浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.151(8/9)

中断明けの磐田戦、広島戦に大きな連勝!

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週、水曜日にリーグ戦が再開しました。レッズにとっては川崎、横浜の2試合で7失点と守備の整備が求められる中で、東アジアカップで槙野、森脇とディフェンスの2枚を代表に取られて欠いており、それが行えない厳しさもありました。またスケジュール的にも、代表選手にとっては厳しい環境下の中での試合になったのではないかと思います。そのさなか、豊田さんは出張中だったとか(笑)。

豊田:申し訳ない。シドニーとタスマニア州に所用あり、実のところニュース映像でしかゲームは見れていません。しかしネット等で結果を逐次追っていました。いよいよ懸念された猛暑の中のリーグ日程です。正念場でしたよね。

椛沢:磐田戦は、色々な状況を見ても厳しい試合が予想されました。実際に、試合は暑さも考慮して序盤は、スロースタートでした。前半を0-0で折り返し、後半が勝負だと、後半戦に入りますが、まさかの先制点を64分に許します。レッズは、マルシオ、原口を入れて、ギアを入れ替えようとしますが、なかなかギアも切り替わらない苦しい展開。仕掛けのスイッチの一人の原口もコンディションが良くなく、攻守の要・鈴木啓太が不在ということも響いたかもしれません。

豊田:失点シーンの再生を何度も確認しましたが、競った時間帯の中で相当にマークを緩めてしまいました。守りの人数もそろっていたのに、虚を突かれる展開でベテランの駒野選手に動かれてしまった。経験の差とはいえ悔しかったな、あの先制の失点は。

椛沢:ゴール裏スタンドも重苦しい雰囲気の中、諦めず声を出し続けます。それが伝わったのか、83分に、ゴール前の混戦からマルシオが同点ゴール。これで一気に熱を帯びたスタジアム。ロスタイムの93分に、途中から左サイドに入っていた森脇が、ミドルシュートを放ち、そのボールが駒野の足に当たり、軌道が変わりながらもゴールに吸い込まれて逆転しました。内容的には決して良くない中で、アウェイで価値ある勝ち点3。苦しい時に勝ちきることは、リーグ優勝をするためには必要な要素。シーズンを振返ったときに、あの試合の勝利が大きかったと言える試合になるかもしれません。

豊田:このあたりは橋本代表以下のクラブの意思共有が継続している証しと思いたい。とにかくクラブ全体の足並みが揃っていなければ、ピッチ上のイレブンもゲーム最後の15分間に力を出し切れないのです。事実、ミシャが来るまでのレッズは逆転勝ちやアディショナルタイムの勝負強さが決定的に欠落していました。そのあたりのムード改善を果たしつつあるミシャ周辺のスタッフの苦労も並々ならぬものがあると思う。

椛沢:磐田戦の勝利を価値あるものにするためには、広島戦での勝利も必須でした。首位・広島に勝てば勝ち点差は2に縮まり、負ければ8に開くと、勝ち点6の重みのある重要ゲームになりました。ホーム埼玉スタジアムには42,426人が集まりました。試合前には今季初となる“ビジュアル”がゴール裏に登場。URAWAの文字を象ったビジュアルで、選手達を鼓舞します。その勢いそのまま、前半5分に、セットプレイから興梠がヘディングで決めて貴重な貴重な先制点。この点で試合展開は一気にレッズペースになりました。

豊田:磐田戦のような大苦戦をひっくり返すと、その後のゲームでブレークが現われます。スタンドもゴール裏も、最高の雰囲気とモチベーションでホーム戦に入れたようですね。

椛沢:主導権は常にレッズが握り、後手、後手になる広島を尻目に、原口がスイッチとなり、ドリブルで仕掛けて、スルーパスを裏に抜けた柏木に出す。その折り返しを興梠が詰める。完璧な崩しの形でした。興梠が決めきれずディフレクトしたボールを原口が詰めて追加点を決めます。これで主導権は完全にレッズのものになります。後半にも右サイドの平川のクロスから興梠が足先でさわり3点目となる追加点。余裕の展開の中で試合が進みます。終盤にスタジアムの電源トラブルにより、一部照明とビジョンが消えて、試合が一時中断するというハプニングがあり、スタジアムの雰囲気もここで少し切れてしまったが、要因となったのか、ロスタイムにセットプレイで1点を返されるという後味の悪さを残しましたが、首位・広島に完勝。昨年のホームゲームでもそうでしたが、同システムで戦い、ミラーゲームになる広島に対しては、圧倒的有利に立てる状況になるという印象を受けました。レッズとして広島は、戦いやすい相手なのかもしれません。スタジアムの雰囲気も良く敵将の森保監督も「サッカー専用スタジアムで大観衆が集まった時のパワーを感じた」とレッズサポーターの存在を認めてくれていました。

豊田:あのハプニングがなければ完封の勝利も期待できたのかも。惜しい失点と思いますが、連勝の勢いを持って埼スタに乗り込んできた前年王者を退けたわけですから。周辺の観戦組からは守備陣の集中の高さを称える声も多く聞かれました。加藤君も今回はファインセーブも見せたようですね。

椛沢:一時期は安定しなかった加藤順大も持ち前の反射神経の良さを生かして、セービングにおいても好プレーを続出させていますね。さいたまシティカップで好プレーを見せた山岸の存在も多少なりと彼に良いプレッシャーを与えたのではないかと思います。
豊田:余談ですが、シドニー滞在中に現地自治体のスポーツ施設参与も兼任している50歳代のビジネスマンたちと歓談する機会がありました。07年ACLのシドニーFCとの対戦で、URAWAの名前はしっかり覚えてくれていましたよ。やはり彼らにとっては06年のW杯(ドイツ開催)でジーコジャパンに勝利したインパクトが強烈で、サッカーというスポーツに関しては日本の存在が切っても切れない印象になっているらしい。メンバーの中には父親がイングランド人で、自身も幼年期をロンドンで過ごしたという同好の士もいた。『浦和フットボール通信』のトップページビジュアルを見せたら「リバプールのスタンドのようだ」と苦笑していました(笑)。

椛沢:シドニーはレッズサポーターにとっても思い出の地ですね。なにせアジア初のアウェイ舞台がシドニーでしたから。シドニーのスタジアムがツアーバスの車窓から見えた時に、これからアジアでの戦いが始まるという緊張感が込み上げた感覚は今でも覚えています。スタジアムの中もイングランドのような雰囲気で、これもアジアか!(笑)と思ったことも印象的でしたね。レッズが戦ったシドニーFCとは別のシドニー・ワンダーラーズFCには小野伸二が所属しており、既に来季のACL出場を決めて、伸二もレッズと対戦をすることを楽しみにしているそうですから、是非、またシドニーの地で闘いたいですね。

今週末は、敵地・豊田スタジアムに乗り込んでの名古屋グランパス戦です。名古屋も4連勝中とケネディ復調以来、調子を上げてきています。名古屋もレッズのサッカーにはまりやすいチームなので、磐田、広島での連勝の勢いを持続させるためにも、この試合にも是が非でも勝利をしたいところです。

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