浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】2016ACLラウンド16第1戦 vsFCソウル<西川、宇賀神、森脇、興梠、武藤、槙野、駒井、ズラタンコメントあり>

アウェイゴール許さず、完封勝利

ホームでは、絶対に負けられない。FCソウルには、絶対に得点を許さない。浦和を愛する人々の気迫に、スタジアムは溢れていた。ACLラウンド16第1戦、FCソウルをホーム埼玉スタジアムに迎えた。

FCソウルのキックオフで始まった試合は、立ち上がり主導権を握ってソウルが支配していった。ソウルは3-1-4-2のシステムで5番のオスマール・バルバ選手のワンボランチであるが、高萩洋二郎選手と6番のチェ・セジョン選手がシャドーの役割とトリプルボランチの役割を担い、攻守において良いアクセントを作り出していた。また、浦和がボールを持つと両ワイドの選手が下がり5バックを形成してブロックを作る守備をしてきた。

攻撃のリズムに乗れない浦和であったが、ボールサイドにスライドするソウルの逆を狙うように西川周作選手から「モリ!変えろ!」とサイドチェンジを要求する声が響き渡った。

西川選手は「見ていて、結構、逆サイドが空いていた。モリ(森脇選手)は、展開力があるから声を掛けた。思ったよりも前めのスペースにボールが行った」と相手の弱点をしっかりと後ろから見ていた。

14分、森脇良太選手から逆サイドの深いスペースへとロングボールが通り、宇賀神友弥選手が思いきり左足を伸ばしてゴール前へと折り返したボールはそのまま弧を描いてゴールへと突き刺さった。そして、試合当日の早朝に生まれた遠藤航選手の三人目の子供(男の子)を祝し、揺り籠パフォーマンスを披露した。

宇賀神選手は照れながら「ゴールは、みんなの気持ちが乗り移ったゴールだった。あのタイミングで走る反復練習が生きたゴールだ。本来は、折り返してFWに獲ってもらうシーンだった。狙った形ではなかったから、個人としては納得してない。ゴールはおまけだ。動き出したことに意味がある。良いパスが出て来た」と納得いくゴールでは無かったが、オフザボールの動きに手応えを感じていた。

森脇選手は「まさかあれが入るとは思わなかった。アシストはサプライズだ。ウガのビッグプレーだ。ロッカーでは、狙ったってウガは言っていたけどね」と興奮気味に話した。そして「変えろって声?!聞こえなかった。僕は、いっぱい、いっぱいの所があるから・・・。自分としては、納得している形だった」と残念ながら西川選手の指示は聞こえていなかった。

宇賀神選手のゴールで落ち着きを取り戻した浦和は、ピッチの幅を上手く使って攻撃を仕掛けていった。

興梠慎三選手は「スペースはあった気がするが、チャンスが作れなかった。理想は、2~3点獲ることだった。ボールを失う場面が多く、ソウルが上手く守って来たのは事実だ。前線の3人のコンビネーションが無かった」と悔しそうに話した。李選手も悪くは無かったけど崩せなかった。5番、久々に良い選手だと思った。潰して、ボールを拾って来た。リーチも長い。真ん中にいると厄介だった」とオスマール・バルバ選手に苦労していた。

先制点を奪われたソウルは、27分にはアドリアーノ選手が遠藤選手を交わしたシュートは枠の外。30分にはコ・ヨハン選手がチュ・セジョン選手とワンツーでシュートを放つも西川選手ががっちと押えていった。

更には、戻しのパスをオマール・バルバ選手に狙われてインターセプトからアドリアーノ選手がDF裏を突き決定的なチャンスを作られるも決めきることが出来ずにいた。

ソウルはチャンスを生かせずに、浦和が1点リードで前半を折り返した。

有利なアウェイゴールを狙い同点に追いつきたいソウルは、後半の頭からデヤン・ダムヤノビッチ選手に代えてパク・チュヨン選手を投入してきた。

浦和は、ソウルを突き放そうと積極的に前に出て、前線からプレスを掛けていった。

武藤雄樹選手は「高萩と6番(チュ・セジョン選手)が下がって受けて、9番(デヤン・ダムヤノビッチ選手)に収める。そこに入れさせないように、中盤と前3枚でプレスをかえようと話した。持たれたが、粘り強く出来た」と話した。

後半は、立ち上がりから一進一退とお互い球際に厳しい攻防が繰り広げられた。槙野智章選手がアドリアーノ選手を前に向かさない守備を見せ、遠藤選手も上手くラインコントロールをしてオフサイドを取っていた。

槙野智章選手は「攻めている時こそ抑えないといけなかった。バランスを考えて、遠藤と僕の2枚で相手と同数で守るのが一番良かった。一人余るよりも良かった。個人の局面でやられたら、その人の責任だ。本来なら後ろを3枚にして守るが、同数で守れていた。ファールしてもカードをもらわずに相手のプレーを切る。危ない位置でのFKもありましたけどね。前線を守備に戻す時間を作れ、相手の攻撃の流れを切ることが出来た」と責任感を全面に出して相手の攻撃の目を潰していた。

65分、武藤選手に代えて駒井善成選手を投入して攻撃に変化を付けていった。70分には、駒井選手がドリブルで切れ込みシュートを放つもゴールわずか左に逸れてしまった。

駒井選手は「まだまだでした。ちょっと力み過ぎました。練習では良い感じだったが、気持ちが先走ってしまった。相手が前掛かりになった後のスペースを狙った」と思うようにプレーが出来ずに悔しさを噛み締めていた。

浦和に流れが傾きだすと、すぐにソウルはチュ・セジョン選手に代え長身で空中戦に強いDF登録のシム・ウヨン選手を前線に投入してきた。

すると浦和は、宇賀神選手に代えてズラタン選手を投入。

81分には、足が攣った関根選手に代えて梅崎司選手を投入した。交代直後はワントップに入ったズラタン選手であったが、ソウルのパワープレーに対してシム・ウヨン選手を警戒してマンマークに付きDFラインへと下がっていった。

ズラタン選手は「時には、必要ですね」と笑った。試合終盤のソウルのパワープレーを何とか押えて、浦和は前半の1点を守り切りソウルに1-0で勝利した。

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