浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「備えあれば、憂い無し 」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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備えあれば、憂い無し!これ以上、長期離脱選手がでないことを願う

いつの日も、悲劇は突然やって来る。4月12日の川崎戦。1点のビハインドを取り戻そうと石原直樹選手は、必死に相手DFと競り合いながら無理な体勢でボールを奪いに行き、倒れ込んで苦しそうな表情で右膝を押さえた。右膝の靱帯損傷であった。未だ腫れが退かずに、もっか経過観察中となり(4月15日時点)、残念なことに長期離脱はやむを得ない状況となってしまった。

昨シーズンの鹿島戦で、興梠慎三選手が右腓骨骨折し戦線離脱してから、浦和は大きな痛手を受けた。そのためチームは前線の補強は必須条件となり、今シーズンの補強はズラタン選手、高木俊幸選手、武藤雄樹選手、石原直樹選手と豪華なメンバーを連ねた。正直、前線の選手を取り過ぎだと思っていたが、シーズンが始まると補強していて本当に良かったと思える。

指宿キャンプの清水戦で武藤選手は、強度の打撲で戦線離脱し、早期復帰をしたがACLアウェー北京戦で左わき腹を打撲した。武藤選手の場合は、長期離脱にはならなくて良かったが、当たり所が悪ければ肋骨骨折になりかねなかった。

李忠成選手も内側則副靱帯を損傷し、ズラタン選手も足に違和感があり別メニューを余儀なくされた。そして、やっと復帰を果たしたと思った興梠選手は、鞭打ちに苦しみ、選出された日本代表を辞退することになっただけでなく、練習中に右脛を打撲してしまい再びリハビリに勤しむこととなってしまった。

軽傷で済み、直ぐに復帰した選手もいるが、今シーズンが始まって前線の選手の離脱は、ミシャ監督の苦い悩みの種になっている。

他にも始動してから、キャンプ中に岡本拓也選手が左肩を負傷、永田充選手はハムストリングの肉離れ、宇賀神友弥選手はACLアゥエー北京戦で左膝を負傷、岩舘直選手は流通経済大学との練習試合中に左アキレス腱断裂、平川忠亮選手は練習中に目を打撲、斉藤翔太選手は肩を負傷など軽度の怪我から重度の怪我まで上げれば切りが無いほどである。

誰かが怪我から復帰すると、誰かが怪我するそんな状況が続いている。何年も前に、やはり怪我人が続出したことがあった。その時は、厄除けの塩が練習場に盛られたのだ。それだけチームは追い込まれたことがあった。迷信と言われようが、怪我をしないためならば神様にまでお願いした。

たしかに、アスリートには怪我が付き物であるが、誰だって怪我などしたくない。しかし、選手たちは生身の人間であり、屈強なロボットでは無いのだ。怪我の予防として選手たちは、怪我をしない身体作りをして来た。実際、野崎アスレチックトレーナーの通称ザキトレ(体幹トレーニング)の成果でここ数年、怪我人は減少傾向にあった。怪我には、予防出来る怪我と不慮の怪我がある。怪我をしたくない気持ちとは裏腹に、選手たちは、怪我を恐れずにアグレッシブなプレーをする。不慮の怪我は、防ぎようが無い。しかし、予防出来るのであれば何でも取り組むべきである。

ズラタン選手が、足に違和感を訴えて離脱したのは賢明であった。「移籍したばかりで早くチームに馴染まないといけない」焦りの気持ちはあった。だが、焦る気持ちを抑えて無理をしなかった。賢明な判断から、最悪な事態を回避した。監督から「出来るか?」と聞かれれば、ほとんどの選手は「出来ます」と足に違和感があっても言ってしまう。微妙な状態の場合は、本人の感覚任せのところがどうしてもある。多少、無理をしてでも選手は、監督から試合出場要望があれば遣ってしまう。興梠選手が、怪我を悪化させてしまったことを思うと、セカンド・オピニオンがあってしかるべきだと思う。また、ドクターストップがあっても良いだろう。

そして、激しいコンタクトプレーの中で選手の身体を唯一守るものは、すね当て(シンガード・レガース)である。田中達也選手は、自分の足を守るためにアンクルガードまで付けていた。ギド・ブッフバルト氏が現役時代に使用していたすね当ては、膝下のほとんどの部分をカバーする大きなもので、石膏で型を取った特注品であった。そんな特注品のすね当ては、めったにない。どちらかと言えば、家族の名前や特別なデザイン画の特注品を目にする。すね当ては、柔らかいものから堅いものと選手の好みも様々である。試合の時に、すね当の着用は義務付けられている。だが、練習となると数人の選手しかすね当てを装着していない。

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装着している加賀健一選手は「当たり前だよ。怪我するの嫌だからね」と笑い、那須大亮選手は「怪我の予防だよ。習慣になっている。すね当てを付けないのは楽だけど、つけないとね」とどんな時でもすね当て装着が当たり前になっているのだ。

その一方で、槙野智章選手は「19歳のころから、練習中にすね当てを付けなくなった。分かっているけど、ソックスを履くのも嫌なんだよね。なんか、膝が出てないと嫌で、ハーフパンツが基本で、ロングのスパッツも嫌だし・・・」と話す。槙野選手の気持ちも良く分かる。圧迫感があるし、汗をかくと気持ち悪い、せめて練習では装着したくないのだろう。ポジション的に一番きわどい接触プレーが多い西川周作選手は「すね当ては、基本だと思う。していないと危ない。すね当て、1つで助けられたことがある。もし、すね当てをしていなかったら、折れていたかも知れない。でも、みんな練習中にすね当てはしないよね。代表でもそうだもん。永嗣さん(川島選手)もゴンちゃん(権田選手)もしていない。浦和の練習はゲーム形式が多いから、すね当ては大事だよね。選手会長のウガ(宇賀神選手)にすぐに言っておきます」と神妙な顔つきで話した。断っておくが、西川選手は練習中からすね当てを装着している。

長いシーズンを闘う中で、不慮の怪我は致し方ない。だが、予防出来ることや悪化させないために出来ることはある。備えあれば、憂い無し!これ以上、長期離脱選手がでないことを願う。ベストなコンディションで、選手たちをピッチに送り込み、最高のパフォーマンスで勝利に導け!

Q. 何故、机の角などに足をぶつけるのでしょうか?

A. 何故かと言うと、自分の指の位置感覚が悪い人が多いのです。母趾は、自分の位置を感じていますが、小趾は自分の趾としてその位置を感じていないわりと鈍感な趾です。頭の中で感覚として、認識されていないのです。「長い線の上を小趾が踏まないように歩いて下さい」と言っても、小趾で線を踏んでしまう人は沢山います。位置感覚が、鈍いのです。だから、足の指(趾)をぶつけてしまうのです。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

 

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