『古豪・市立浦和と昌平が決勝進出』 全国高等学校サッカー選手権大会埼玉県大会準決勝レポート
年末年始に行われる高校生憧れの“選手権”出場に向けて、埼玉県大会はベスト4が出揃い、準決勝が9日、浦和駒場スタジアムで行われた。
西武台1-3昌平
第1試合は、西武台高校と昌平高校の一戦となった。守屋監督の下、今夏にはインターハイにも出場を果たし、常に優勝候補に名を連ねる強豪の西武台。対する昌平高校は、青森山田中学で全国3位に導くなど手腕を発揮してきた藤島崇之監督就任して強化7年目。昨年度の新人戦では初の優勝も果たし、選手権埼玉県大会でも古豪・武南を破っての進出となった。
試合は、前線から積極的な守備を仕掛けて高い運動量を見せる西武台に対して、それを掻い潜ってボールポゼションする昌平という試合展開となった。「自分が就任して以来、ボーを繋ぐというベースは変えていない」という昌平の藤島監督の言う通り、安定したビルドアップで、西武台の高い位置からのプレッシャーをかわしてリズムを作らせなかった。前半は一進一退で終了するかと思われたが、終了間際にカウンターから松本が決めて昌平が先制点を奪って折り返した。
後半、巻き返しを図る西武台が圧力をかけるが、ゴールを決めきれず時間が経過すると、54分に沼田がコーナーキックをヘッドであわせて追加点。68分にはカウンターから小宮がゴールを決めて3点目を決めて勝負を決めた。西武台も最後まで諦めず80分に小宮が1点を返すが、そのまま3-1で試合が終了した。インターハイでも全国レベルを証明した西武台を相手に、ゲームコントロールをして勝負時にゴールを決める試合運びの強さを見せた昌平。藤島監督も「インターハイではボールを繋げて良い試合が出来ても、それまでだった。そこをベースにやってきた。まだまだレベルを上げていかないといけない。決勝に向けてしっかりと調整をしていきたい」と気を緩めなかった。新人戦での初タイトルに続く、初の全国出場はなるか、群雄割拠の埼玉県に新たな狼煙を上げた。
市立浦和3-2浦和東
第2試合は、市立浦和と浦和東の浦和ダービーとなった。市立浦和の池田監督は「地元、駒場の試合ということで、OBだけではなく市民の方にも応援して頂いて心強かった」と語るほど、市立浦和、浦和東の大応援団の中での試合となった。市立浦和は昨年の全国出場から連覇を狙っての大会。石神、中井と3トップの2枚が怪我でスタメンを外れる満身相違の状態での試合となった。浦和東は、野崎監督の後任となった鈴木監督が指揮して2年目。しっかりしたポゼッションサッカーを作り上げてきている。
試合は、市立浦和が開始早々の6分に、伝統のサイド攻撃から、藤沼が決めて先制。浦和東も積極的にミドルシュートを放ち、ゴールを狙っていく。それが実ったが、24分岩出がGKを強襲してゴールイン。浦和東が同点に追いつき、がっぷりよつの展開となった。後半に入り、試合は激しく動く。60分、瓜生のシュートをGKが弾いた所を、9番冨田が押し込んで勝ち越し。しかし74分に、岩出がクロスをヘッドで合わせて同点。互いに一方も譲らない展開となる。勝負が決まったのは、終了間際の79分、冨田が右サイドからのボールを押し込んで3-2。このまま試合が終了した。池田監督は「試合前にも『冨田、お前が仕事をしろ』と言って送り出して、良くやってくれた。エースの石神の怪我もあり、他のメンバーが努力して、俺がやるんだという気持ちを一人一人が持って、勝ち進むことで得たものがあると思う。」と会心の勝利に笑みがこぼれた。決勝については「昌平はうまい。バランスも良く、個の能力もある。どうにかしないと勝てない相手だと思いますが、決勝までに考えます」と意気込んだ。浦和らしい、最後まで諦めない姿勢を互いが貫いた白熱した試合は、どちらが勝利をしてもおかしく内容であったが、伝統の力で市立浦和が勝利を手繰り寄せての決勝進出となった。
決勝は、2年連続15回目の出場を狙う、古豪・市立浦和と、初の全国出場を狙う新興勢力の昌平との一戦となった。互いに攻撃的サッカーで、隙も見せない強さを見せるチーム同士の対戦となる。決勝戦は、埼玉スタジアムで11月16日(日)14時5分に、キックオフされる。