浦和フットボール通信

MENU

「求められる真剣勝負」 Jリーグ第21節vsFC東京戦 ゴール裏からの試合レビュー(2014/8/25)

ftokyo_a1
ミッドウィークに行われた天皇杯3回戦は、夏場の連戦を考慮して、大幅にメンバーを入れ替えて挑み、J2のザスパクサツ群馬に逆転負けを喫するという恥辱を受ける結果となってしまった。戦力を落としてタイトルの一つを逃した代償を、次のリーグ戦での結果で返さなければいけなかった。

その試合に対する厳しい声に対して、選手、監督からサポーターの姿勢に対する言葉が週末の試合までに並んだ。ダメな時はダメ。良い時は賞賛する。これはレッズサポーターが今まで貫いてきた姿勢だ。苦しい時にプレッシャーを掛けないで欲しいというのが本音かもしれないが、それを乗り越えて文句を言ったサポーターをプレーで黙らせてみろというのが、レッズサポーターの考え方ではないだろうか。浦和には馴れ合いの応援は似合わない。ブーイングをしたサポーターにムカついてもらって構わない。その反骨精神をプレーで表して、どうだ?見たか?文句あるか?と言う姿勢を見せてきて、サポーターの信頼を勝ち取ってきたのが歴代のレッズのエンブレムを背負ってきた選手達だと思っている。個人的にはブーイングをするな、ということはプレーに対する反応をするな、ということに繋がり、サポーターの応援はいらないということに繋がる発言だと思っている。監督の意図は分からないが、決して発してはいけない発言だと思っている。

そんな中で迎えたのは、昨年は国立開催となり、2年ぶりとなる敵地・味スタでのFC東京戦となった。このスタジアムは全方位に屋根がついているので、声が屋根に反響をしてスタジアムを飲み込み雰囲気が作りやすい。サポーターもその屋根を意識した場所を陣取った。

東京サポーターの試合前お決まりの「You’ll never walk alone」の大合唱が始まると、それをかき消そうと、レッズサポーターのスタンドからは大ブーイングが起こった。かつては武蔵野ダービーと言われた、この一戦は何か因縁めいたものを感じる。この光景からお互いを意識する空気が一気に上昇した。

ハイテンションの雰囲気の中、試合開始早々に、試合はまた動く。梅崎が川崎戦に続く先制点を奪った。しかし、ここから安安と失点をしてきた記憶が蘇る。先制点を奪っても浮かれるなという声がスタンドからも上がる。しかし、また同じことをレッズは繰り返してしまう。9分にCKから高橋に決められて、あっという間の同点。中断明けはセットプレイでの守備に緩さが見え、失点が増えている要因の一つだと思う。

この失点で、動揺したかのようなプレーになり、15分には武藤にディフェンスラインの裏を突かれて逆転。中途半端にオフサイドを取りに行き、さらにセルフジャッチをした結果。簡単に1対1のピンチを作らせてしまった。はっきり言って最悪の失点の形だった。
さらに23分には、河野が鋭くペナルティエリアに入った所を遅れてディフェンスした森脇が倒してPKを与えてしまう。これを決められて1-3。ガタガタの崩れる音が聞こえるかのような展開となった。この時点でチームが崩壊してもおかしくないほどの雰囲気が漂っていたが、西川が相手の決定機をスーパーセーブするなどして、寸での所で守りきった。ここで耐えられたことが、今後を考えても大きなシーンになるかもしれない。

43分には興梠が東京ディフェンスの裏を取り、倒されてPKをゲット。これを直接、興梠が決めて1点差に迫って前半を終了した。

後半に入り、巻き返しを図るレッズは、圧力をかけて東京に攻め入る。その気持ちが成就したのは60分。ゴールに向かう姿勢が得点に繋がった。柏木のシュートはブロックされるも、そのボールが平川にこぼれると、倒れこみながらシュートを決めて同点。

スタジアムの雰囲気を最高潮になる。逆転を狙うが、64分にまたしても武藤にディフェンスラインをブレイクされて、勝ち越し点を許してしまった。しかし、ここでレッズの勢いも落ちなかった。終盤戦は、ターンオーバーをしたレッズに若干フィジカルでの分があったのかもしれない。この試合で負けられないという意地が選手にあったのかもしれない。80分に李がペナルティエリアで倒されてPK。これを直接、李が決めてさらに同点に追いついた。

マルシオ、関根を投入して勝ち越しを目指し、サポーターも「PRIDE OF URAWA」のチャントで、選手達を後押しするも4-4の激しい撃ち合いの末、同点で試合終了した。
はっきり言って、天皇杯の結果、監督、選手の発言から、勝ちだけを望みたい試合だった。しかし、レッズサポータースタンドからは、悔しい!という声が上がりながらも、選手達の頑張りを労うコールが起こった。

単純に引き分けだから、負けだからブーイングが起きるんじゃない。そういう気持ちの部分を感じて欲しい。レッズサポーターは真剣に選手達のプレー、立ち振る舞いを見ている。アイドルを見ているわけではないので、無条件には応援をされない。しかし賞賛に値する活躍にはどのチームよりも応援をされる。そうやってリスペクトをされるチーム、選手が生まれてきたと思っている。

最少失点同士の対戦ながら4-4と激しい撃ち合いになった。守備が整備されている東京に4得点が出来たということは自信に繋がる内容だったと思う。反面、4失点は中断明けの守備の緩さを露呈する結果にもなっている。ここは猛省すべき内容だと思う。失点が増えれば当然のことながら勝ち点を積み上げるスピードも遅くなっていく。

これからも真剣にフットボールの闘いをする浦和の雰囲気を創る試合を見て行きたい。

ftokyo_a2

ページ先頭へ