<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】梅崎が勝利を呼び込む大活躍「蹴った瞬間入ったと思った」2015Jリーグ2ndステージ第6節vs新潟<梅崎、西川、ズラタン、槙野、高木、青木コメントあり>(2015/8/13)
今日のポイント!「勝利を呼び込んだ梅崎司選手」
代表の疲れを見せずに身体を張った守備をみせた西川周作選手と槙野智章選手を褒めたい。2人は守備だけでなく、新潟に主導権を握られながらも西川選手の正確なビルドアップから徐々にリズムを取り戻したり、槙野選手の攻撃参加は素晴らしいものがあった。
だが、やはり勝利を呼び込んだ梅崎司選手だ!!試合を決めることとなった、青木拓矢選手の素早い判断、冷静にボールを梅崎選手に落とした李選手も素晴らしかった。青木選手と李選手のお膳立てがあったが、あの梅崎選手の思い切の良さからスーパーゴールが生まれた。
梅崎選手は「自分の前で空間が出来て、自分の感覚でキュッと持ち出し、力が抜けて力みなく撃てた。蹴った瞬間に入ったという感じだった」とゴールシーンを振り返った。決まった瞬間に梅崎選手は、マネージャーの水上さんに駆け寄り、喜びを分かちあっていた。「水さんが、『待っているから』と言うから・・・」と照れながら話していたが、影でチームを支えてくれている水上マネージャーへの感謝の思いが込められていた。
チーム一丸となって闘う大切な思いが、この試合にあった。
序盤は新潟のハイプレスに苦戦も梅崎の活躍で逆転勝利
お盆休みの前日である8月12日。水曜日のナイトゲームではあったが、デンカビックスワンスタジアムのアウェイゴール裏は、赤く染まっていた。
2ndステージ1勝2分け2敗と波に乗り切れない浦和だが、J1リーグ対新潟戦は18勝4分け1敗と相性が良い。それだけに、2ndステージの浮上のきっかけをここで掴みたい。
しかし、東アジア選手権から10日に帰国した代表組にとっては、厳しいスケジュールとなった。ミシャ監督は、怪我の状況を考えて興梠慎三選手と武藤雄樹選手を外し、ズラタン選手を2ndステージ初先発(6月3日柏戦以来)で起用し、シャドーに4試合連続スタメンの高木俊幸選手と5試合ぶりにスタメン復帰した梅崎司選手を並べて挑んだ。また、コンディションに不安があった柏木陽介選手と槙野智章選手もスタメンに名を連ねた。
一方、新潟は攻撃の鍵となるラファエル・シルバを怪我で、レオ・シルバを出場停止で欠き厳しい状況であった。
夜の帳が下りると、浦和よりも涼しげで気温27.6℃であった。だが、ピッチの中は、湿度71%と蒸し暑い状況であった。新潟のキックオフで始まった試合は、立ち上がりから新潟が前線から嵌めこむ激しいプレスを掛けて主導権を握った。
3分、加藤大選手が左サイドをドリブルで切り裂きチャンスを作り出し、4分には山崎亮平選手の折り返しを指宿洋史選手がシュートを狙って来た。浦和のDFの裏を狙う鋭いパスで浦和のDF陣はバタついてしまった。
リズムが掴めない中でも9分、エリア内でDFを交わした高木俊幸選手が走りこんで来た柏木選手へとマイナスのパスを送り、柏木選手が放ったシュートの零れ球を関根貴大選手がシュートを放つも枠を捉えることが出来なかった。
そして、12分には、小林裕紀選手からペナルティーアーク付近で受けた山本康弘選手がゴール左隅を狙ったシュートを放つが、ゴールポストに直撃!その零れ球にいち早く反応したのは、山崎亮平選手であった。山崎選手が左足で押し込み、新潟に先制点を与えてしまった。
しかし西川周作選手は冷静であった「2ndステージ勝てて無かったので、守備からしっから入ろうと思っていたが、新潟が前から来るので繋ぐことを意識した。苦しい時間もあった。前半は間延びしてしまい、コンパクトに出来れば簡単に崩されないと思っていた。前半、DFがバタついた中でも余裕があって、行けると思った。最初、繋ぎが上手く行かなかったが、新潟が90分通して新潟の前プレスは続くとは思わなかった。久しぶりに手応えを感じた。我慢強く戦った」と話した。
新潟に先制はされたものの、浦和は焦らずに徐々に自分たちのリズムを取り戻していった。26分、柏木選手のパスを受けた梅崎司選手が左サイドで新潟のDFを巧みに交わし、ドリブルでエリア内に持ち込み、DF2枚を背負いながらも切り返してクロスを上げると、絶妙なタイミングでズラタン選手のヘディングシュートが決まり同点に追い付いた。
同点ゴールを決めたズラタン選手は「4試合勝ちが無く、非常にプレッシャーの掛かる試合だった。僕からしたら、ウメが同じラインで、ウメが切り返して止まった瞬間にターンしてDFの裏に出た。クロスの質が素晴らしかった。ウメのターンの切り返しに相手のDFが釣られたところもあった。ウメのクオリティーが、運んでくれたゴールだ」とアシストをした梅崎選手を大絶賛していた。
梅崎選手は「イメージでクロスを上げた。(ズラタン選手が)見えていた訳じゃない。相手に追い付かれて、切り返した。自分のイメージとタイミング、ズラのポジショニングが良かった」とゴールを決めたズラタン選手を褒めた。
32分には、疲れ知らずの槙野選手がオーバーラップを掛けて、ズラタン選手とワンツーからシュートを放つが決まらず、前半終了間際にはドリブルで右から斜めに切れ込んだ梅崎選手が振り向きざまに右足でゴールを狙うも決まらず、前半は1-1で折り返した。
前半は新潟ペースの中で、同点に追い付き息を吹き返した浦和だったが、後半は立ち上がりから主導権を握っていった。52分には高木選手の左CKを槙野選手がヘディングシュートを放つが、GKが好セーブに阻まれてしまった。その零れ球を直ぐに立ち上がり拾った槙野選手は再びゴールを狙ったが、今度はDFが身体を張り決まらず、ルーズボールをオーバーヘッドで狙い追加点への執念を見せた。
槙野選手は「勝ちから遠ざかっていたから、勝ちに拘った。点が獲れていないからね。勝ち点3を獲るのは、簡単なことではない。勝ちたいだけではダメなんだ。ハードワークが大事!綺麗なサッカーでは勝てない。身体を張る。セカンド、球際やみんなが小さいところが勝ちに繋がった」と笑った。
浦和の猛攻は続き、53分には関根選手のクロスに対して相手GKを出し抜くヒールシュートを高木選手が放つも左ポストに直撃してしまった。
高木選手は「居残り練習で関根のクロスに付き合っていて、なんとなく来るかなぁ?!と思った。良い形でボールが入った。練習通りに決まれば良かった」と悔しがっていた。「モリが、ゴールが獲れていない中で、自分が、自分が、にならないでやっているのは素晴らしいと言ってくれた。チームに勝ちは必要。アウェイで勝って帰れるのは大きい。ゴールが全てでは無いけれど、期待している人のために結果が大事だ」と高木選手は話していた。
浦和も新潟も追加点を目指して、試合は激化していった。64分には、加藤選手のシュートを至近距離でブロックした西川選手が倒れ込んだ。なかなか立ち上がらない西川選手だったが大事に至らなかったが、西川選手は「大事なところにボールが当たったので・・・エヘ」と照れ笑いしていた。その直後、新潟は加藤選手に代えて佐藤優平選手を、浦和は高木選手に代えて青木拓矢選手を投入しシャドーの一角を柏木選手に任せた。
そして、71分にはズラタン選手に代わり李忠成選手を投入して攻撃の活性化を図った。青木選手は「新潟は運動もあり、前から来ていた。相手のカウンターを潰すことを言われていた。うちも攻撃が早くなり、チャンスでもありピンチでもあった。松本戦と似た形になった。最後、身体を張ったところが勝ちに繋がった。最後はみんなしんどかったと思う」と話した。
浦和の待望の追加点は、青木選手の素早い判断から始まった。76分、青木選手のクイックリスタートのFKを李選手が梅崎選手へ落とし、梅崎選手のスーパーシュートがゴールネットに突き刺さったのだ!!青木選手は「FKを蹴る前に3方向を見た。パット見て、空いていたから、最後に見てここだと思って出した。チュン君に付けて、ウメがフリーだった。ウメはシュートを持っている」と嬉しそうに話した。
その後、阿部勇樹選手が右目上を切り出血し、手当やユニホームを着替えるハプニングもあったが、88分には柏木選手に代えて平川選手を投入し、新潟の左サイドで厄介な動きをするコルテースを押さえる守備を見せて、新潟のパワープレーも跳ね除けて浦和が2-1と逆転勝利を収めた。