浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付>【河合貴子の試合レビュー】ルヴァンカップ準々決勝 vs神戸<青木、那須、ズラタン、高木、関根、大谷、高橋(神戸)コメントあり>

YBCルヴァンカップ準々決勝第2戦、神戸に力の差を見せ付けてベスト4進出

近づく秋の気配を漂わせながら夜の帳が落ちると、カクテルライトに照らされたピッチで選手たちが躍動した。9月4日、YBCルヴァンカップ準々決勝第1戦アウェイ神戸で2-1と勝利を収めた浦和は、優位な状況の中で第2戦目を迎えた。

浦和は、第1戦で左膝前十字靱帯損傷した梅崎司選手に代わり駒井善成選手を右のワイドで起用し、他は第1戦の勝利の流れをくんで、第2戦目も同じメンバー構成で挑んだ。一方の神戸は、ペトロジュニオール選手が出場停止のため、19歳になったばかりのルーキーの中坂勇哉選手を起用してきた。

準々決勝突破を掛けて、浦和のキックオフで試合が始まった。神戸が立ち上がりからハイプレスで前から来ると思いきや、しっかりとした守備を形成して浦和のポゼッションに上手く対応して来た。

6分には、一瞬の隙を突き高橋峻輝選手がDFの裏に抜け出してシュートを放つがクロスバーに直撃!ヒヤリとさせられたが、浦和は焦らずに攻撃を仕掛けていった。だが、決定的なチャンスを作ることは出来なかった。

ネルシーニョ監督は「立ち上がりから30分くらいまでは、最終ラインから前線まで意思の疎通が出来ていた。自陣でのミスからのショートカウンターを受けるシーンはなかった。うちも狙いのショートカウンターのチャンスがありながら、拮抗した」と話した。

青木拓矢選手は「最初は、ちょっとバタバタした。後ろの那須さんとか阿部さんが、堪えるところはしっかりと堪えてやって行こうと話していたので、それもしっかりと堪えていた。良い修正を話しながら出来た。レアンドロに入ったときにピンチだと思ったが、しっかりと那須さんも行ってくれてたし、周りもコンパクトにしてやれていた」と守備面では安定感を感じていた。

那須大亮選手も「相手のストロングも分かっていたから、やり辛さはなかった。カウンターをしっかりとケアーした。リーグ戦でコンパクトに出来なかったことが自分を含めて反省材料だった。とにかく、ハイラインしてコンパクトで攻守の切り替えを早く出来た」と手応えを感じていた。

お互いに決定的なチャンスを作れない中、29分にズラタン選手が浦和のベンチ前のタッチライン沿いで相手選手と接触で倒れ込んでしまった。偶然にも、ミシャ監督の目の前で起きたプレーにノーファールの判定。この判定にミシャ監督は、猛抗議して思わずピッチの中に入ってしまい、退席処分となってしまった。ちなみに、浦和史上2度目の監督退席処分となった(1996年9月21日対柏戦オジェック監督)

ズラタン選手は「足を見て!」と接触して負傷した左足を突きだし「血も出てる。僕は、倒れ込んでいたので、監督が第4審判と話しているところは見ていない。痛くて、僕はどういうやりとりをしているのか、気付かなかった。監督は、エモーションな人間なので、悪気があってピッチに入ったのではない。自分が意識していないうちに、ピッチに入ってしまったのだと思う。エモーションな人間だからこそ、抗議していたのだと思う」とミシャ監督の人間性を理解した上で話した。

那須選手は「ウガ、モリ、阿部ちゃんも積極的に声を出していた。監督が退席したのは、気付かなかった。いつも監督の指示の声が聞こえるのに、あれ?静かだなぁと思ってベンチを見たらいなかったぁ」と苦笑いしながら話した。

ミシャ監督が退席処分となり堀コーチが代行を務めた。堀コーチは、ベンチ前で腕を組んで戦況を見守っていた。そんな状況の中で、高木俊幸選手は「パッとしない時間が続いて、嫌な雰囲気した。全てはカウンター一発で変わった」と嬉しそうに笑った。

39分、神戸のロングスローを弾き返したところから、神戸のお株を奪うようなカウンターが炸裂!武藤雄樹選手のポストプレーから、青木選手が関根選手へ、関根選手がヘッドで繋いだボールを高木選手がドリブルで持ち上がり、GKと1対1の局面を冷静にゴールへと流し込んだ。

アシストした関根選手は「自分はいつもニアストーンなんですが、神戸戦から16mこぼれのところでマーク付いて、そこで攻守の切り替えで抜け出せればチャンスになると思った。武藤君のポストプレーから、青木君がちょうど中途半端なところへ出してくれたので、走り込んで、あとはトシ君に任せた」と先制点のシーンを振り返った。

青木選手は「確かに中途半端な位置でしたけど、良い具合にアイツが(関根選手)ヘディング競り勝ってくれた。それが、逆に良かった」と安堵の表情を浮かべた。

先制点を決めた高木選手は「1戦で点を獲っていなかったら、どうしよう?ってなっていたと思う。点を獲る余裕があった。試合が終わったあと、チームメイトが「あのゴールは上手かった」と言ってくれた。考える前に感覚的に出せたゴールだった。これからもゴールを予感させる良いゴールだった」と本当に嬉しさ溢れる笑みを浮かべた。
先制点で勢いに乗った浦和は、43分に関根選手のシュートの零れを拾った青木選手のクロスにファーサイドで合わせた高木選手が、高橋峻輝選手に倒されてPKを獲得。阿部勇樹選手がしっかりと決めて2-0と神戸を突き放した。

高木選手は「PKになったシーンは、確実に押されていなければしっかりとゴールへと収められていた」とゴールが決められず悔しそうな表情をしていたが、「あれは、大事な2点目。阿部さんがお手本通りに決めてくれた」と満足していた。

PKを与えることとなってしまった高橋峻希選手は「最初はお互いに難しい試合で、どちらに転んでもおかしく無かった。失点して崩れた。PK・・・。ファールにならなくても、ゴールは決まっていたと思う。その前のところで解決出来たと思う。浦和のとの差を感じた。リーグ戦は勝ったが、そこからの修正が出来ていて、浦和は賢い」と悔しそうに話した。

前半、アウェイゴールも許さずに2-0と更に優位な状況で後半を迎えた。(第1戦2-1のため、2倍のアウェイゴールを換算するとこの時点で6-1)

神戸は、後半の頭から伊野波雅彦選手に代えて、東隼也選手を投入。前からプレスを掛けて来たが浦和の勢いを止めることは出来ず、30分に阿部選手からパスを受けた高木選手がドリブルで仕掛けて豪快なミドルシュートを決めて3-0とした。

高木選手は「イメージし続けていたゴールなので、あのような得点も決められると自分の仕掛けにより自信が持てる」と目を輝かせていた。

浦和に3点目が決まると、神戸の集中力が切れてしまったのか個人で打開しようとする神戸のプレーが目立っていった。だが、攻守に渡り浦和の組織だったプレーには敵わず、浦和は攻撃の手を緩めることなく、63分にズラタン選手に代えて興梠慎三選手、72分に高木選手に代えて李忠成選手、75分に武藤選手に代えて石原直樹選手を投入し前線を活性化していった。

ピッチに入った直後の石原選手には、GKと1対1のビックチャンスが訪れるも決めきれなかった。だが、84分には興梠選手が倒されて獲得したFKを青木選手が好判断で素早くリスタートさせ、関根選手がドリブルで切れ込みマイナスのクロスを李選手がしっかりと合わせて4-0。

関根選手は「自分で撃とうかと思ったが、見えたんで~」と照れながら話し「ちょっとパスが強くなって、自分でビックリした。流し込んでくれてよかった。いつもビビって良いボールが上がらないが、今日は無我夢中だった。FKから裏取って、相手も足が止まっていた。相手の25番も(東選手)結構ビビっていた感じで、まぁ~峻希君じゃないや~と思って仕掛けた」と話した。

ダメ押しの4点目を決めた李選手は「関根のゴールと言っても過言ではない」と言いながら「みんなが活躍していたので、自分もゴールでアピールしたいと思っていた。試合の流れとか関係なくゴールは嬉しい」とアピールゴールを決めて嬉しそうであった。

浦和は、最後の笛が鳴るまで攻撃的な姿勢を崩さず、神戸に決定的なチャンスも与えずに第2戦を4-0の完封勝利を飾った。

大谷幸輝選手は「みんなリスクマネジメントもしっかりしていたし、集中を切らさないようにやって、カバーもしっかり出来ていた。ゼロで終えられたのは良かった」とホッとした表情で話した。

この結果、浦和は神戸を下して3年ぶりに準決勝へと駒を進めた。準決勝の相手は、FC東京となった。準決勝第1戦は10月5日水曜日19時30分キックオフとなりアウェイで闘い、第2戦は10月9日日曜日ホーム埼スタにFC東京を迎えて14時キックオフを予定となっている。

リーグ戦もカップ戦も、目の前の1戦に集中して栄光を掴み獲るだけだ。

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