指揮官」のもとで「らしいサッカー」に落ち着いたという見方です。名古屋や仙台では失敗キャリアを持つズデンコ・ベルデニック監督ですが、イビチャ・オシムの盟友として、不振にあえいでいたジェフ市原を早々にステージ2位に上げて見せた実績もある。守りから布陣を固め、ストライカーに仕上げさせるサッカーのイメージがあることは事実ですが……骨肉腫に倒れた塚本泰史選手の背番号を受継いだ盟友の菊池光将選手(ともに浦和東高校OB)を中心に、大宮はまとまりを見せていますね。ジュニアの成果はかねてから話題になっていたが、金沢慎選手や渡部大輔選手以下のユース出身メンバーが台頭してきました。中大で全日本大学選抜に選ばれた今村智基選手はジュニアユースから、U-17日本代表だった宮崎泰右もクラブアカデミー時代から注目を集めていたタレント。ナビスコ予選でのプレーが話題になっていたので、横浜Fマリノス戦を録画観戦したのですが、敵地三ツ沢で現在絶好調の相手に完封勝ちを演じていました。

椛沢:上位対決でもあるということで、世間的に、ここまで注目される“さいたまダービー”は初めてかもしれません。負けるわけにはいかない状況にもなり、非常に楽しみな一戦となりました。ダービーの後は、こちらも決勝トーナメント進出には負けられないACL広州戦、そして宿敵・清水戦と重要な一戦が続く第1ラウンドですから、浦和らしく全力でぶつかり、勝利を目指していきましょう。

豊田:大宮も紆余曲折はあったと聞きますが、本誌インタビューで清雲栄純さん(当時GM)が「とにもかくにも“レッズのやらない部分、できない部分”を地元さいたま市内でやり続ける」と宣言されていたのを思い出します。私自身の中では、いまの大宮ならダービーの相手として不足はない(笑)。2位と3位の対決ですか? これほど注目される対戦は、J2時代の初対戦以来かも。負けられません。

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