浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】武藤「勝ち点が拾えて良かった」Jリーグ1stステージ第10節vs柏<興梠、槙野、梅崎、西川、橋本、関根、武藤コメントあり>(2015/6/4)

今日のポイント!「最後まで闘う気持ちで、貴重な勝ち点ゲット!」

先制したにも関わらず、落ち着きのない試合展開となり苦戦を強いられてしまった。もう少し、我慢強くしっかりとパスを繋いで自分たちのリズムを作りながら本来の闘いが出来れば良かったと思う。ボールの奪われ方が相手の狙い通りになってしまった。

興梠選手は「カウンターの攻め合いだった。決定機を決めていれば良かった。反省点だ。負けなかったのは良かったが、ピッチでやっていて勝てる相手だった。引き分けは悔しい。簡単に負けないことは良いことだし、負け試合を引き分けにもって行けたのは良かったが、個人的に悔しい」と試合を振り返った。

槙野智章選手も「結果的に最低限の仕事が出来た。不満が残る内容だったが、勝ち点1を取れたのは良かった」と悔しそうに話した。

ロッカールームから出て来た選手たちのほとんどが、興梠選手や槙野選手のように悔しがっていた。劣勢に立たされて苦しい展開であったが、選手たちの中に「絶対に負けない!」「負けたくない!」と言う強い気持ちがあったことが分かる。

諦めないで闘う姿勢を貫き、土壇場で追い付いた底力は素晴らしいものであった。貴重な勝ち点1をゲット出来たことは本当に良かったと思う。

梅崎が開始早々先制点「良い形で裏に抜けた」

朝から降り続いた雨も午後には止み、夕闇に包まれた日立柏サッカー場は涼しい風が吹いていたが、ピッチの中は熱かった。6月3日、青々とした芝生が照明の灯りでより輝いていた。ファーストステージ優勝に向けて独走態勢に入った浦和は、ACL出場の関係で未消化となっていた第10節の柏と対戦した。前節の鳥栖戦から中3日で行なわれたため、選手の疲労を考慮して、浦和はスタメンの前線3選手の組み合わせを入れ替え、また累積カードのため出場停止となった那須大亮選手に代わり永田充選手を今シーズンリーグ戦初のスタメンで起用して挑んだ。一方、柏は出場停止のエドゥアルド選手に変えて、関根貴大選手が対戦を楽しみにしていた中谷進之介選手を起用して来た。

レッズのキックオフで始まった試合は、開始早々いきなりレアンドロ選手がプレスをかけてボールを奪うとエリア内に進入、森脇良太選手が身体を入れてシュートを撃たさず。すると、その直後に浦和が逆襲し、宇賀神友弥選手がドリブルで駆け上がりフリーで走り込んで来た梅崎司選手へ、梅崎選手がGKの菅野孝憲選手を交わして無人のゴールへシュート!慌ててDFの中谷選手がボールをかき出すものの、武藤雄樹選手が押し込みゴール!しかし、その前に梅崎選手のシュートがゴールラインを割っていたので、梅崎選手の得点となった。

梅崎選手は「良い形でDFの裏に抜けて、良いボールが来て、冷静にGKを交わしてシュートしたが、ボテボテだった」と少し恥ずかしそうにゴールシーンを振り返った。

このまま、波に乗れると思いきや、西川周作選手からのビルドアップが工藤壮人選手に渡りそのまま持ち込まれて同点にされてしまった。西川選手は「上手く試合に入れなかった。失点をしてしまった。防げるところが防げなかった。ギリギリのところを狙ってトライした。失点の経験を生かしていきたい」と話した。浦和は、攻め急いでいるように落ち着きが無く、柏は前線からのプレス、プレスが効かない時はセットして浦和の楔のパスやサイドの揺さぶりのパスを狙い、ボールを奪うとしっかりと繋いだ遅攻と隙あらばカウンターを上手く使い分けて徐々に主導権を握り始めた。

21分、宇賀神選手のクロスに合わせようとした梅崎選手とズラタン選手が接触。梅崎選手は立ち上がりプレーを続けたが、ズラタン選手は立ち上がれずその場にうずくまってしまった。スタッフに支えられながらピッチを後にしたズラタン選手は、左足首の捻挫と診断。ズラタン選手の負傷で興梠慎三選手がピッチに送り込まれた。梅崎選手は試合後「ハーフタイムで交代したが、足は大丈夫です」と話し、「先制点が早すぎたのか、縦に急ぎ過ぎて逆に相手のカウンターになってしまった。自分たちのリズムで試合巧者になって展開出来ればよかったのに、お互いにカウンター合戦になってしまった。ボールの奪われ方が悪い状況が続いた。先制してから2点、3点目が入っていたら状況は違った。もう少し、落ち着けたら良かった。久しぶりのスタメンで結果が出せて良かったが、ハーフタイムの交代は残念だった」と話した。

2失点で逆転を許す。西川「トライした結果が失点に繋がってしまった」

32分には、柏木陽介選手のDFの裏を狙ったパスに反応した興梠選手が、ループシュートを狙うも菅野選手の好セーブに阻まれてしまった。自分たちのリズムが作れないまま、FKを柏に与えてしまい、直接狙った強烈なクリスティアーノ選手のFKを西川選手がキャッチ出来ずに零れたところをレアンドロ選手に詰められて1-2とされてしまった。

「正面のボールで、ボールがぶれていたがキャッチ出来ると思った。スリッピーな状態だったが、トライした結果が失点に繋がり、みんなに迷惑をかけた」と申し訳なさそうに話した。38分には、クリスティアーノ選手がカウンター攻撃を狙ってDFの裏へ飛び出して来たが、ペナルティーエリアから飛び出して来た西川選手がギリギリのところでボールをクリアして攻撃の芽を摘んだ。前半の終了間際には興梠選手がDFの裏に飛び出しでシュートを放つも決まらず、1-2で前半を折り返すこととなった。

槙野のゴールで同点。

1点を追う浦和は、梅崎選手に代えて李忠成選手を後半の頭から投入し反撃を試みた。李選手のシュートは菅野選手に阻まれ、レアンドロ選手のオフサイドぎりぎりに飛び出したシュートも決まらず一進一退の攻防が続く中で、浦和は交代枠の最後のカードとして宇賀神選手に代えて橋本和選手を投入し左サイドの活性化を図った。その交代直後の68分に柏木選手の右CKを槙野智章選手が今シーズン自身の初ゴールとなるヘディングシュートが決まり、やっと同点に追い付くことが出来た。そして、72分には橋本選手から見事なパスが逆サイドの武藤選手へと展開されるがシュートまで持ち込むことが出来なかった。

橋本選手は「レイソルは、上手い選手ばかりなので、自分が入ったら出来ることをやろうと思った。武藤がフリーにいたのが見えたので、思い切って遠い所を狙った」とシーンを振り返り、「逆転されて追い付いて、凄く行け行けの雰囲気だった。柏の応援はプレッシャーに感じずに頑張れた」と古巣との対戦の中でものびのびとプレーをしていた。

白熱するゲーム展開とは裏腹に、ピッチの中の蒸し暑さと激しい攻防が、リーグ戦初スタメンだった永田選手の身体を蝕んで行った。73分、左足のふくらはぎを永田選手が攣ってしまったのだ。しかし、残された交代枠は無い。永田選手は、攣っている状態のままプレーを続けていた。そして、78分太田徹郎選手のクロスを永田選手がクリアしようと身体を投げ出すも無情にもボールはファーサイドに走り込んで来たレアンドロ選手の下へ。レアンドロ選手が冷静に右足を振り抜き、再びリードを許してしまった。

ロスタイムに武藤が同点ゴール「勝ち点が拾えて良かった」

試合終了時間が迫る中、アディショナルタイムは4分。このまま逆転負けを喫すのか・・・と思われた90+1分、最後まで闘う姿勢を浦和は貫いた。森脇選手から李選手、李選手から関根選手へとリズム良くパスが繋がり、関根選手のピンポイントクロスで武藤選手が同点ゴールを叩き出した。

関根選手は「今日はきつかった。こんな試合展開になると思わなかった。昨年、柏で最後に決められて負けたことを思い、身体を張ろうと思って頑張った。ずっと自分のリズムで仕掛けられず、何もしていなかった。あの1本だけだった。武藤君に感謝」と安堵の表情を浮かべていた。武藤選手は「関根がボールを持って、スペースが空いていたから来るかなぁ~と思った。あれで、勝ち点が拾えて良かった」と笑みが零れた。

最後まで諦めずに闘う姿勢で、土壇場で追い付き3-3と引き分けで試合終了。貴重な勝ち点1をもぎ取った。

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