【河合貴子の試合レビュー】プレナスなでしこリーグカップ準決勝 vs 日テレベレーザ<筏井、平尾、北川、猶本、乗松、後藤、吉田監督コメントあり >
なでしこリーグカップ準決勝、日テレに完敗
雨が降ったり止んだりと落ち着かない天気になった8月27日。3年ぶりの開催となったプレナスなでしこリーグカップ。Bグループを2位通過した浦和は、Aグループを1位通過した日テレ・ベレーザと決勝進出を掛けて対戦。奇しくも、なでしこリーグ第22節を終えた時点で圧倒的な強さを見せて1位の座に君臨する日テレと最下位に沈み降格の危機にさらされている浦和との対戦となった。浦和としたら何とか日テレに食らいつき、リーグ後半戦の浮上のきっかけを掴みたいところ。
日テレは、ベストメンバーとも言える万全な態勢で臨んできた。浦和は、カップ戦をここまで引っ張って来た柴田華絵選手が、コンディション不良のために欠場を余儀なくされ、塩越柚歩選手が右サイドを任されることとなった。
日テレのキックオフで開始された試合は、前線からプレスを掛けて嵌めていく浦和の守備を逆手に取るように日テレがロングボールを多用してきた。
筏井りさ選手は「相手は、低い位置からドンドン回してくるイメージだったので、リーグの開幕戦と同じように前から人に対してプレッシャーを与えようと遣ったが、簡単に裏を使ってきて一発で遣られて流れが掴めなかった」と話した。浦和は、プレスが嵌まらずに前半立ち上がりから攻撃のリズムが作れずにいた。
そして10分、長谷川唯選手から浦和のDFの裏を突くパスに抜け出した田中美南選手が、平尾知佳選手と交錯しながら放ったシュートが無人のゴールへ。長船加奈選手と北川ひかる選手が、必死に戻りクリアーを試みるものの無情にもゴールネットを揺らすことになってしまった。
平尾選手は「クリアーするか、しないかで迷ってしまった。もっとキーパーって言って自分がキャッチ出来たら失点はなかった。1失点したのは、自分のミス。失点を抑えれば接戦の試合になった」と先制されたシーンを振り返った。
北川選手は「ゴールライン寸前だったので、二人いてどっちがと言うよりも蹴り出すしかなかった。二人とも蹴ろうとしたら、お互いに当たってしまって・・・。もっと早く予測して、あそこにボールがこぼれると考えていれば・・・」と悔しがった。
日テレに先制点を許した浦和はサイドから崩しに掛かるが、サイドで数的不利な状況で攻撃のリズムが作れずにいた。
26分には、籾木結花選手のFKが平尾選手の手を掠めて左ポストに直撃!その跳ね返りからゴール前の混戦の中を何とかクリアーしゴールを死守した。
浦和は粘り強い守備から反撃をするがラストパスや攻撃の起点を潰されなかなかシュートまで持ち込めない展開になってしまった。前半、浦和が放ったシュートは0本。対する日テレは、6本であった。ミスから失点を許したものの崩れることなく、前半を0-1で折り返した。
1点を追う浦和は、後半の開始から筏井選手に代えて猶本光選手、塩越選手に代えて遠藤優選手を投入しゴールを奪う姿勢を見せて挑んだ。
吉田靖監督は「負けていたので、5人交代出来るからドンドンフレッシュな選手を使って行こうと思った。猶本もだいぶ練習にも加わってきて、コンディションは戻っていないが彼女の力と遠藤の前の突破で点を獲るために代えた」と話した。
後半、立ち上がりから主導権を握ったのは浦和であった。48分には、栗島選手がドリブルで持ち上がり遠藤選手へ、遠藤選手の横パスに猶本選手が思いっ切り良くミドルシュートを狙って行ったが、身体を張った日テレのDFにブロックされてしまった。
猶本選手は「前半、観ていて点が入る雰囲気が無かった。失点は1点で抑えているので、私が入ったら攻撃に違いを生み出そうと思った。前のポジションを取ることで、センターバックの前で3対2が出来るのでチャンスだと思った」とゴール前で数的優位を作ることをイメージしていた。そして「DFに当たったシュート!もう一枚交わしても良かった。それか、0.5秒ぐらい早く撃てれば良かった」と話した。
浦和が良い流れを掴んでいた矢先の53分、籾木選手にゴールを決められ0-2。58分には、長谷川選手の強烈なミドルシュートが決まり0-3。中盤を日テレに支配されてしまい、浦和はDFラインの押し上げが出来ず、クリアーをしてもセカンドボールが拾えずに立て続けに失点をしてしまった。
乗松選手は「点を獲りにいくしか無かったので、光さん(猶本選手)もナガフウ(長野風花選手)も前に行くタイプのボランチだから、そこはサイドバックによりリスク管理を気をつけようと話していた。運動量が落ちて来て、4DFの横の間が空いてきて、自分たちの前のスペースの人を掴み切れなかったのが相手の攻撃に繋がってしまった」と悔しさを噛み締めて話した。
3点のビハインドを負った浦和は、62分に白木星選手に代えて山守杏奈選手を投入し攻撃を活性化するが、浦和のリズムが生まれなかった。
83分には、有吉佐織選手のクロスをファーサイドの北川選手がクリアー仕切れずに走り込んだ籾木選手に駄目押しの4点目を決められてしまった。
後藤三知選手は「相手に押し込まれる中で、ボールを奪って早い攻めが出来たときに少しチャンスが出来たが、自分たちがボールを保持しながら攻撃をする時間帯が90分通して多く作れず、ゴール前で決定的なプレーをさせてしまった。結果、4失点」と試合を振り返った。
浦和は、女の意地を見せて1点でも返そうと90分には加藤千佳選手に代えて臼井理恵選手を投入。最後の笛が鳴るまで、打開策を模索しながらゴールを目指すも力及ばず0-4の大差で日テレに敗れ、準決勝で敗退することとなってしまった。