浦和フットボール通信

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【河合貴子の大原なう番外編】無観客試合となった清水戦(2014/3/24)

試合開始2時間前に、『SPORT FOR PEACE!』と書かれたTシャツを着て選手達はピッチに現れ、キャプテンの阿部勇樹選手が「人種、肌の色、性別、言語、宗教、その他差別的あるいは屈辱的な発言または好意を認めないことを宣言します。サッカーはスポーツや社会から差別を撲滅する力を持っています。サッカーを通じて結ばれた仲間と共に差別と戦うことを誓います」と差別撲滅宣言を読み上げた。

選手紹介も入場音楽もない無観客試合となったJリーグ第4節清水戦。前半19分、ショートコーナーから大前選手にクロスを入れられファーサイドの六平選手のシュートを西川周作選手がセーブするも、こぼれ球をフリーで長沢選手に押し込まれて先制を許す苦しい展開となった。

試合後、西川選手は「ショートコーナーで・・・。人数はいたんだが、1人上がって来ていたので、元気か慎三を下げて付かせなければいけなかった。ショートコーナーの対応と中のマークだけ見てしまった。もっと早く気が付いていれば、あんなドフリーにはさせなかったと思う」と失点シーンを悔しがった。

リードを許して折り返した後半、平川忠亮選手に代わり関根貴大選手、梅崎選手に代わり永田充選手を入れてボランチでスタートとした柏木陽介選手をシャドーのポジションに上げて相手の高さ対策と積極的にサイドを使い仕掛けてゴールを狙った。

柏木選手は「前半は、あぁやって闘って来ると分かっている中で、集中力の無さでセットプレーで失点してしまった。ただ、慌てずに自分達らしく我慢しながらプレーが出来たから、後半は自分達の良さが出せたと思う。良い攻撃が出来たので、正直、前半の失点が無ければ2-0、3-0で勝てたゲームだった(無観客試合で)難しかった。クラブとサポーターがまた一つとなって闘っていけるように勝利を収めたかった」と悔しがった。

76分に右サイドから関根選手が果敢にドリブルで仕掛けてクロスを上げるとゴール前で李忠成選手と相手DFが交錯し、そのこぼれ球を原口元気選手が右足で振り抜き同点。後半、清水が放ったシュートはたったの1本に対し、浦和は11本と逆転勝利を目指すもチャンスを生かすことが出来ずに1-1の引き分けとなった。

原口選手は「悔しいです!前半の慎三君のパスも決められたし・・・。自分が、もう1点、2点取れていたらチームが勝利出来ていた。そこで結果を残せなかったのは、個人として上に行かなければいけない。いつも通りやりたいと思っていたが、正直、難しかった。サポーターの力によって動かされている部分は非常に大きいと感じた。特に俺は、そうだと思う。(無観客の)イメージはしていたが、いつもと同じメンタルではプレー出来なかった。やっぱり・・・大切な仲間だなぁと、サポーターは思う。深く感じた。また一緒に闘って行きたいと思った」と、どんな時でも共に闘って来たサポーターの存在を改めて思い知った。

空虚な空間が広がった埼スタは、まるで魂の抜け殻のようであった。それでも全身全霊を込めて選手達は勝利を目指して闘った結果は引き分けであったが、共に闘う大切な仲間の存在を感じ、誰もがフットボールを楽しめるスタジアムになるための大きな1歩を踏み出した。

タカネェのイチオシ

やはり、後半から出場した関根貴大選手!ルーキーながら臆することなく、167㎝と小柄であるが粘り強く相手DFと競り負けずにボールを保持し、果敢に攻め上がる姿に心が躍った。関根選手は「やってやろう!と言う強い気持でピッチに入った。自分の特徴であるドリブルでゴールに繋がるプレーが出来て良かった」と安堵の表情を浮かべ「(沢山の)観客が入って遣ったことが無かったので、いつも通りのプレーが出来た。デビューした試合が無観客って、いないと思う」と笑みが零れた。
次は、多くのサポーターの前で、相手を恐れることなく果敢に仕掛ける若武者の関根選手をぜひ見て欲しい。

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