浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】なでしこリーグカップ1部Bグループvs岡山湯郷Belle<加藤、北川、筏井、長野、遠藤、吉田監督コメントあり>

なでしこリーグカップ快勝スタート

薄曇りで少し蒸し暑さを感じる6月12日、選手と共にピッチを駆け抜ける風は爽やかであった。浦和レッズレディースは、リーグカップ初戦となる岡山湯郷Belleを浦和駒場スタジアムに迎えた。

なでしこリーグ戦では、最下位に沈んだまま浮上の切っ掛けが掴めなかった浦和レッズレディース。リーグ中断前に行われた長野パルセイロ・レディースに0-1と惜敗した後、吉田靖監督は「リーグカップはトライしていく。もちろん成績もあるが、残りのリーグ戦に向けて良い準備をする」と再起を誓った。

なでしこリーグカップは、2015シーズンの順位をもとに2グループに分かれ2回戦総当たりの10試合開催され、予選各グループの上位2チームが準決勝・決勝へと進出する。浦和は、仙台・新潟・長野・岡山と同じBグループとなった。また、夏場の暑い時期の開催を考慮して交代枠は5選手までと設定された。

吉田監督は「怪我持ちだった彼女たちは、治るまでやらないで良い」と猶本光選手や吉良知夏選手をメンバーから外して、下部組織から長野風花選手をスタメンで起用し、同じ下部組織の高橋はな選手をベンチスタートとした。スターティングイレブンの平均年齢が、なんと21.4才と若手を主体としたメンバー構成で挑んだ。対する岡山湯郷も中心選手である宮間選手をベンチ外とし、リーグ戦から4選手を入れ替えて来た。

浦和のキックオフで開始された試合は、立ち上がりから攻撃的な姿勢を見せて前線からプレスを掛け、DFラインを押し上げ主導権を握っていたのは浦和であった。

浦和のゴール裏には、不甲斐ないリーグ戦の結果に「本当にコレでいいの?」と掲げられた横断幕を払拭するように、球際に厳しく、ライン際や対峙する相手に対して粘り強くプレーし、攻守の切り替えも早く、相手よりも1歩早い動き出しが出来ていた。

浦和に先制点が生まれたのは、20分のことであった。白木星選手がドリブルで運び、ペナルティーアーク付近の加藤千佳選手が起点となって逆サイドの柴田華絵選手へ、柴田選手のクロスの零れをエリア内で拾った後藤三知選手がDFと競りながら白木選手へ、白木選手のシュートはGK福元選手に阻まれるも加藤選手が零れ球を冷静にゴールへと流し込んだ。

加藤千佳選手は「FWに入った時に、孤立させないことを意識した。ボールに関わろうと外で張って待っているよりも、パスコースを考えて中にポジションを取ったりした。自分のゴールはごっつぁんゴール。みんなが頑張っていたから零れて来た。吹かさずに枠に入れるだけだった」と照れながらも嬉しそうであった。

先制点で波に乗る浦和は、23分には筏井りさ選手の右CKを北川ひかる選手がトラップして右足で豪快にゴールへと叩き込んだ。

北川選手は「前から行けてて、チームの良いところが出た。あの得点は、右足トラップ、右足シュートでシュートを撃つときに少し擦ったところが良い軌道になった。前からボールを獲りにいったのが、上手く嵌まって得点に繋がった。ボランチの守備も嵌まっていたし、後ろは、センターバックとサイドバックが上手くカバーして守れていた。守備が良かったので、それが良い攻撃に繋がった」と守から攻への手応えを感じていた。

前半は、全体的にバランスも良く岡山に決定機を作らせずに2-0と浦和リードで折り返した。

リードして迎えた後半、浦和は加藤選手に代えて臼井理恵選手を投入。追いかける岡山は、乃一綾選手に代えて北浦美帆選手を起用してサイドをケアしてきた。岡山は、DFラインを押し上げて前からプレスを掛けてきたが、選手間の距離が良い浦和は、ファーストDF、セカンドDFが上手く嵌まり岡山にゲームの主導権を握らせなかった。

筏井選手は「サイドチェンジを仕掛けながら攻撃のスイッチを入れられるように、トップの選手見るけどサイドを変えることが出来る立ち位置を考えて、スペースを狙った。ボールを獲られた瞬間の切り替えは、リーグが中断して言われてきた。長野と岡山戦で一緒にボランチを組んだ時に、長野を生かせなかった。今は、いろんな形が少しずつ出来るようになった」と話した。

長野風花選手は「ボールを素早く動かすことを意識して、パスが出なくても新しいポジショニングを意識した。いつもよりも良いリズムが出た。りささんと二人で入れ代わり、抜けたスペースに入ろうと話していた」とボランチ二人の呼吸も合っていた。

そして、63分には、筏井選手が攻撃の起点となり、後藤選手のスルーパスに白木選手が抜け出しドリブルシュートで放ったこぼれ球を柴田選手が決めて3-0。浦和は、交代枠を使いながら攻撃の手を緩めること無くゲームをコントロールしていった。

87分には、栗島朱里選手が左サイドをドリブルで持ち上がり高橋はな選手へ、高橋選手はDFを引きつけながらドリブルを仕掛けて溜めを作り、右から走り込んできた遠藤優選手へ、遠藤選手の狙いすましたシュートがゴール左隅に決まり4-0。

遠藤選手は「交代枠が4枚使われて、出番がないかなぁ?と思った。優!行くぞ!と声が掛かり嬉しかった。空いていたのでシュートコースは見えた。残り物には福がある」と嬉しそうに笑った。

途中出場した3選手の持ち味が上手く出て、岡山を完膚なきまでに突き放して、浦和はリーグカップ最先の良いスタートを切った。

試合終了後、北川選手は「明日、1限だね」と遠藤選手に笑顔で話しかけた。そのぐらい、気持ちの余裕がある完封勝利の岡山戦であった。

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