浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「浦和の選手である限り ~坪井慶介選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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後輩の直輝、同期の平川が坪井への想いを語る

ミシャ監督体制になって、1年目はリーグ戦33試合に出場した坪井慶介選手であったが、昨シーズンはリーグ戦7試合出場で、その内先発で起用されたのは僅かに2試合であった。

それでも、坪井選手は文句や愚痴を一つもこぼさず黙々と練習に取り組んでいた。プロ選手として当然の姿勢なのかも知れないが、プロ選手だって人間である。文句や愚痴を言いたい時だってあるはずだ。だが、坪井選手から文句や愚痴を聞いたことがなかった。

昨シーズン、約2カ月ぶりの公式戦先発出場となったナビスコカップ川崎戦では、ブランクを感じさせない気迫の籠ったプレーをしていた。あの点獲り屋の大久保嘉人選手が「前半の浦和は完璧だった」と言わしめるぐらいの鉄壁な守備であった。

69分に坪井選手は足が攣り交代を余儀なくされるまでの間は、ピッチの中で存在感を醸しだし輝いていた。それでもなかなか試合出場のチャンスは巡って来なかった。

監督が代われば、フットボールも変わる。当然、選手たちに求められているプレーのスキルも変わってくる。ミシャ監督になりDF陣に求められるものは、守備力以外にも後方からのゲームの組み立てやクロスや積極的な攻撃参加などが多くなった。

坪井選手は、日々の練習の中でスキルアップを図って来た。その努力たるものは、目を見張るものがあった。しかし、今シーズンになって坪井選手がリーグ戦に出場したのは、3月15日に行われた広島戦だけであった。それも試合終了間際の出場であった。

突きつけられた厳しい現実。坪井選手は、今シーズン限りで浦和のユニホームを脱ぐこととなった。

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山田直輝選手は「『まじめで良い人』これを文面にして見ると、薄っぺらいと思うかも知れないが、この言葉以外は当てはまらない。どんな状況においても文句を言わず態度で示してくれる。浦和に居続けるベテラン。僕は、ツボさんからそういう態度を学んだと言うか、学ばなければならないと思う」と坪井選手のことを話した。

そして、少し思い出し笑いをしながら「年下の僕でもおちゃめだなぁ~と思う一面があるから、人懐こさを生むし、ツボさんを嫌う人はいないと思う」と話し、プレー面に関しては「間違いなく、日本で最高のDFですよ!今でも!!ただ、今の浦和のサッカーにどうなのかって言うだけで・・・。試合の次の日の練習で5対5をやる時に、ツボさんは僕にマンツーマンして来るんですよ。ツボさんに付かれると僕は何も出来なくなる。レッズの中でマンツーマンに付かれたら一番イヤな選手。速さもあるし、頭も良いし、守備に関してはJリーグのトップですよ!」と大絶賛だった。

そんな坪井選手が、クラブワールドカップのミラン戦でカカ選手に一瞬のスピードで身体の逆を突かれて抜かれたシーンが衝撃的だったそうだ。「ツボさんがノーフェイクでタッチと緩急で抜かれた。僕はまだ当時は、プロになっていなかったから、身をもって体験している訳ではなかったけど、守備に関して完璧なツボさんだから凄く印象に残っている」と興奮気味に話した。

山田選手にとって坪井選手は尊敬する大好きな先輩であることが、話をしていて伝わって来た。「お世話にしかなっていない。僕がツボさんを見て学ぶことばかりだった。浦和での一区切りと言う意味で、有難うございました」と感謝の思いを口にした。

坪井選手と一緒に浦和に入団した平川忠亮選手は「寂しいですね」とうつむいた。「常に目標だった。先にツボがスタメンに入って、代表にもなった。仲間として助けてもらった。いっぱい自分のミスをカバーしてもらったし、自分が抜かれたり、裏取られたり、自分が攻め上がってボールを失った時に自分のマークが前線に残って居た時とかツボにカバーしてもらった。常に近いポジションでプレーしていたから、常に後ろにツボが居た時間が長かった。ツボがいたから、俺がここまでやれていると思うぐらいツボには感謝している」と話した。そして、「お互いまだまだこれからでしょ!」と前を向いた。「俺もまだまだ頑張りたいし、ツボも現役続行の意思を聞いている。他のチームになったら負けられないし、対戦した時に恥ずかしくないプレーをしたい。ツボにも頑張ってもらいたい。今度は、その楽しみが増えたよね。もっともっと一緒にプレーをしたかった寂しさはあるけど、ピッチの中で闘える幸せがある。対戦をする時に、ツボが試合出ていて、俺が試合に出られないなんてなったら、申し訳ない。ツボとの対戦を楽しみに頑張りたい」寂しい半面、坪井選手と対戦する日を思い描いていた。

坪井選手を知る者にとっては、様々な思いが交錯する。しかし、今シーズン限りとなった坪井選手自身は、覚悟をしていた。だから、現実を真摯に受け止めていたのだ。そして記者会見で坪井選手は「チームとして今シーズン、優勝することが全てだと思います。ピッチに立つかどうかは関係なく、浦和レッズの選手として最後になりますから、優勝のために全てを尽くしたいと思います」と話していた。

この言葉こそが、プロフットボーラーとしての坪井選手の全てを物語っていた。

浦和での最後の日が来るまで、坪井選手は全身全霊を捧げる。

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Q. 読者からの質問です。「子供が成長期でオスグッド病が気になります。有効なサポーターを教えて下さい」

A. オスグット病は、脛骨結節といって膝小僧の下の骨が徐々に突き出て来て痛みが出ます。膝を伸ばす靭帯(膝蓋靭帯)の付着部の成長軟骨の障害です。膝を伸ばす筋(大腿四頭筋)が膝蓋骨(お皿の骨)に付着し、さらに膝蓋靭帯となって膝蓋骨から脛骨粗面に付着します。膝を伸ばそうとすると大腿四頭筋や膝蓋靭帯が緊張して脛骨粗面と強大な力で引っ張り、痛みが出ます。この引っ張る力を抑えるためのバンド(ストラップ)があります。付ける場所は膝蓋骨と脛骨粗面の間の膝蓋靭帯の上にパットを当ててバンドをまわします。オスグット病ではありませんが、膝蓋靱帯炎(ジャンパー膝)でテニスの錦織選手もバンドを巻いてプレーをしている時があります。付ける場所は重要ですので医師に相談して正しく付けましょう

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科クリニック 整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション http://www.kawakubo-clinic.jp/

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