河合貴子のレッズ魂ここにあり!「世界と闘って~堀之内聖選手」
J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
惨敗であったが堀之内選手はワールドカップ出場で得たものが多かった
「このままでは終われない!4年後を狙う!」
第2回フットゴルフワールドカップアルゼンチン大会に日本代表として初出場を果たした堀之内聖選手は、目をギラギラと輝かせながら話した。
28カ国250名が参加したフットゴルフワールドカップアルゼンチン大会は、上位150名が決勝ラウンドに進出し、団体戦では予選ラウンドの個人成績を総合して上位8カ国が決勝ラウンドに進出出来る。
大会前に「トップ10入り」と目標を掲げた堀之内選手だった。元Jリーガーとしての意地があった。「堀さんなら初参戦でも好成績を残せる!」ゲームの流れを読み、冷静沈着でクレバーな堀之内選手のピッチでの活躍を知る人々からも大きな期待が掛かった。だが、世界の壁は高く、分厚いものであった。
ワールドカップの開会式では、参加国の紹介で国歌が流れた。堀之内選手は、参加した日本代表選手16名と共に肩を組んで国歌を歌った。
「さすがワールドカップだなぁ」身が引き締まる思いであった。
ラウンド初日、堀之内選手は、中国、ノルウェー、メキシコの代表選手たちと同じ組となった。緊張感が高まる中、いきなり約3時間も遅れて試合が始まった。
「いつ自分の出番が来るのか分からない。分かるのは、あと何組後だけだった。ストレッチしたり、少し練習したり、クラブハウスで待機しながら時々様子を見に行った。30分ぐらいだったら、まだかよ~何分待たせるんだよって思ったが、すごく遅れていたので逆に吹っ切れた。南米タイムと思えば、諦めがついた」と堀之内選手は笑顔を見せて話してくれた。
そして、やっと試合が始まった最初の第一打を「4人目に打ったんですが、緊張しました。置きに行っちゃいました。1打目をそこそこの球が打てたら落ち着く。フットゴルフの世界大会を経験した人に、1ホール目をパーで回れるとその後の気が楽になると聞いていた。実際僕は、1ホール目はボギーだった。最初の出だしでつまずくと挽回するのが大変だって思った。日本よりは、コースは長かったしグリーン周りも難しかった」と振り返った。
実際の試合の映像を堀之内選手に見せてもらったが、初めて見るフットゴルフワールドカップは、想像を遙かに超えるものであった。日本のゴルフコースよりも長く、池のすぐそばにカップがあったり、グリーン周りの傾斜がきつく、芝目も厳しい。これが、フットゴルフワールドカップなんだと驚愕した。目の前の池を越えて、そのすぐそばのカップを狙うにはどうすれば良いのか皆目見当もつかない。
実際の映像では、池は越えたがグリーン周りの傾斜と芝目によってボールは、グリーンに乗らずにコロコロと池に吸い寄せられるように転がって行った。
堀之内選手は「池のふちを狙えばボールは当然止まる。でも、池に落ちるリスクを考えたら難しい。スーパーショットを狙う選手は、水切り(水面を跳ねる)をさせる。石の場合はポンポンって水面を跳ねるけど、サッカーボールの場合は水切りしないで2回目で沈んでしまうんです。力を落として、池のふちの手前で一回水切りさせてグリーンを狙った選手がいた。世界は凄い」と世界の技術の高さを実感した。
サッカー選手として培ってきた技術が、試合で生かされると思っていた。30メートルのコースを1本で決めたり、バーディーをとったホールもあった。
だが、試合で堀之内選手は「初日の4番か5番ホールだったと思う。風が強く、下から登りのラインだった。一回ボールが転がると止まらないグリーンがあった。蹴ってピンそばまで寄ったが、風が強くて転がって落ちて来て蹴った位置まで戻ってきてしまう。3回ぐらい戻って来た。何で僕のボールは止まらないんだ。他のみんなは止まっているのに、何なんだ!?
結局パー5で、僕は11打叩いた。正直、集中が切れた。蹴ったボールが戻って来るって残酷ですよ。それで初日は、崩れた」と辛そうに話した。
初日は、+25打。「これでは、まずい」と堀之内選手は思って、2日目を迎える前に18ホールを回って修正を図った。その甲斐があって2日目は、+11打と成績を上げた。
世界との差を感じた堀之内選手は「フットゴルフは、奥が深い。世界は広いなぁ」とため息をついた。しかし、すぐに目を輝かせて「この段階で世界を経験出来た」と笑った。各ホールには、運営スタフが打数をカウントしたり、反則がないが目を光らせているそうだ。
4人1組で回るパーティーでは、ピリピリした雰囲気の組もある。実際に8打のところを7打で申告して揉めたりすることもある。堀之内選手は「フットゴルフは、足の裏を使うのは反則。僕がトゥーキックでボールの上を蹴って縦回転をかけたら、足の裏じゃないか?気をつけた方が良いよって言われた。有り難うって言って上手く流した。ピリピリしてもしょうがない。4人以外に250人もいる。自分自身との勝負。ナイスショットって言われれば嬉しいし、良い雰囲気で回れる。雰囲気が良ければ、ショットも良くなる」ワールドカップでの心理戦も体験出来た。
更に、大会前の準備が如何に大切であるかも堀之内選手は実感した。「前日練習が失敗だった。慣れている選手は、グリーン周りを練習してフックライン、スライスラインを調べていた。カップに入れるために何処にボールを置くのが良いのか、逆算して狙う位置を決めていた。ひたすらグリーン周りで練習してコースマネージメントをしっかりやっていた。僕は、普通にコースを回っただけだった。甘かった」と堀之内選手は反省していた。
また、堀之内選手が使用したボールは、レッズのエンブレムが入ったボールであった。しかし「フットゴルフ界で神様ボールと言うのがあった。上位の選手、8割が使っていた。2011年Jリーグでも使われたスピードセルだ。軽くて良く飛び、ブレ球になるって当時言われていたあのボールだ。あと、ジャブラニが主流だった。みんなマイボールに、マイ空気圧計、空気入れ持っていた。空気が少ないベコベコのボールはコントロールしやすいが飛ばない。空気が沢山入っているボールは良く飛ぶ。みんな状況に合わせていた。準備の段階で出来て居なかった」と反省を生かして帰国後に堀之内選手は神様ボールを探した。
また、現役時代と比べて筋力も落ちていて、飛距離が出なかった。今後、体力面の強化も図る。
「知り合った代表選手やいろんな人たちとの出会いがあった。いろんな考えがあって、勉強出来た」と惨敗であったが堀之内選手はワールドカップ出場で得たものが多かった。
「この経験を次に生かさないといけない」と身を引き締めて3月27日に開催されるジャパンオープンの出場を目指す。今年の8月には、初のアジア大会もある。国内の大会で好成績を残して、日本代表入りをする。再び、あの舞台に立つために・・・。このままでは終われない。世界と闘うために、堀之内選手の新たな挑戦が始まった。
追記
堀之内選手ワールドカップアルゼンチン大会出場にあたり設置されました「堀之内選手を応援する募金箱」に多くの方々よりご協力を頂き有り難うございました。
堀之内選手は「沢山の皆様からのお気持ちに感謝いたします。本当に有り難うございました」と感謝の言葉を述べ「皆様から頂いた募金を、フットゴルフの普及のために使わせて頂きたい。ハード面が揃わないといけないとワールドカップ出場して感じた」と話した。そして、レッランドのフットゴルフコース充実化を図り、フットゴルフの普及と募金して頂いた皆様に少しでも還元したいそうだ。
A.運動をし過ぎることにより精神的に疲れると、身体の中のホルモンのバランスが崩れて筋肉の回復を遅らせてしまいます。オーバーユース症候群中には、精神的疲労もあります。意欲が落ちれば、ホルモンの分泌が悪くなりパフォーマンスが落ちてしまいます。軽いトレーニングをしながら、リフレッシュすることが大切です。トレーナーさんたちが、メニューを作り食事管理し、乳酸値を図ったりケアーをしていきます。40℃ぐらいのお風呂にゆっくりと浸かりリラックスして疲れを取ると良いでしょう。
川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/