浦和フットボール通信

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椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)×島崎英純(浦和レッズマガジン編集長) 居酒屋レッズトーク対談第2回『ホーム開幕の鳥栖戦は最悪の雰囲気だった』

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ホーム開幕の鳥栖戦は最悪の雰囲気だった

椛沢:先日、湯浅さんにインタビューをしましたが、彼は、美しく勝利してなんぼだという話をされていました。

島崎:サッカーファンはそれぞれ想いが違うところもあると思いますけど、湯浅さんの思いを一定の方が感じていると思う。良いサッカーをして勝てれば一番幸せですよね。それが究極の理想。しかし、それには非常に難しいタスクがある。

椛沢:浦和レッズはそういうことを追い求める使命があるクラブなんだという期待をこめたメッセージだと私は受け止めました。

島崎:まさに湯浅さんがおっしゃっているのは、一番収益があって、サポーターも多いクラブがそれを追い求めるのが一番大事だということをおっしゃっていて、私もそう思いますが、それを背負った浦和は2006年以降一回も勝てていないんですよね。かばちゃんに聞きたいのは、2006年に優勝したことで一つの目標が達成されて、レッズサポーターの中にも新しい目標が生まれたと思う。それが良いサッカーをして勝つという雰囲気になったと思うのだけど、どうなんでしょう?

椛沢:2006年に優勝した時は、その雰囲気はあったかもしれないですね。2007年にACLを優勝した時も何か物足りないと思ってしまった。今考えれば、それがどうなのかなと思いますけど、周囲からも個人で勝ったという評価を受けていて、どこかサポーター内でもそこに対する欲求が出てきたのかもしれません。

島崎:ブッフバルト監督から、オジェック監督になってACLで優勝してもサッカーの質にも言及するようになりましたよね。それが今でもあるのかな。ただ勝つだけではダメだと。

椛沢:ただ、まだ1回しか優勝していないチームなのに、自ら難しいステップを登ってしまったのかもしれないですね。

島崎:以前の優勝から6年以上経った今、結果を求めている可能性もありますよね。

椛沢:属にいう広島化によって、勝つこと以外で評価をされないし、あれを正当化できるのも勝つことでしか出来ないので、難しい方向には進んでいると思いますね。

島崎:サポーターの思いは時々で変わると思いますけど、優勝から遠ざかった分、ミシャのやり方で勝てるのが幸せだけども、それよりもまずは結果を求めたい雰囲気を感じますね。

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椛沢:どうなんでしょうね。だからと言って、クラブが勝てば良いんだろうというスタンスを取られて、勝った先に何かがあるのかなという気もしてしまうんですよね。

島崎:そこは違うよね。つまらないと言われるサッカーで勝った結果、あまり評価されないわけですから。

椛沢:先ほどの話と矛盾はしますが、広島で勝ったんじゃないかと言われてしまうところもあるのかもしれない。

島崎:その意味では、浦和は非常に難しい立場であることは間違いない。広島とかに比べてサポーターの数が多い分、思いも複雑なので、その中でクラブがどう応えて、結果が出ても色々な問題がはらむのはレッズの難しい立場の所以なのかな。それに関連して聞きたいのは、ガンバ戦のサポーターの数はどうでした?

椛沢:んー、アウェイに関してはそんなに変わらなかったと思います。アウェイまで来るコアなサポーターは増えても減ってもない感じですね。

島崎:ホーム開幕戦はどうだったのでしょうか。

椛沢:逆にホーム開幕ははっきりとした数字で昨季の開幕戦から1万人が減っているという事実がありますから、明らかに減ったという感じを受けますね。

島崎:それは対戦相手の都合にしても減りすぎている?

椛沢:去年の終盤の大失速の評価がホーム開幕に表れているんだと思います。ガンバ戦の試合もチームを信用していない雰囲気があったのは事実です。

島崎:なるほどね。私がやっている雑誌の売り上げも顕著に落ちていて、関心率の低さが感じられる。それが序盤からということは、去年の結果を踏まえて距離を置いているサポーターが増えているのかな?

椛沢:さきほど話した通りで、今のチームは勝たないと評価されない。だから、昨季勝たないまま終わっているので、今は評価をされていないということなんじゃないかと思います。

島崎:ガンバ大阪戦では感じなかったけれども、鳥栖戦では厳しい声が飛んだりしていて、選手が萎縮をしてしまって、雰囲気が良くなかったと思った。どうもチームが勝てるような雰囲気作りがなかったのかなと思うのですが。

椛沢:ガンバ戦もその雰囲気は実はあって、ピンチになるとサポーターはナーバスになっていた場面などがあったと思います。

島崎:それはサポーターが意図的に発しているのではなくて、心の声が出てしまっているんでしょうね。

椛沢:去年の印象が強すぎるんだと思いますよ。サポーターはそのイメージが残って失点するんじゃないかと思ってしまう。

島崎:鳥栖戦は、皆さんの思いや、心の声が出て充満している感じがしました。

椛沢:それはスタジアム全体ですよね。指定席で見ているサポーターに聞いたら、35分くらいで何も言わずに帰っていったと。0-1の状況でもそうなので信用していないということだと思いますね。

島崎:皆さんにとって厳しい言い方だけども、心の声が出ている限り勝たせる雰囲気にはならない。確かに今の現状に満足をしていないだろうし、何かしらの変化が欲しいと思う気持ちも分かりますけども、試合中だけは一緒に戦って欲しい。甘い考えだという人もいるかもしれないけど、浦和のためにはそうして欲しい。あの試合は、2008年の時のようなネガティブな雰囲気があって、とてもチームをサポートしている気持ちが感じられなかった。

椛沢:全く応援をしていなかったわけではないので、形上はやっているんですけど、それが人間だから出ちゃうんでしょうね。やっているけども、何か雰囲気が違うと。

島崎:ゴール裏の人は俯瞰して見られないから感じられないと思うけども、僕のように記者席から俯瞰してみると良く分かるんですよね。表現すると良い時のスタンドは、真っ赤に燃えて炎が燃えている。鳥栖戦は、ストーブのように生暖かい雰囲気が包み込んでいて火が上がっていない感じだった。まだ2節で、悪いサッカーをしているわけではない。それでもネガティブな感情になるのは、昨年から続くチームの形に対して何かしらの問題定義をしたい気持ちが出ているんだなと思いました。

椛沢:選手達には厳しいけれども、結果を出し続けるしかないと思います。それで信頼を回復するしか方法がない。

島崎:サポーターの方にはなるべく自制をしてもらって、試合中は全ての選手を応援して欲しいですね。あと試合中に関口のコールが起きたじゃないですか。昔からあったものですが、2節にしては早いなと思いました。

椛沢:それもチームが信頼されていないということなんだと思いますね。新しいファンからするとあんなコールをしてと、言われるけれども、昔はよくあった手法ですけどね。

島崎:関口と交代した梅崎が泣いていたという情報もありましたが、それは確認しましたが、なかったと思います。

椛沢:梅崎がどうというわけではなくて、もっと仕掛けろよというミシャに対してのメッセージだったと思いますね。

島崎:雰囲気作りはレッズサポーターが非常に心を砕いて築いてきた文化があるけれども、今は雰囲気作りとは逆で、ネガティブであることを求めてなかったはずだから、ホーム戦であの雰囲気は悲しくなりましたね。あれだと、また見に行きたいと思えないくらいでしたよ。

椛沢:そんな風に見えたんですね。ゴール裏からは、そこまでは感じなかったですね。

島崎:メインの方やバックも方は、初見の人だとこんなに寒々しいのかと思ったと思います。

<続く>

 

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