浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.142 (6/6)

5大会連続のワールドカップ出場決定。いまある繁栄をいまだに信じられない気分

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:火曜日には、我らがホーム埼玉スタジアムで、ワールドカップ最終予選のオーストラリア戦が行われて、1-1の引き分けにより、日本代表が5大会連続のワールドカップ出場を決めました。5大会連続のワールドカップ出場は、オールドサッカーファンの豊田さんからすると想像もしえなかった未来ではないでしょうか。

豊田:日本サッカーは、私たちの世代が生まれる前の54年大会予選決勝で韓国に敗れて出場を逃して以来、ジョホールバルの岡野ゴールを見届けるまでに43年かかっていますからね。いまある繁栄をいまだに信じられない気分で見ている自分がいます。歳をとったなあ、と(苦笑)。でも編集長もあと10年も経つと「ドーハの悲劇」などは現実味が薄れてくる気分を味わうことになるはず。そういう時に身の回り、至近距離、それも自分の街にプロサッカークラブがあることに改めて感じ入ることができるんです。

椛沢:私はJリーグ創設と共に育ったサポーター世代なので、代表の歴史は、あの“ドーハの悲劇”からです。フランスワールドカップの予選は熱狂しました。日本のワールドカップ初出場を決めたジョホールバルでは、我らが岡野雅行が決勝Vゴールを決めてくれたので、喜びは一入でした。浦和伊勢丹での報告会で岡野が帰ってきた時の浦和の熱狂も半端ではなかったのは思い出深いですね。世間的にもワールドカップ出場で盛り上がっていますが、それぞれの地域にあるクラブ、Jリーグが根幹にあっての日本代表、ワールドカップ出場という流れがもっと出来てくると良い。我らが街から育った子が浦和から世界へというシーンがもっと出てくれば、岡野の熱狂以上の浦和ならではの盛り上がりが出てくるでしょうね。

豊田:元気や直輝が取り仕切る代表に、いまのジュニアや少年団年代の才能もやがて名を連ねて日本開催の桧舞台に……なんてね。いまは夢でも、本誌としては実現させたいミッションです。

椛沢:盛り上がるでしょうね(笑)。残念ながら現在の代表にレッズのメンバーは選ばれていませんが、今回のチームのキャプテンはレッズOBの長谷部誠が務めており、誇らしい気持ちになります。その代表チームは一時期に比べると成長が停滞しているという声も聞かれますが、本大会までの一年間で、新戦力がどれだけ台頭をしてきて、世界トップレベルに近づけるかが勝負になります。今月はコンフェデレーションズカップがブラジルで行われて、代表はブラジル、イタリア、メキシコの各大陸王者との対戦になりますので、そちらも楽しみです。

豊田:強敵とのテストマッチとして有難いですよね。自分的にはブルガリア戦はスタンド、オーストラリア戦はテレビ観戦でした。長谷部もそうですが、一目瞭然に遠藤保仁や本田圭祐がこなしているイレブンの要の役どころは替えが効かない印象を受けます。香川君もコメントしていたが、いまだ日本は大一番になるほど「経験ある持ち駒」にしか頼れない。イタリアやブラジルのように、ラッキーボーイが活躍するなんてことは考えにくい段階にあります。層の厚さに関し、いっそうの体制テコ入れが必要でしょう。とかくメディアは旬のプレーヤーの個人的な成功秘話に偏りがちですが、意識高くサッカーを観るなら論じるべきは全体像から。育成の構造と意識の醸成は、協会とJリーグの変わらぬ課題と言えると思います。

椛沢:さて、浦和レッズの話ですが、先週の水曜日に仙台戦を終えて中断期間に入りました。ここまで8勝3分2敗の2位と、まずまずの結果。負けたのが大宮と清水というのが気に食わないところではありますが、ホームでのダービーで勝利をして、さらに大宮を抜いて首位に立てれば良しとしましょう。リーグ戦は7月6日の甲府戦までお休みです。6月下旬にナビスコカップ準々決勝のセレッソ戦のホーム&アウェーがありますので、事実上は3週間の中断となります。中断前、最後の試合となった、仙台戦では中2日のスケジュールでコンディションの悪さが露呈する試合内容の悪さでした。中断明けの夏の連戦を考えても試合内容が悪くても勝ちきれる強さということが今後は求められる部分です。

豊田:柏戦にくらべてパスを引き出す動き出しがかなり減少していたと思うし、コンディションは確かに低調と見えました。ただベガルタも相当にレッズ戦ピークの研究をして臨んだ気配が濃厚。特に機能し始めた興梠・原口ラインを潰し、押し込んでくる那須の空襲にも対応していたセンター守備網の5番(石川直樹)と2番(鎌田次郎)コンビの覇気は客席にまで伝わってきました。先制PKも決まり、したたかに勝つ実績に持ち込みたかったところですが……。

椛沢:失点シーンもヘベルチのミドルシュートをGK加藤順大がなんとか弾くものの、こぼれ弾を詰められてのものでした。

豊田:意表をつくタイミングで打たれたし、個人の過失ではないですが……。あのパンチング、加藤君には処理しきって欲しかったな。そういえば代表の川島永嗣選手も、この連戦で悔しい失点が続いている。最後の砦は独自のメンタル保持も問われる持ち場です。再開まで、守護神たる守りの建て直しをDFメンバーともども図ってもらいましょう。

椛沢:チームはこれから北海道合宿に入り、主にフィジカルトレーニングを中心に行い、コンディションを整えて後半戦に備える意図がありそうです。前述の通り、中断明けからいきなり連戦となるので、連戦をどう戦い抜けるかということがリーグ中盤、後半戦に向けての大きなポイントになってくると思います。

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