課題と向き合いながら、マリノス戦に向けて準備中

日影は肌寒さを感じるが、日向は穏やかな秋の日差しで温かい陽気となった10月30日。午前10時から練習が始まった。

オフ明けのフィジカルトレーニング（通称ザキトレ）の翌日にハーフコートでのミニゲームの練習が行われるのは、珍しい。早くもマリノス戦を意識してミニゲームが行なわれた。

ビブ組はＧＫ西川、ＤＦ槙野、那須、森脇、ＭＦ宇賀神、阿部、鈴木、平川、梅崎、柏木、ＦＷ李。ビブなし組はＧＫ加藤・岩舘、ＤＦ濱田、永田、坪井、関根、ＭＦ青木、山田、関口、マルシオ・リシャルデス、矢島、ＦＷ阪野とマリノスの布陣を意識していた。

特にマルシオ選手は、1.5列目のポジションを取るシーンが見られた。仮想マリノスとなったビブなし組は、４バックがボールサイドにスライドをする守備が、しっかりとしている中で、ビブ組が、スライドした相手の逆のスペースを意識的に使う動きが見られた。

テンポの良いボール回しから、相手を揺さぶり上手く崩すシーンも見られたが、ＧＫのファインセーブやラストパスの精度などでゴールを決めることが出来なかった。

ミシャ監督からは「練習をしていて、だんだん疲れが出てくるだろうが、集中力を保つのも練習だ！！周りをもっと良く見よう！」「集中だよ！疲れている状況の中で、周りを見て、課題を守りながら正確な判断をすること！！」と指示が飛んだ。疲労が増してくる中、選手たちは集中力を高めながら、お互いに声を掛け合いながら細かい指示を出し合っていた。

仮想マリノスのビブなし組に攻め込まれ、シャドーの一角の梅崎司選手が、退いてボールを奪う前に、李忠成選手が前線に動き出すと、ボールを奪った梅崎選手が、李選手へ縦パスを入れた。李選手は、いち早く攻守の切り替えをして走り込んで来た阿部勇樹選手にヒールで落として、阿部選手の豪快なミドルシュートが決まった。まさに、判断力が良く、周りをしっかりと見えているプレーであった。

また、ビブ組の守備の部分では、前線の３人がしっかりとセットした守備でブロックを形成するシーンも見られた。しかし、仮想マリノスのビブなし組みの関口訓充選手のスピードにのった縦へのドリブル突破や山田直輝選手の身体を張ったキープから展開されてしまうシーンもあった。

11月３日に行われるマリノス戦は、まだ日にちがある。練習からしっかりと課題に取り組み、良い準備をしていきたい。

森脇「練習で出た課題をしっかりと修正する」

森脇良太選手は「毎回、どのチームも左サイドにスピードがあって、中にカットインしてくる。クニ君を何回か抑えることも出来たが、何回か抑えられなかった。守備の連携で、２対１で守れたら良かった。スルスルと行かれてしまったところは修正したい。クニ君は、良い選手。相手の学（マリノスの斉藤学選手）以上だ。良い練習が出来た。マリノス戦まで、数日ある。練習で出た課題をしっかりと修正出来る」と11月３日のマリノス戦に向けて守備の修正を図る構えを見せた。

梅崎「ここまで来たら闘うしかない」

シャドーのポジションに入った梅崎司選手は「みんなで、ここまで来たら闘うしかない。総力戦だ！」と気合を入れた。そして「慎三（興梠選手）の離脱は、大きな打撃だが、浦和には良い選手が揃っている。みんなで、カバーしていく。攻撃面で、慎三が起点になって展開してポストプレーだけでなく、危険な所に顔を出してビックチャンスを作っていた。でも、同じ点を取るサッカーだし、空いてるところを突きながら、遣るのが自分たちのサッカーで、オートマッチにやって行けば良い。李は、身体が強いし、ボールを預ければクロスも入ってくる。シャドーは、ゴールがより近くなるから、ゴールを狙っていきます。マリノスには、去年も負けているし、相手は調子が上がってきている。自分たちのやることを出し切って、楽しんでやれば良い」と最後は笑みが零れた。

李「僕には僕の良さがある」

久しぶりに練習でワントップに入った李忠成選手は「慎三がいなくなって、痛い。慎三は、ボールが収まる。自分のワントップでプレーとは違う。慎三には、慎三の良さがあるが、僕には、僕の良さがあると思う。慎三のプレーを自分が、コピーするのではなく、自分のプレーが出せれば良い」と話し、「ゴールに直結するプレー、勝負するとことを出していきたい」と話した。そして、今日の練習を振り返り「前線の３人の距離間が良く、あれぐらいの距離間でやれれば良い。マリノスは、甲府とかと違って退かない（守備的に来ない）チームだから、オープンな試合になると思う。相手ＤＦの高さは、僕は恐いと思わないし、海外はもっと高さがあるからね。あとは、試合の入りを間違えなければ良い。まずは守備的に入って、試合の流れを良くしていきたい」とマリノス戦のイメージを膨らませて話した。

今日のイチオシ！！「天野コーチ」

読書の秋にちなんで・・・選手たちにも良い本を推薦したりしている天野コーチ！！天野コーチは、以前にも野村克也氏著「弱者の兵法」などを試合の出場チャンスを掴めずに苦しんでいた選手たちに「読んでみたら良いよ」と薦めていた。かく言う私も、天野コーチから本を薦められたことがあった。天野コーチが推薦する本は、本当に戦術的にもメンタル的にも勉強になる。「僕が、勉強しているんですよ」と天野コーチは照れ笑い。「ビジネス本や啓発本は、読むけど、基本の原則は一緒。それを日々やれるかどうかは自分次第」と天野コーチは話す。本を読むことに向いている選手と向いていない選手もいるだろう。天野コーチは、選手たちに決して無理強いはしないが、お薦め本が気になった。

尋ねてみると、「『アンチェロッティの完全戦術論』が良いよ。その前に『アンチェロッティの戦術ノート』を読むと良い」と薦めてくれた。「本にはヒントが沢山かいてある」と天野コーチは話す。読書の秋に、天野コーチお薦め本『アンチェロッティの完全戦術論』『アンチェロッティの戦術ノート』読んでみてはいかがでしょうか？！