浦和フットボール通信

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<ハイライト映像付き>【河合貴子の試合レビュー】平川が90分闘い抜く「年上の自分がやっていく姿を後輩に見せたかった」2015Jリーグ2ndステージ第8節vsベガルタ仙台<平川、武藤、柏木、那須、興梠、ズラタンコメントあり>(2015/8/23)

今日のポイント!「90分間戦い抜いた平川選手」

古巣相手に1ゴール1アシストと成長した姿を見せた武藤雄樹選手。ヒーローインタビューの後に、仙台サポーターへ深々と頭を下げた。仙台から駆けつけた人々は、そんな武藤選手の姿に惜しみない拍手を送り、その拍手に応えるようにもう一度武藤選手は感謝の気持ちを籠めて頭を下げていた。

もちろん、試合を決めた武藤選手は素晴らしかった。だが、今日の試合のポイントは、出場停止の関根貴大選手に代わって8試合ぶりの先発起用となった平川忠亮選手だ。6月27日新潟戦以来、約2カ月もの期間を感じさせない試合勘であった。

平川選手は「なかなかチャンスが無い中で、たまに来るチャンスは難しいが、試合に出られない選手は居る。チームが勝利をするために、何が出来るかだ。90分出来て良かった」と安堵の表情を浮かべ「天野コーチが、コンディションを落とさないメニューを考えて練習をしてくれた。その熱意に応えたかったし、年上の自分がやっていく姿を後輩に見せたかった。それが見せられた90分だった」と話した。

試合終了間際も、全力でボールを追いかけた平川選手。右太腿裏を気にしていたが、実は最後に足が攣ったそうだ。チーム最年長の平川選手の攻守に渡る気迫の籠ったプレーに胸が熱くなった。

2ndステージ、3連勝と波に乗り年間首位キープ

残暑厳しい8月22日、西日が傾き茜色に染まった空が秋の訪れが近いことを示していた。夏休み最後のホームゲームとなった埼玉スタジアムには、約3万4千人の人々が訪れていた。

アウェイの仙台は、浦和にとって鬼門と言われてきたが、浦和はホームの仙台戦に敗戦をしたことが無い。2ndステージの出遅れを少しでも取り戻し、年間首位をがっちりと固めたい浦和は、3連勝を目指してホーム埼玉スタジアムで仙台を迎え撃った。累積カードのため出場停止となった関根貴大選手のポジションを巡り、烈火したポジション争いを征したのは、平川忠亮選手であった。平川選手は、6月27日1stステージ最終節の新潟戦で先発して以来、8試合ぶりの先発となった。

仙台のキックオフで始まった試合は、予想していた仙台のフォーメーション4-4-2とは違い5-4-1としっかりとブロックを形成して守備的な闘いを仙台は仕掛けて来た。

渡辺晋監督は「対浦和と言うこともあり、直近の2ゲームで守備の反省でシステムを変えて挑んだ。後ろに枚数を増やしてブロックを作った。攻守のバランスを考えて、今回トライするタイミングだった」と試合後の記者会見で話していた。

古巣相手に意気込んでいた武藤雄樹選手は「4バックに自信を持っているチームが、5バックにして嵌めて来た。初めての5DFだった。でも、同じシステムで長くやって来ているので自信があった」と話し、平川忠亮選手も「うちに合わせて来る形で、うちより上に行くのは難しいと思う。自信を持っているし、ハードワークで闘うことは、きっちりと出来た」と仙台が嵌めて来るフォーメーションでも選手は慌てずに、自信を持って試合に入って行った。

前日練習で行なっていたCKからの攻守の切り替えが功を奏した。8分に野沢拓也選手の左CKのルーズボールをしっかりと西川周作選手がキャッチングして、すぐに前線の梅崎司選手へと送りカウンターを仕掛けた。パスを受けた梅崎選手は、フリーで掛け上がってきた柏木陽介選手にボールを預け、柏木選手がドリブルで持ち上がるとキム・ミンテ選手が思わず後ろからファールで止めるしかなかった。ペナルティーアークゴール正面のFKを槙野智章選手がフェイントで跨ぎ、直接狙った柏木選手のFKがゴール右隅に吸い込まれて浦和が先制!!

柏木選手は「イメージ通りだった。(GKが)あそこに立っていて大丈夫なのかなぁ?」と仙台のGK六反勇治選手のポジショニングを心配する余裕のFKであった。

1点を追う仙台は、前には出て来ず虎視眈々と同点にするチャンスを覗っていた。23分、六反選手から正確なビルドアップを金園英学選手がポストプレーで梁勇基選手へ落とし、梁選手が野沢選手とワンツゥーで抜け出して、ワンチャンスを物にして同点とされてしまった。

那須大亮選手は「前半、良い形で1点を獲ったのに、ワンチャンスで失点をしてしまった」と悔しがった。しかし、同点にされても焦りはなかった「退いた相手に対して、苦手意識は無かった。ボールを動かせれば、相手がバテルと思っていた。ミスしてもリスクマネジメントして1-1になっても落ち着いてやれた」と話した。

浦和は、同点にされても主導権を握り攻め続けた。26分には、森脇良太選手からの浮球に梅崎選手がDFの裏を飛び出したが、シュートまでは持ち込めなかった。32分には、阿部勇樹選手、武藤選手、柏木選手と浦和らしいリズミカルなパス回しから再び阿部選手がパスを受けると、興梠選手が阿部選手の縦パスを受けてエリア内で切り返してシュートを放つも六反選手の好セイブで決まらず、その零れ球を柏木選手が放ったヘディングシュートも六反選手にキャッチされてしまった。

その5分後、阿部選手、武藤選手、柏木選手と又もやリズミカルにパスを回して、今度は柏木選手から梅崎選手がダイレクトで浮球を興梠選手へ送ると、斜めに走り込んだ武藤選手へヘッドで落とし、武藤選手が身体を投げ出しながら右足ワンタッチシュートを決めた。

アシストした興梠選手は「いつも練習でやっていることだからね」と話しながらも「今日は、なかなかスペースが無く、相手が5DFで来てボールを貰えなかった。でも、決定的なシーンもあった。今は持ってないのかなぁ・・・。1本ゴールが決まれば、連続でゴールが獲れると思うが、その1本が来ない。ボールも来なかったけど、走れなくなっている。疲れているのかなぁ?!身体が重いし、動けていない。早くコンディションを上げないといけない。チームは良いが、個人としては、ハードワークが必要だ。FWは、点が獲れなくなるとなかなか自分のプレーが出来なくなる。決定機があるので、そこをしっかりと決めたい」と自身のプレーについて反省していた。

古巣相手にゴールを決めた武藤選手は「浦和らしいパスワークからのゴール。コンビネーションがイメージ通りだった。練習の中でしている形で、慎三に渡った時に信じて走った。2桁ゴールを目標にしていたので、達成出来て良かった。仙台相手に獲れて特別な気持ちがある」と満面な笑みを湛えていた。

武藤選手のゴールが決まり、再びリードした浦和に対し、仙台は浦和が後でボールを回すが喰いついて来ないまま前半を2-1で折り返した。

仙台にとって1点差は射程圏内のか、後半も立ち上がりから仙台は闘い方を変えず浦和が主導権を握り追加点を狙っていった。

那須選手は「後半も仙台はロングボールだったので、これ以上失点したらイカンと思った。暑さも一山越えた。動けなくなる暑さでは無かった。ゾノが(金園選手)前線でずっとボールを追っていて疲れていて、仙台は攻めのパワーが使えていなかったし、上手く浦和がボールを回していたから相手もボールの取りどころが無かったと思う。慌てずにボールを動かして、機を見て縦パスで攻撃のスイッチを入れたし、縦パスが入って相手に取られてカウンターのリスクマネジメントの早さを意識して主導権を握った。ロングボールに対して、アウェイの仙台戦は間延びしてうちの良さが出無かったから、その経験がチーム力を上げてくれた」と嬉しそうに試合を振り返った。

59分、仙台は疲れが見えだした金園選手に代えてハモン・ロペス選手をピッチに送り込んで来た。その直後、武藤選手の落としを阿部選手が強烈なミドルシュートを放つも決まらず。仙台を突き離す溜めに、李忠成選手に準備させていた。それを見た仙台ベンチも動き、63分には菅井直樹選手に代えて二見宏志選手を投入して来た。そして浦和は、64分に梅崎選手に代えて李選手、65分に柏木選手に代えて青木拓矢選手と立て続けに交代カードを切った。

70分に武藤選手がペナルティーエリア僅か外で倒されFKを獲得。FKを槙野選手と李選手が蹴る振りをして、興梠選手がキッカーを務めるも壁に阻まれてしまった。その零れ球を興梠選手が拾ってシュートを放つも惜しくも枠を捉えることが出来なかった。チャンスを生かせず興梠選手は73分にズラタン選手と交代。そのズラタン選手が、宇賀神選手の放ったシュートで獲得したCKで見事なヘディングシュートを決めた。交代してピッチに入った2分後の75分の出来事であった。

武藤選手の右CKを綺麗にゴール左へと流し込んだのだ。ズラタン選手は「嬉しいですねぇ~ピッチに入ってすぐだし、素晴らしいゴールで決めることが出来た。相手がゾーンディンフェンスで下がっていてマーキングがタイトでなかった。タイミング良くボールが入ってミートした。武藤のCKも素晴らしかった」と話した。CKからアシストした武藤選手は「CK、誰もキッカーがいなかった。僕もゴール前に入りたかったけど・・・。代表で蹴っていたのが生かされた」と照れながら話していた。

3-1とリードした浦和であったが、攻撃の手を緩めずにチャンスを作り続けた。76分に李選手のマイナスのクロスを阿部選手が、78分にはズラタン選手がDFと競りながら潰れて隙を武藤選手がドリブルで持ち込んで青木選手がシュートを狙うも決め切れなかった。
2点を追う仙台は、奥埜博亮選手を入れて本来の形である4-4-2システムに変更して来たが、時すでに遅し、浦和が逃げ切り3-1で仙台を下した。浦和は仙台戦に勝利し年間順位首位をキープして、2ndステージ4位に浮上した。

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