河合貴子のレッズ魂ここにあり!「監督の手腕~ペトロヴィッチ監督」
J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
なぜ外国人助っ人が不在なのか
フットボールにおける背番号9番はエースストライカーを意味し、背番号10番はチームの中心的存在で司令塔と言われてきた。背番号でプレーをする訳ではないが、浦和の背番号9番と10番が空き番号になっていることに寂しさを感じる。
だが、誰でも良いから背番号9番と10番を背負って良いとは思わない。広島から移籍して来た石原直樹選手は「9番は、ミスターレッズだ。1年目から付ける番号ではない」と話した。かつて得点王に輝いたワシントン選手が背負った21番と同じ背番号となった大宮から移籍したズラタン選手は「21番になったのは、特別に大きな意味は無かった。ワシントン選手が付けていたことは、知らなかった。ワシントン選手は、特別な選手だ。大きな責任がある背番号だ」と話したように、浦和には浦和の拘りと歴史がある。その浦和の拘りと歴史を理解した上で、責任と覚悟を持って背番号を背負わなければならない。
大きな責任と覚悟を持って9番と10番を付ける選手がいても良いと思った。ひょっとしたら、新潟のレオシルバ選手を獲得するために10番を空けていたのかもしれない。
ミシャ監督は「レオシルバを獲得したかった。移籍金が手を出せる金額では無かった。小島も帰ってきた。若手を育てる」と練習初日の記者会見で話した。ミシャ監督は、本当にレオシルバ選手が欲しかったのだ。しかし、金額的な問題で獲得出来ずにACLとリーグを勝ち抜くために方針を切り替えた。
「予算的には、昨シーズンより少なくなっている。コストパフォーマンスの良いチームを作っている。11人の新加入と言うより6人だと捉えている。秀人(小島選手)、幸輝(大谷選手)、拓也(岡本選手)はレンタルから戻ってきたが、私の下でプレーしていた。新入団という捉え方はしていない。ユースから昇格した2人は昨年、練習に参加していたし練習試合にも参加していた。クラブの予算が減っている中で、更なる上を目指す。過去3年よりも良い闘いが出来る。クラブは、私のサッカーに対するフィロソフィーを理解してサポートしてくれている。私にとって自分のチームがベストであり、ベストなチームで闘う。我々は、目指す物を掴むためにやって行く。私自身、このオフの選手の獲得は感謝している。ハードスケジュールをターンオーバーしながら闘っていく。新加入の6人をチームの戦術に馴染ませて、公式戦に向かって準備する。質と数を増やしたことは、前向きなことである」とミシャ監督はレオシルバ選手を獲得できなかったが、補強に関しては満足していた。
そしてミシャ監督は、日本サッカーのレベルが上がったことを話し始めて「外国人選手の期待が大きいことは、間違いない。私も外国人選手が必要だと思っている。外国人であるならば、日本人よりも質が高くなければならない。日本のレベルを考えれば、その質の高い助っ人として確実に活躍出来る選手でなければいけない。そういう外国人選手は、6億、7億、10億とコストが掛かる」と嘆いた。
確かに、ミシャ監督のいう通り日本サッカーのレベルは確実に上がっていると思うし、外国人選手に対して確実にチームの中心となれる『助っ人』であって欲しい。
浦和には、ドイツ代表で活躍したギド・ブッフバルト選手やウーベ・バイン選手、バジール・ボリ選手(フランス代表)、アイトール・ベギリスタイン選手(スペイン代表)、ワシントン選手(ブラジル代表)など名前をあげれば切りがないほどの各国代表選手が在籍していたことがあった。
彼らのプレーに心が鷲掴みされてワクワクした。『助っ人』と呼ばれる以上の活躍があり、ビックネームの選手たちであった。浦和の財政事情が、『助っ人』となれる外国人選手の獲得出来ない状況なのかと考えると、6人の選手を獲得出来るのであれば、1人の『助っ人』となれる選手を獲得出来る。
しかし、ミシャ監督は、C大阪のフォルラン選手の例をあげて「ビックネームの選手が活躍出来るかどうか考え無いといけない」と話した。確かに昨シーズン、C大阪はJ2に降格してしまった。『助っ人』となる外国人選手が、日本に馴染み、チームに馴染めるかどうかは、リスクがある。
ミシャ監督の話を聞きながら、元ブラジル代表だったエジムンド選手は、浦和で1試合も出場しないでリオのカーニバルを優先してしまったことを思い出した。ホームシックになり帰国した外国人選手もいた。
ならば、日本にもチームにも馴染めて、安い『助っ人』に成り得る外国人選手を独自のルートで発掘出来ないのだろうかと思ってしまう。だが、現実的に考えると日本にもチームにも馴染めるかどかなど来て見ないと分からない。そこには、大きなリスクがある。ミシャ監督は、出来るだけリスクを小さくしようと考えたのだ。だから、新潟のレオシルバ選手獲得を狙っていた。しかし、金額が折り合わなかった。そして、1人の選手を獲得することよりも質と数の補強を行なったのだ。
ACLとリーグを闘い貫くために、ミシャ監督が求める質と数は整った。ミシャ監督体制2年目の2013年、ACLはグループリーグ敗退、リーグ戦も優勝争いしながら終盤に失速して6位と順位を落としてしまった。失敗から学んだ経験はある。
ミシャ監督は「昨シーズン、守備の改善は出来た。守備に関して、継続して更に良い守備を構築したい。特に、ボールを奪われてから、切り替えて早くボールを奪う。前からの守備をトレーニングキャンプで強調してやっていきたい」と話した。
練習初日の記者会見で「今年こそは・・・」という強い思いがミシャ監督を雄弁にしていた。思いだけでは、決して優勝は出来ない。あとは、ミシャ監督の腕の見せ所だ!
Q. 読者からの質問です。「2014年のブラジルワールドカップで、ブラジル代表のネイマール選手が背骨を骨折しました。背骨の骨折について教えて下さい」
A. ネイマール選手の骨は、第3腰椎の骨折と報道されました。サッカーでよく背骨を骨折するのは、相手と競り合ってジャンプした時にお尻から落ちてしまった場合が多いです。また、背中がガツンとぶつかって折れることもあります。背骨には、椎体と言う大きな骨と椎体と椎体の間にある椎間板があり、左右に筋肉が付いています。さらにこの筋肉がのっている横突起があります。転倒すると背中の筋肉がピーンと張るので、この突起が折れてしまうことがあります。これを横突起骨折といいます。横突起骨折は、サッカー選手に多いです。さらに、第2腰椎や第3腰椎を骨折した場合は、そばにあるので腎臓を損傷している可能性があるので気を付けたほうが良いです。横突起骨折は、3~4週間で骨が付き痛みは取れますが、復帰にはもう少し時間がかかります。
川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/