浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「浦和から再びあの特別なピッチを目指して~ズラタン・リュビヤンキッチ選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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「浦和で良いプレーをして、また代表に呼ばれたら良い。まずは、ここで頑張って結果を残すだけだ!」

ヘアースタイルを変えるイメージチェンジは、良くある話である。しかし、若い女性がいきなり髪の毛を切ると「失恋したの?」「心境の変化?何かあった?」と周囲から心配される。男性の場合は、いきなり丸刈りのような髪型にすると「何か悪いことしたの?」と周囲から白い目で見られ、反省の意味に捉えられてしまう。

いきなり丸刈りにしたズラタン選手は「ズラタンなの?って聞いてきたり、新しい助っ人なのかと思ったとか冗談で言われたり、悪いことしたのか?って聞かれた。何の意識もしていなかった」と周りの反応に少々戸惑い気味であった。照れながら「夏仕様になりました」と丸刈りの頭を撫でた。

日本に来てから丸刈りにしたのは初めてのことだが、ベルギー時代は丸刈りだったそうだ。近くで見るとほれぼれするぐらい、頭の形が良くて似合っている。「夏仕様」と本人は断言しているが、丸刈りにしたタイミングを考えると・・・。ズラタン選手の胸中を思うと、何もかも払拭してさっぱりとしたかったのではないだろうか?

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ズラタン選手が丸刈りにしたのは、ワールドカップ予選のためにJリーグが中断されていた6月10日のことであった。怪我さえなければ、ズラタン選手はスロベニア代表選手としてちょうど母国に帰国しているはずだった。6月3日に行われた柏戦の前半21分、左足首を捻挫してしまったズラタン選手は、負傷交代を余儀なくされ、凄く悲しそうな表情をしてスタッフに抱えられながらロッカールームへと引き上げて行ったのだ。結局、この怪我が原因でスロベニア代表を辞退せざるを得なかった。

ズラタン選手は「代表に呼んでもらえるのは、誇りだ。何をピッチで起こそうか、楽しみだった。自分の国の旗を背負ってプレーするは、特別な物だ。国全体が1つになってサッカーをみんなが見ているピッチで闘っていると特別な感じがする。サッカーをやって来て、本当に素晴らしい瞬間だ」と代表に対する思いを話してくれた。

ズラタン選手は、2006年2月にスロベニア代表に選出されてから、ずっと代表に呼ばれ続けて来た。だが、代表を辞退したのは今回が初めてでは無かった。大宮が残留争いをしていた2012年に、チームの状況を考慮して代表を辞退。そして翌年の2013年は、大宮対甲府戦で負傷したが、帰国後に左下腿肉離れと診断されて辞退が決まってしまった。2014年にも「ウルグアイとアルゼンチンとの親善試合があって、良い緊張感があった。大事な時に怪我をしてしまった。今回の代表辞退と状況が似ている」とズラタン選手は話したが、今回は親善試合とは違う。UEFA EURO2016出場が掛かる大切な試合であった。

それでもズラタン選手は「下を向いていても、仕方ないから、切り替えてやるしかないんだ。代表に行けなかったは残念だけど、ホッとしたのは、怪我がシリアスな問題じゃなかったことだよ。短期間で捻挫を治せた。10日ほどトレーニングは出来なかったけど、良い形でリカバー出来ている。リハビリから戻って、チームとやって良い形が出来る感触がある」と代表辞退したことをすっかり切り替えているように笑顔を見せた。

ズラタン選手が辞退したスロベニア代表は、6月16日にUEFA EURO2016予選でイングランド代表と対戦した。試合は、名古屋のノヴァコビッチ選手が先制ゴールを決めるも、アーセナルのウィルシャー選手の2ゴールでイングランドにリードを許し、84分に千葉のペチュニク選手のゴールで同点に追い付くも、86分にマンチェスター・ユナイテッドのルーニー選手のゴールが決まり2-3でイングランド代表に敗戦を喫した。

スロベニア代表を下したイングランド代表は、EURO予選6連勝を飾った。もしも、ズラタン選手が出場していたら、きっとゴールを決めてイングランド代表の連勝を止めていたに違いないと、身びいきかも知れないがそう思ってしまった。

ズラタン選手は「試合の開始時間が遅かったから(日本時間午前1時キックオフ)ハイライトを見た。試合後に仲間と話したが、2-2の状態で引き分けでも良かったと思う。試合の最後にルーニーに決められて予選突破が難しくなった。ドローで良かったんだよ」と悔しそうに話した。そして「まだ、予選は4試合残っている。EURO出場の可能性があると思う。自分が辞退したことも今回のことも下を向いていても仕方が無いんだ」とズラタン選手は前を向いていた。

「浦和で良いプレーをして、また代表に呼ばれたら良い。まずは、ここで頑張って結果を残すだけだ!」とズラタン選手は意欲を見せた。「じゃぁ~まずは、神戸戦だね」と話しかけると、ズラタン選手は嬉しそうに満面の笑みで頷いた。丸刈りにしてイメージチェンジをしたズラタン選手であったが、さっぱりとしたのは髪型だけでは無かった。心もさっぱりとして、1からのスタートを切ったようであった。ズラタン選手は、浦和から再びあの特別なピッチを目指す!

Q. 石原選手が怪我をした時に、内側則副靱帯も損傷しているのではと思ってしまいました。

A. だいたい膝が曲がっている状態で、足首が外側に向いて膝が内側に入ると前十字靱帯と一緒に内側則副靱帯も損傷することがあります。内側則副靱帯だけが切れてしまうこともありますが、膝の捻り方で前十字靱帯が損傷します。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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