浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】プレナスなでしこリーグ1部 第13節 vs岡山湯郷Belle<猶本、白木、乗松、後藤、池田、柴田、エミリーコメントあり>

残留を掛けた大一番、岡山湯郷Belle戦を快勝

中断されていたなでしこリーグが再開され、浦和レッズレディースの残留を掛けた闘いが始まった。再開初戦の下位争いとなったコノミヤ戦をアウェイで4-0と快勝し最下位を脱出。波に乗る浦和は、宮間あや選手を中心に巻き起こったお家騒動でチーム崩壊の危機にさらされた岡山湯郷Belleをホーム浦和駒場スタジアムに迎えた。岡山は浦和と同じ勝ち点10で得失点差で浦和が8位、岡山が9位。残留を掛けた大一番の対決となった。

台風16号と秋雨前線の影響により、雨が降ったり止んだりと不安定な天気となり、ピッチコンディションもかなりスリッピーな状態であった。

岡山のキックオフで始まった試合は、開始早々に浦和にビックチャンスが訪れた。2分、左サイドバックの北川ひかる選手がドリブル突破からクロスを入れると、ファーサイドで柴田華絵選手が折り返し、白木星選手がシュートを放つも相手DFが身体を張って阻止。先制点のチャンスを逃がしてしまった。

6分には、筏井りさ選手からの浮き球を受けた長船加奈選手が相手選手と顔面を激突!レフリーの「プレーオン」の声で浦和が攻撃を仕掛けて行ったが、長船選手は起き上がることが出来なった。激突により長船選手は右眉周辺が切れ流血。止血し、テーピングの痛々しい姿でピッチに戻って来た。

思わぬハプニングで一時、10人で闘った浦和であったが、リスクマネジメントをしっかりして乗り切っていった。

岡山は4-3-3のシステムで、中盤を逆三角形としてDFラインの前にアンカーとして乃一選手を置き、前線は田中選手のワントップにしてきた。浦和は、岡山にボールを繋がせないプレスを掛けて主導権を握っていったが、決定的なチャンスを作れない展開になってしまった。

猶本光選手は「立ち上がり、白木にビックチャンスが迎えて、あれを決めていたらもう少し楽だったかなぁ。入りは悪くなかった」と苦笑いしながら「練習からカウンターだけは気を付けようとして、そこは後ろが上手くマネジメントしてくれていた。(大一番の試合で)緊張していた。前半の前半は、単発な攻撃が多く、アンカーのところをFWに任せ過ぎてしまいボールを奪った後に良いポジションにいれなくて、途中出るようにしたら良い攻撃に繋げられた」と前線からの守備の修正を図り、猶本選手が高いポジションを取ることで攻撃にルズムを加えていった。

すると、DFラインを押し上げセカンドボールも拾え、岡山の選手の間、間でパスを展開して攻撃のリズムを作っていった。柴田華絵選手は「距離感が良く、ボールを保持する時間が長く、相手の方がキツかったと思う。狙って居た通りのゲーム展開が出来た。猶本が裏に抜けたり流動的な動きをしてくれていたので、空いたところにスペースがあったのでそこに入ってと言う形でプレーが出来た」と話した。

先制点が生まれたのは、33分に北川選手から左のバイタルエリアに流れた白木選手へとパスが通り、白木選手がドリブルでペナルティーエリア内へと仕掛けると思わず野間選手の足が掛かりPKを獲得。

白木選手は「PKもらいました」とニヤリ。「相手を見たら、足を出して来たので縦に行ったら、上手くPKが取れた」と相手DFとの駆け引きに勝った白木選手は嬉しそうに笑った。

PKのキッカーはキャプテンの後藤三知選手。GK三田選手の逆を突きゴール右隅へと流し込んだ。後藤選手は「寸前に感じる程度。右か左か、感覚で変わる。何となく右が空いた感じがしていたのを見せないように集中した」と話した。

34分に後藤選手がPKをしっかりと決めて浦和が先制すると、さらに追加点を求めて猛攻を仕掛けていった。全体の距離感も良く、テンポの良い攻撃を魅せるが、ゴールに直結するラストパスやシュートブロックに入られ岡山の粘り強い守備を打開することが出来ずにいた。

42分には、筏井選手の右CKを勢い良く乗松瑠華選手がヘディングシュートを放つもゴールわずかか右外に逸れてしまった。乗松選手は「りささん(筏井選手)のボールを信じて決めきるチャンスだった。越えてくると思って居たら、逸らしすぎちゃった。2点目、決めていたら気持ち良かったのに~」と残念そうに話した。

前半、浦和が放ったシュートは9本に対し、岡山はたった1本。しかも、浦和のゴールキックは0本と如何に浦和がゲームを支配していたかが分かる。だが、得点はPKの1点のみで前半を折り返すこととなった。

後半の立ち上がりから岡山はハイプレスを掛けてきたが、浦和は慌てずにしっかりとパスを繋いで攻撃を組み立てて行った。浦和に押し込まれる形になった岡山は、58分に岸野選手に代えて加戸選手を投入。そして、対人プレーに強いセンターバックの小林選手をトップに上げて前線でのボールキープを試み4-4-2とシステム変更をしてきた。

その直後、攻撃のスイッチが入った岡山は、小林選手起点となって田中選手が放ったシュートを池田咲紀子選手がファインセーブを魅せてゴールを死守。「コース事態は、厳しいコースでは無かった。後ろからのロングボールも前からのチェーシングも来るのは分かっていた。今までは、微妙なボールに悩んで退いてしまっていた。飛び出す練習に取り組んだ。冷静にしっかりした判断が良くなった」と池田選手は冷静に対処していた。

そして、66分には白木選手がエリア内で仕掛けてゴールライン際からのマイナスのクロスを柴田選手が右足シュート!2点目を叩きだした。柴田選手は「白木が粘ってくれて、私がいたところにボールを出してくれて良かった」と満足そうに振り返った。

追加点を奪った浦和は、79分に白木選手に代えてエミリー・ギルニック選手を投入。ホーム初出場となったエミリー選手は「12分位の出場で、良いとは言えないが、もちろんFWとして要求されることは得点を決めることだ。これから、もっと追求していきたい」と話し「素晴らしい雰囲気の中でプレー出来ることを感動した」と話し「日本人の選手と違い、自分の特徴であるフィジカルは強みだ。もっともっと沢山使っていきたい」短い時間であったが、対人に強いところを魅せた。

86分には、加藤千佳選手に代えて高畑志帆選手を投入。浦和の守り切る常套手段の5DFとした。交代した加藤選手は「前からプレスに行っていたので、その分アップダウンが激しく、攻守の切り替えを意識した」と疲労困憊の様子であったが「本当に勝てて良かった」と嬉しそうであった。

5DFにして守りを固める中で、88分には北川選手のクロスを途中出場のエミリー選手がヘッドシュートが逸れたところを柴田選手がシュート、一旦はGKに阻まれるもそのこぼれ球が浦和の味方同士の混戦の中、再び柴田選手の目の前へ、柴田選手のシュートはゴール左上へと弧を綺麗に描きながら吸い込まれていった。

「2点目(柴田選手自身の2ゴール目)は、狙ったところに上手くボールが行って良かった。最下位だったので、直接対決で勝ってよかった。この後の闘いが大事だ」とゴールシーンを振り返りながら、残留に向けて身を引き締めていた。

残留ボーダーラインの岡山との直接対決を3-0で完勝!!まだまだ予断を許さない状況であるが、残留に向けて1歩前進出来た。

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