浦和フットボール通信

MENU

浦和・尾間木サッカースポーツ少年団 町田章司インタビュー

全国的にもクラブチームが増えて、地域の少年団が減る中で、現在でも旧浦和市内に36少年団が活動する浦和エリア。これは紛れも無いサッカーの街の文化のひとつである。この少年団をまとめる浦和サッカー少年団指導者協議会の会長を務め、浦和・尾間木サッカースポーツ少年団の代表も務める町田章司会長に、浦和・尾間木サッカースポーツ少年団について、浦和の才能育成についてお話を訊いた。

町田章司Profile
昭和18年生まれ。浦和・尾間木サッカースポーツ少年団を結成から関わり、現在も同少年団の代表、監督を務める。FC浦和監督を歴任。第3代、浦和サッカー少年団指導者協議会会長。

UF:浦和でも強豪チームの一つである、浦和・尾間木サッカースポーツ少年団ですが、簡単な団の紹介と活動指針のようなものがあれば教えてください。

町田:浦和・尾間木サッカースポーツ少年団は、創部1977年ということで、今年で35年目です。尾間木小学校と向小学校の子供たちが中心で、1年生から6年生の学年単位に分かれて活動を行なっていて、基本的にはゲームを中心にやっていますね。練習をやって試合、練習をやって試合というサイクル。一番は楽しくサッカーをやってもらうことだね。練習では、ボールタッチについては特に注意をさせて練習をしています。浦和の伝統である、サッカーを通じて人間教育という部分も変わらないね。

UF:尾間木のエリアは元々サッカーが盛んな土地だったのでしょうか。

町田:この地域では尾間木が一番古くて、元々サッカーが盛んな所ですよ。この地域から、浦和西高出身でメキシコ五輪の銅メダリストになった鈴木良三さんが出身です。たぶん、尾間木小学校出身なんじゃないかな。あと最近の尾間木出身者では、大宮アルディージャで選手をやっていた、斉藤雅人がここの出身で、年中練習にも来てくれるよ。あとはJ2にも行った子がいると聞いているんだけど……その辺りの情報がしっかり追えていないんだ(苦笑)。

樹齢百年を越える栃の木が尾間木小学校のシンボル。取材日も栃の木カップが開催されていた。

UF:クラブチームも増えている中で、各小学校単位で活動をされている、浦和の少年団の活動というものは、サッカーの街を象徴する文化だと思いますが、その少年団の良さというものはなんでしょうか。

町田:親子でも楽しめるのが少年団の魅力のひとつだね。最近ではパパさんだけのサッカーチームを作ったりしていますよ。そういう地域でサッカーを楽しみながら地域の中での結びつきもできるのも良さじゃないかな。最近ではなかなかそのような交流も図れないからね。サッカーだから、勝ち負けは必ず出るけども、そこを意識はするけれども、サッカーは、それだけじゃないからね。

UF:町田さんご自身もサッカー経験があるのでしょうか。

町田:私の競技歴はそんなにはないですけど、浦和市役所でサッカーをやっていました。小学校の頃からサッカーはよくやっていたけどね。浦和出身なので、夏は野球、冬はサッカーという感じだったね。浦和では、学校の先生にサッカーが普及していたので、授業でもサッカーばかりでしたし、朝もボールひとつで遊びでサッカーばかりしていたよ。私の世代じゃ、他の地域では、なかなかサッカーはやっていないね。その後、市役所でサッカーをやっていたこともあって、尾間木に引越しをしてから、この少年団を見るようになったんだね。

UF:近年では、女子サッカーも盛り上がってきています。この少年でも女の子がいるのでしょうか。

町田:うちの少年団では一年生で女の子が一人います。この地域の中だと、浦和ラッキーズという女子のクラブチームがナイターで活動をしていますよ。少年団でやっていた子が女子のクラブチームでやりたいと集まってきているみたいだね。私の持論では、もっと上のレベルに行く子は、小学校の時は男の子の中に混じってサッカーをするのも伸びると思うね。

UF:我々としては、このサッカーの街・浦和で育てられた子が、最終的にトップチームである浦和レッズのピッチで活躍をしてくれると、どれだけ盛り上がるだろうと期待をしているのですが、その浦和の才能育成については、どのようにお考えでしょうか。

町田:うちの少年団でもレッズに行く子とアルディージャに行く子がいますね。毎年というわけにはいかないけどね。浦和レッズもジュニアチームを作ることになるので、レッズには「なるべく浦和の子を獲って欲しい」という話をしましたけど、ある程度目指すレベルもあるだろうから広いエリアからセレクションはするのだと思う。その場合に、もしレッズに行くのがダメだったら少年団でやれば良いと思うし、少年団で頑張って、ジュニアユースの時にまたレッズに入れるような子が出れば良いと思うよ。そのジュニアユースに入れなくても中学に行けば良いわけだし、中学校の先生とも良く話をしますけど、最近はクラブチームに行ってしまう子も多いそうだね。埼玉県では、大学生にコーチの資格を取らせて、中学校で指導をしてもらうという話も聞きますし、地元の中学でサッカーをやることも良いんじゃないかな。それだけの受け皿をこの地域で作っていけば良いと思うね。

UF:その他のレッズに期待することはなんでしょうか。

町田:ジュニアチームができても、ジュニアアカデミープログラムは続けてもらえるとのことで、それは嬉しいね。というのも、少年団は週末だけの活動で週2回が多い。しかし平日にも練習を1回入れて、週3回は練習をしないと上手くならないと言われているので、そうしないとクラブチームには勝てないね。うちも5、6年生は週3回活動をしているようにしている。更にうまくなる子は、毎日、昼休みとかにボール遊びをしたり、公園でボールを蹴っている。そういう子はうまいよね。そういう環境の中で、平日のナイターでレッズに子供たちを指導してもらえる機会があるのは嬉しいことだね。

UF:ジュニアアカデミープログラムの成果というものは感じますでしょうか。

町田:活動の成果は、まだわからないね。続けていく中で成果が見えるんじゃないかな。
その成果を活かすには、習ってきた子がチームに戻ってきた時に如何にそれを活かすかを考えないといけない。チームに戻ってきたら、頑張らないといけないわけだ。上手い子だけが集まっている所でやれば、息さえ合えばそんなに走らなくても出来たりするだろうけど、戻ってきた時にパスが通らないことがあると思うんだけど、それはなぜかを感じて修正をすることを求めますね。

UF:全体的にこの小学校年代のレベルというものは上がっているのでしょうね。その中で伸びる要素というものはなんでしょうか。

町田:この年代では、お山の大将の方が個の力でどんどんやって良い部分もあるのかな。人を活かすことももちろん考えないといけないけどね。その中でも最近の子のレベルは上がっていると思うよ。サッカー自体も進化しているけどね。日頃のサッカーの情報量によるところがあるのかな。世界のサッカーを見ることが出来て、子供たちは、それをすぐに真似をしているよ。Jリーガーが当たり前で、世界まで見えているわけだからね。

ページ先頭へ