【河合貴子の大原なう】主力組を務めていた永田が怪我で離脱<ペトロヴィッチ監督コメントあり>(2015/12/25)
身を引き締めて、集中力を高め、いざ!決戦の地 長居へ
華やかなクリスマスの喧騒を吹き飛ばす冷たい北風が吹き荒れる12月25日。ミーティングを終え浦和の選手たちは、身を引き締めて天皇杯準々決勝神戸戦の試合前日練習を始めた。
体調不良を訴えていた斎藤翔太選手は今日も残念ながらお休みとなり、右足ハムストリング肉離れの平川忠亮選手はリハビリとなった。
3グループに分かれて行なわれたアップのボール回しの通称”鳥かご”で、槙野智章選手や阿部勇樹選手、宇賀神友弥選手のグループに入った武藤雄樹選手が、何故かリズムに乗り切れないで常にボールを追いかけまわす「鬼」になっていた。何度も「鬼」になる武藤選手は「嘘でしょう~」「マジ、ヤバい!」と冷や汗をかいていた。
そして恒例のハーフコートでのミニゲームは、ビブ組がGK西川、DF槙野、那須、森脇、MF橋本、阿部、柏木、梅崎、高木、石原、FWズラタン。ビブなし組がGK大谷・岩舘・福島、DF岡本、永田、加賀、MF宇賀神、伊藤、青木、関根、武藤、李、FW興梠の組み合わせで行なわれた。
なお、茂木力也選手と鈴木啓太選手は天野コーチの下で、ミニゲームに参加していないGKを相手にシュート練習を行なっていた。
1本目、立ち上がりから主導権を握ったのはビブ組であった。しかし、ビブなし組の守備が堅く、危険な縦パスを入れるタイミングを図りながらボールを保持して我慢強く闘っていた。
柏木選手からズラタン選手へと楔のパスが入り、ズラタン選手の空けたスペースに梅崎司選手が飛び込みゴールを狙うもGK大谷幸輝選手の正面となってしまった。
また、ビブ組は高木俊幸選手、石原直樹選手、ズラタン選手のコンビネーションからシュートを放つシーンもあったが、枠を捉えることが出来なかった。
前線からプレスを掛けたビブ組は、DFラインも高くコンパクトしていた。高いポジションを取った槙野選手が、狙い澄ましたようにボールを奪い、そのまま持ち込みシュート!!ゴール右隅へと叩き込んだ。1本目は、風上のビブ組みが、攻守の切り替えが早く良い闘いをしていた。
2本目は、前線の3選手と両ワイドの選手を入れ替えて行なわれた。ビブ組は、1本目と同様に風上に陣地を取っていた。
永田充選手に異変が起きたのは、2本目のミニゲームが開始した直後のことであった。厳しい表情を浮かべた永田選手は、ピッチを離れてトレーナーに付き添われてロッカールームへと消えていった。
ミシャ監督は「永田は、以前にふくらはぎの筋肉系の怪我をしていた。同じところだ。遠征に帯同せずにこちらに残る。勝ち上がった試合に関しては、ドクターと経過を見る」と練習後の記者会見で明らかにした。この中断期間に永田選手を中心にDFラインを構成して来ただけに、残念でならない。
離脱した永田選手に代わって茂木選手がビブなし組のDFラインに入った。
2本目の主導権を握ったのは、風下のビブなし組であった。大谷選手からいきなりゴール前に走り込んだ橋本和選手へとロングボールが通り、橋本選手がシュートを放つ鋭いカウンターを見せた。
鋭いカウンターを受けたビブ組は、前線からの嵌めこむ守備を激しさを増していった。高い位置でボールを奪うビブ組は、右のバイタルエリアに流れた李忠成選手からゴール前の興梠慎三選手へ、興梠選手のマイナスのクロスを関根貴大選手がゴール右隅へと叩き込んだ。
テンポの良いパス回しで、スペースを作る、使う動きの中から生まれたビューティフルゴールであった。ラストゴールは、森脇選手のアーリークロスにアップの時から不調だった武藤選手が飛び込みシュート!しかしGKのファインセーブに合い、そのこぼれ球を武藤選手が直ぐに拾ってゴールへと流し込んだ。泥臭い武藤選手のゴールで約1時間の練習を終えた。
練習後、ミシャ監督は「長く試合が空いてしまった影響で、緊張感、集中力を保つのが難しい。簡単な状況ではないが、チームはしっかりとトレーニングを積んできた。もう一度遣るべきサッカー、戦術を日々確認してきた。天皇杯に向かって良い緊張感に繋がった」と手応えを感じていた。そして、対戦相手の神戸について「非常に規律のあるチームだ。攻撃面でもレアンドロ、渡邉、森岡と個人の能力が高く、危険な攻撃を仕掛けて来る。危険な形でカウンターをさせないことだ。神戸は退いて、我々の攻撃のミスを誘ってカウンター狙いでくる。策に嵌らないことだ」と警戒を強めていた。
浦和は、1月1日まで駒を進めるために集中力を高めて万全な準備をしてきた。無冠で今シーズンを終わる訳にはいかない浦和のプライドを胸に刻み、選手たちは試合会場の大阪へと移動した。