浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.163 (10/30)

2003年以来の戴冠へ!ナビスコ決勝戦が迫る!

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椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:いよいよ、今週末にナビスコカップファイナルが迫ってきました。レッズとしては2年ぶりのファイナルですが、あの時はリーグ戦の残留争いに巻き込まれていたので、決勝に集中する雰囲気ではなかったのが事実。今回は、しっかり地に足をつけて、2003年以来10年ぶりのカップタイトルを獲得したいと思います。

豊田:2011年のファイナルは後半開始直後に山田直輝君がラフプレーで退場し、そこも潮目となっての敗戦。非常に悔しくやるせない思いと「これを残留争いに引きずらなければ良いが」という危惧を抱いて国立から帰路についたことを憶えています。しかし、あの私たちのどん底はわずか2年前なんですね。

椛沢:初優勝となった2003年はスタンドがLフラッグの海で埋まり、選手入場と共に赤白黒のレッズトリコロールが鹿島ゴール裏スタンド以外を埋めるという圧巻の光景で、試合が始まる前に勝ったと思える雰囲気でした。あれ以来、ナビスコファイナルはどのチームもコレオグラフィをやるというのが慣例になってきていますが、Jリーグ側がバックスタンドにコレオグラフィを用意するという話もあるようで、この辺りもJリーグは分かってないなと思わせる話題です。主催者側が予め用意されたものを披露することに、何の力、何の思いがこもるのか。サポーターが想いを込めて、展開をするから感動を呼び、選手たちに気持ちが伝わるということ基本的考え方が分かっていない。そんなことを用意されなくてもレッズサポーターは自ら素晴らしい雰囲気をチームの勝利を願って、作りますので。あと、忘れてはいけないのは、リーグが用意したものに反対するためではなく、チームを鼓舞するためにLフラッグをスタジアム中にはためかせるということです。最高の雰囲気を自分たちで作りましょう。

豊田:大住良之さんも指摘されていましたが、リーグ運営の現場感覚ではスタンドのフットボール文化に対する理解度はむしろ後退していると思える動きです。誰が誰のために見せる舞台なのか……極論すればイベントを司る組織がメディアに対するアピールを試みているように見えてしまう。まあ、そのようなものとは別次元の熱を、決勝会場で私たちが見せれば良いことなのでしょうが。

椛沢:そして先週末は、ホーム埼玉スタジアムで、リーグ戦の柏レイソル戦でした。リーグ戦も残り5試合。ファイブファイナルズと呼べる重要な一戦でしたが、34,814人と観客動員数は寂しい数字ではありましたが、熱気溢れる雰囲気は変わりませんでした。興梠、森脇を出場停止で欠き、ひとつの正念場とも言える試合で、ワントップには阪野、スリーバックには坪井が代役を務めました。

豊田:アウェー国立では6-2で勝ってはいるが、相手はACLで日本勢として最後まで勝ち残ったネルシーニョ監督率いるレイソル。累積による出場停止で、興梠、森脇が欠場、マルシオも負傷ということで危機感がいっぱいでした。埼玉スタジアムへの往路でサポーターたちと話したのですが、鹿島でのアウェー戦3ポイントを絶対にムダにしないという決意がピッチにも客席にも満ちていたと思います。

椛沢:ですよね。試合は苦しい展開を予想していましたが、開始早々に立て続けにゴールが決まります。5分には左サイドを起点として槙野がオーバーラップを仕掛けて、原口へパス。強烈なシュートを原口が放ち、GKがファンブルしたところを柏木がヘディングで詰めて鮮やかに先制をします。さらに11分には、また槙野のオーバーラップからクロスを入れると、柏木の足元にボールが渡り、左足でゴールに押し込み、追加点。3-4-2-1とシステムを嵌めてきた柏に対して、最終ラインの槙野のオーバーラップで、打開をした形でした。

豊田:結果的には腰の負傷で不安を抱えていた柏木君が獅子奮迅の活躍をする。こういう局面にさしかかると「クラブ、チーム、サポーター」すべてが気迫に満ちて総力を出し切るチームが競り勝つわけです。原口君も積極的な連携を見せて、遠目からも有効なミドルシュートを狙うし、得点こそなかったが、阪野君もよくボールを治めて二列目の攻め上がりに繋げていたと思う。栗澤選手、大谷選手の敵ボランチを引きずりだして、チェイシングに走らせた。その裏を左サイドから突いた槙野選手のテクニックと間合いが出色の出来でした。

椛沢:その後は、14分に最終ラインのビルドアップを奪われて、そのまま失点。今のサッカーでは起こりうる失点でしたが、このあとは苦しい時間帯が続きました。後半もなかなか良い形が作れず、1点を凌ぐ展開。最後はゴール裏から「PRIDE OF URAWA」の大合唱が起こり、浦和一体となって、この1点を守りきって、価値ある勝ち点3を獲得しました。

豊田:31分の大谷の至近距離からのシュートが左ポストを叩いたピンチ。背筋が凍りました。試合の流れがおちついたところでクレオを起点にして栗澤、大谷が前線で動き出し、バックラインの裏にロブを落とされてフリーで打たれた。このあたり以降のゲーム処理を誤ったら、柏戦ではおなじみの乱打戦に持ち込まれそうなムードもありました。ゴール裏もこの支えどころで熱のこもったサポートを展開しましたね。

椛沢:2-1というスコアのまま、時間が経過をして、サポーターとしても全く気が抜けない時間が続きました。声を切らせば……、声を落とせば……、失点をしてしまうのではないか。そんな想いでサポートが展開されました。また、この試合で山田暢久選手がJ1、500試合出場となりました。彼は身体が本当に強い。まだまだフィジカルが落ちてきていると感じることもないようなので、もっともっと活躍をしてもらいましょう。涼しくなった終盤戦は、彼の活躍が期待されます(笑)。さて、サッカーをめぐるメディア界の話になりますが、週刊サッカーマガジンが今週号をもって週刊誌としては、廃刊となりました。月刊誌として生まれ変わるとのことですが、サッカー界を引っ張ってきたメディアの一つが終焉を迎える寂しさを感じます。サッカー界としての勢いがないのか、IT化の中での紙媒体が難しいのか。紙媒体を発行する我々としても、今後のサッカー情報の発信方法については考えさせられます。

豊田:イベントなどで読者の皆さんにお見せしたことがありますが、1966年6月号の創刊号は私の宝物です。ちなみに表紙は浦和レッズの前身・三菱重工のエース、杉山隆一さん。しかしサッカーマガジンもスタートから半世紀近くですか(嘆息)。サッカーの街100年のURAWAで『浦和フットボール通信』も末永く発信を続けて行きたいです。

椛沢:浦和フットボール通信もこの荒波と無関係ではありませんが、皆様のお力もお借りしながら、フットボール文化を発信していきたいと思います。さて、最初にお伝えしたように、今週末はナビスコカップファイナルの柏戦です。現有の国立でプレーするのも最後になるでしょう。思い出の地の有終の美を飾るためにも、ファイナルを制して、最高のサポートをして、最高の試合をして、久しぶりのタイトルを獲得しましょう。

豊田:レアンドロ・ドミンゲス、ファイナルに向けてスタンバイらしいですね。ネルシーニョもノンタイトルでは終われない意地を見せてくるでしょう。ホームタウンを上げて決勝の国立を楽しみたいと思います。

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