明日首位攻防の川崎戦

紅白の花水木が満開を迎え、大原練習場を華やかな雰囲気にしていた。薄曇りとなった４月23日、ミーティングを終えて午後２時から川崎戦に向けての前日練習が行われた。

ACLシドニー戦で右足関節捻挫と診断されたズラタン選手は、足の感触を確かめるように軽いジョギングのリハビリメニューに取り組んでいた。また、アップ後に阿部勇樹選手と遠藤航選手はランニングで川崎戦に向けてのコンディション調整をした。

恒例のハーフコートでのミニゲームは、横幅を両サイド約５ｍづつ短くして行われた。

ビブ組はGK西川、DF槙野、那須、槙野、MF宇賀神、青木、柏木、梅崎（関根）、武藤、李、FW興梠。ビブなし組は川崎のシステムを想定して４－４－２の布陣で、GK大谷、DF橋本、永田、イリッチ、加賀、MF関根（梅崎）、駒井、平川、FW石原、高木だった。

１本目、先手を取ったのはビブなし組であった。前線からのプレスで石原直樹選手が高い位置でボールを奪って高木俊幸選手へ、高木選手は冷静にゴールを決めた。やはり、ACLのシドニー戦の影響からか全体的に動きが良かったのは、ビブなし組であった。

しかし、ACLに帯同しなかった宇賀神友弥選手の動きは良く、逆サイドからのビルドアップをDFの裏に抜けてクロスを上げるシーンがあった。宇賀神選手のクロスはファーサイドに流れたが、梅崎司選手が拾ってマイナスのクロスを李忠成選手へ、だが李選手のヘディングは枠を捉えることが出来ずにいた。

お互い攻守の切り替えが早い中で、真ん中からの崩しで伊藤遼太郎選手が豪快なミドルシュートを含めて２ゴール決めてコンディションの良さをアピールしていた。また、ビブ組も那須大亮選手から宇賀神選手へ、宇賀神選手のクロスを武藤雄樹選手が決めた。

２本目は、ビブ組の梅崎選手とビブなし組の関根貴大選手を入れ替えて行われた。

ミシャ監督からは「パススピード！」と声が掛かる中、ビブ組は後方からの攻撃の組み立てが噛み合わず主導権をビブなし組に握られてしまった。しかし、徐々にDFラインを押し上げたビブ組は、槙野智章選手が高いポジションでボールを奪うと素早く興梠慎三選手へ、興梠選手の狙いすましたシュートが決まった。

さらに、槙野選手からペナルティーアーク付近でパスを受けた李選手が、ビブなし組のDFとGKの動きをしっかりと読み、軽やかなステップワークで切り返して大谷幸輝選手の頭上を越えるループシュートを決めた。

ゲームの流れを掴んだビブ組であったが、柏木選手から宇賀神選手へと展開し、宇賀神選手のDFとGKの間を狙った低くて早いクロスに李選手と興梠選手がXを描くように飛び込んでシュートを狙うが決まらなかった。

決定的なチャンスを生かせなかったことに対して、思わずミシャ監督は持っていたストックを投げ出して怒りを露わにしていた。

ビブ組は、前線からのプレスも嵌まりだし森脇良太選手と興梠選手が挟み込むような形でボールを奪うと、興梠選手はファーサイドの武藤選手へとクロスを入れた。ピーポイントクロスに対して武藤選手は思わずトラップミスをしてしまうが、体勢を立て直してボールをキープして右足を振り抜きゴールを決めた。

武藤選手のゴールがラストゴールとなり、約１時間で練習が終わった。ゴールは決まったもののトラップミスに納得いかない武藤選手をミシャ監督が、慰めるシーンがあった。

ペトロヴィッチ監督「運動量を維持しながら闘うことが大事」

練習後、ミシャ監督は「川崎は、今シーズン７試合負けなしの良い闘いをしている。川崎は、攻撃的なスタイルを持っているが、守備ブロックを作り、カウンターが特徴だ。我々が仕掛ける中で、相手が奪ってカウンターを狙って来る。いかに、みんなが走れるか・・・。運動量を維持しながら闘うことが大事だ。連戦と長い移動があってのゲームだが、選手たちは強い気持ちと高いモチベーションでやる気に満ちあふれている」と笑顔を見せた。腰椎の４番目と５番目をボルトで固定する手術を受けていたミシャ監督であったが、再び神経が圧迫されて特に右足に力が入らない状態となり、４月３日から以前使用していたストックを使いだした。ミシャ監督は「私にとって一番の薬は、選手たちが良いプレーをして勝利を勝ち取ってくれることだ」と話した。

勝ち点１差で首位の川崎を追う浦和にとっては、大切な首位攻防戦である。ACLとリーグ戦を戦う浦和は、川崎と比べてコンディションの差は否めない。闘う強い気持ちで川崎を打ち破り、首位攻防戦を征したいところだ。