浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.160 (10/8)

ホームリーグ戦7年ぶりの勝利!さいたまダービー勝利で、終盤戦への高揚感が整った。

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末は、“さいたまダービー”大宮戦でした。甲府、湘南と下位チーム相手にドローゲームが続き、苦境の中で迎えたダービーでしたが、見事4-0で勝利して、リーグ戦ホームゲームでは実に7年ぶりとなる勝利でした。小雨が降るあいにくの天候の中でもホーム開幕戦に次ぐ47,790人のサポーターが集まり、重要なダービーの一戦を後押ししました。試合前にはロアスタンド全体を使ったビジュアルが展開をされて、スタンドを赤・白・黒のレッズトリコロールに、ゴール裏には、デカ旗3色が掲出されて、この一戦を最大限、盛り上げる施しが行われました。監督、選手も口々に試合後に発していましたが、スタジアムは、最高の雰囲気でしたね。さいたまダービーの価値が徐々に上がってきていると感じた一戦でした。

豊田:大宮戦というのに開始時間ごろに浦和美園駅につくディレイ参戦でした。ただ都内から向かったので近づいてくるダービーの現場の空気は満喫できた。改札を出たらシャトルバスへの雨傘がいまだに長蛇の列。そこに遥か離れたスタジアムからのウォーリアが届いてきていました。前回に比べてアルディージャのポテンシャルが下降気味になっていたとはいえ、今の日本で頂点にあるダービー戦の興奮はできていましたね。

椛沢:試合は、恐れずに自分たちのサッカーをやり抜こうと気持ちを入れ替えたレッズイレブンが試合開始から魅せます。ここ数試合、陰を潜めた縦パスがグイグイ入り、9分にそれが実ります。ボランチの阿部の縦パスが原口に入り、フリックパスで、興梠が裏に抜け出すと、大宮DFニールの対応が遅れて、後ろから興梠を倒してPKを得ます。そして、このファールは、得点機会阻止となり、ニールは、一発退場となりました。PKを阿部が決めて先制。レッズの狙いと意気込みが形になった先制点となりました。

豊田:ここ何試合かに感じられた、まるで「現状維持」をイメージするようなイレブン全体の躊躇が払拭されていました。遅まきながらも必死にもぎ取った湘南戦の1ポイントも、意識に大きく影響したと思います。興梠君を生かすアタックの作りに関しては、いつも苦しめられる相手の金澤慎選手の欠場が大きかったと思う。前回の接着剤のような大宮の守りの粘りが、かなり淡白なった印象を受けました。

椛沢:その後、決定は作れど、決めきることが出来ずに嫌な雰囲気になる時間帯もありました。これもこの数試合で見られる嫌な現象でしたが、選手達はよく耐えて、流れを引き戻しました。72分に、柏木が後方から、左サイドの宇賀神への縦パスが通ると、宇賀神がクロスを原口に入れて、そのクロスを冷静に右足でゴールに押し込み、追加点。原口は「この試合で決めなければ男じゃない。」と相当な覚悟を持って試合に挑んでいたと聞いていたので、鳥肌の立ったゴールでした。このゴールで吹っ切れた部分もあるようなので、今後のチームにとってもこのゴールは価値あるものになるかもしれません。

豊田:相手がレッドカードでPK先取点という圧倒的有利を手にした割には、嫌な時間帯も長かったです。特に31分から40分過ぎまで連続CKなどから大宮をゴール前に釘付けにした場面。ものにしておかなくてはいけない決定機が幾つあったでしょうね。で、そこから後半に入ってギシのスローミスがピンチに繋がった59分以降。ここは一転して失点を予感させる危険な時間帯でした。速攻に反転した柏木のサイドチェンジは見事だったな。一気に鬱憤が晴れました。

椛沢:2-0となってからは、大宮も戦意喪失。完全に浦和のペースになり、76分には興梠がカウンターからGKと1対1になり、GKを交わしてゴール。83分には、関口も決めて4-0とリーグ戦のダービーでは最多得点となる、圧勝でゲームが終わりました。5万人近いサポーターが集まったスタジアムでの勝利の凱歌「We are Diamonds」は最高でしたね。ミシャ監督は自分の胸ポケットに赤いバラを一輪さして、「自分もこのダービーを楽しむから、選手達も思いっきり楽しんでプレーしなさい」と選手達を送り出したそうですが、その言葉通り、恐れずに自分たちのサッカーを完遂することが出来た浦和と、監督交代以来、迷走を続ける大宮には大きな差が生じていたのも事実だと思います。浦和にとっては、このダービーでの勝利が、今季の終盤戦の優勝争いに向けて大きな足がかりになるでしょう。

豊田:特に交代出場で勇躍ピッチに出てきたマルシオのボールへのアプローチあたりは凄かったですね。以前私はサッカーで3-0になって以降の追加点は大きな意味を持たないとこのコーナーで言いましたが、このケースでは全く意味合いは異なります。4点目に繋がった彼の頑張りは、指揮官であるミシャはもちろん、レッズを優勝させるために移籍して来た他のプレーヤーたちにも最終局面に向けての大きな刺激となったことでしょう。

椛沢:10月は、この後、ナビスコカップ準決勝第2戦の川崎戦、リーグ戦は鹿島戦と続く重要な試合が続きます。この10月を乗り切ることが出来れば、タイトルを目指す11月に続けることが出来ます。まずは、ナビスコ準決勝・川崎戦に勝利をして、決勝進出を決めましょう。

豊田:今季は最後まで、レッズを取り巻く誰もが高揚感を維持できる要素が整ったということですね。

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