浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「教訓 」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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ACL敗退の3つの要因

夜空に月も星も見えない埼玉スタジアムに悲しげに鳴り響いた試合終了の笛の音は、浦和にACLグループリーグ予選敗退を告げていた。

4月21日、ACL生き残りを掛けた浦和は、水原に無失点か2点差以上の勝利が必要だった。ズラタン選手のゴールで先制し、突破に向けての希望の光は、僅か5分で消えた。そして、残されたアウェイでのブリスベン戦は、消化試合となってしまった。

敗退が決まった水原戦後の記者会見で、ミシャ監督は「負けたことはしっかりと受け止め、それをどのように教訓にしていくかが大切だ。敗退という結果に対して、批判されることは仕方ない。結果が出無ければ批判をされるものであり、我々の職業はそう言ったものだ」と話した。

結果が出無ければ、監督の責任である。それが、プロの世界である。

1試合を残して、僅かに勝ち点1しか獲得できなかった。浦和として、最も少ないACLの勝ち点であり、現時点はACL出場Jリーグのワースト記録となる。(2013年広島グループリーグ予選3分け3敗勝ち点3で敗退)それほど他のチームが強かったのか・・・。結果だけを見れば、浦和が全てにおいて弱かったと言わざるを得ないが、白旗を上げて完敗だった試合は1試合も無いように思える。

日本と比べて、中国や韓国のレベルが上がったと言う人もいるが、それは諸外国の補強の問題であって、レベルが上がっているとは思えなかった。

では何故、浦和は情けない結果で終わったのだろうか?!要因の一つとして、ゲームの運び方ではないかと思う。ACLを勝ち抜くためには、ホームでは勝利し、アゥエーでは負けない闘いが鉄則である。アウェイでの引き分けは、勝利と同じと言っても良いだろう。国内で闘うJリーグと比べてアウェイは、全てにおいて過酷になる。移動距離、気候、食事などあげれば切りが無いほど違いある。ボールを保持してパスを繋ぐミシャサッカーでは、ピッチのコンディションは重要な要素となってくる。ピッチコンディションが悪ければ、無理してボールを繋ぐ必要は無いだろう。試合の流れの展開によって先制点を奪えることが出来たら、そのまま虎の子の1点を守り切り勝利に繋げることが出来れば最高だ。

浦和は、初戦となったアウェイの水原戦で虎の子の1点を守り切れず、逆転負けをしてしまった。続くホームのブリスベン戦では、立ち上がりに失点し、ゲームの流れの中で修正を図りチャンスも迎えたが決定機に決められずに、那須大亮選手が退場となり0-1で敗戦。ブリスベンは、確実に虎の子の1点を守り切った。浦和以外のチームは、ACLを勝ち抜くための鉄則の試合運びをして、勝ち点を手に入れた。まさに現実的な闘い方であった。

ホームで引き分けに終わった北京戦後、ミシャ監督は「もし、違うやり方を手にすれば、すでにタイトルを手に入れているかも知れないが、私はそういう指導者ではない。私は、このサッカーでタイトルを獲りたい」と信念を話した。しかし、その直後に行なわれたアウェイのJリーグ川崎戦では、やり方を変え、前線からプレスを掛けずにリトリートさせて勝ち点を手に入れる現実的な闘い方をした。ならば、ACLでも現実的な闘い方が出来た筈である。

ACL敗退を受けて西川周作選手は「自分たちが、Jリーグでしか勝てていないのはもどかしい。内容は良いサッカーをしても、終盤に失点するのは足りないものがあるからだ。疲れて来た時に、どういう意識でプレーするとか、自分を犠牲にする精神だったり、基本的なところが、最後は大事になってくる。取れるボールも取れず、球際で負けたりすると流れも変わって来る。流れが悪い時に、気持ちをどう保つかだ。ポジティブにやっていけば、結果に繋がっていく。内容事態は、悪くない。ただ、結果が出なかった」と悔しそうに話した。

要因の二つ目には、ピッチ内での選手のメンタルがあげられるだろう。Jリーグ開幕戦となったアウェイ湘南戦で、阿部勇樹選手は仲間を鼓舞してチームを牽引し、見事に勝利へと導いた。チーム全員が、常にその意識を持って闘うことは出来る筈である。

そして、ホーム水原戦後に槙野智章選手と柏木陽介選手が指摘した「いつも試合に出ている選手と出ていない選手のコンディション差があった」ことが、要因の三つ目として考えられる。試合出場のチャンスが巡って来た選手たちは、このチャンスを活かそうと頑張る。

練習を取材していても、誰が出場しても良いと思えるぐらい本当に良い準備が出来ていた。しかし、残念なことに試合と練習は違っていた。選手にとって試合勘と言う物が、如何に大切な物であるかを痛感させられてしまった。もちろん、練習試合は組まれてはいるが、やはり公式戦となると違ってくる。JリーグとACLの過密日程の中で、いきなりターンオーバーするのではなく、対戦相手や試合の流れによって選手を起用しても良いのではないだろうか・・・。攻撃的なポジションの選手は、怪我人の状況や試合の展開によって流動的に起用されていたが、守備的な選手はほぼ固定されている。たしかに、守備的な選手を代える難しさはある。

以前は、サテライトリーグが存在し、コンスタントに試合が行われていた。若手の育成や怪我明けの選手の調整など重要な要素を兼ね備えていた。サテライトリーグの復活をJリーグにお願いしたい。試合会場や運営費の問題も出てくるだろう。関東近郊のチームだけのサテライトリーグやなでしこリーグとの共同運営など考えて欲しい。

いろいろと、敗退の要因はある。だが、ここからが大切なのだ。落ち込んでいる暇は無い。目の前には、Jリーグ名古屋戦が迫っている。来週の水曜日には、アウェイの甲府戦、土曜日にはホームでG大阪戦と試合が続く。西川選手は「このまま終わる訳にはいかない」と強い口調で話した。

2013年の広島は、ACL予選で若手選手を積極的に起用して勝ち点3で敗退した。だが、この年にJリーグ連覇に輝いている。森保一監督のやり方が、良いか悪いかは別として、ACLを若手育成の場へと完全に切り替えて臨んだのだ。

果たしてミシャ監督は、この敗退からどのような教訓を得たのだろうか?!それをしっかりとJリーグで活かして欲しい。今や、ACL優勝も敗退も過去の出来事である。栄光を勝ち取った想い出も、辛い悲しい想い出も全て消し去り、教訓を胸に刻んで新たな歴史を作っていこう。

Q. 足の指(趾)の関節について教えて下さい。

A. 母趾には、骨が2本しかありません。他の趾は、3本あり、手の指の関節と同じです。一番先にある末節骨と2番目が中節骨、そして基節骨でできています。母趾は、末節骨と基節骨だけです。猿は、足の指を良く使いますが、人間は足の指をあまり使いません。たとえ足の指を使っていても、細かい動作をしません。したがって趾は退化(むしろ進化なのかも知れませんが)して、小趾や第4趾は末節骨と中節骨がくっ付いて関節が2つしかない人がいます。骨が付いていることで、関節によるクッションが一カ所少なく状態なので、ぶつけると折れやすいことも考えられます。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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