試合のポイント「粘り強い守備を見せるも女王とのチームの差は歴然としていた」
(Report by 河合貴子)
猶本「しっかり粘り強くみんなが失点しないという思いでやっていた」。
今シーズン、女王の座に輝いた日テレ。今シーズン、残留争いに巻き込まれた浦和。チームの差は歴然としていた。
日テレは、ボールサイドに素早くスライドして数的優位を作りボールを奪うと、そこからコンビネーション良く攻守を切り替えてショートパスを繋いだり、ロングボールを入れたりと巧みに仕掛けてきた。
浦和も守備の意識が高くしっかりとブロックを作り粘り強い守備が出来ていた。だが、粘り強い守備から攻撃へと移るときに、日テレの守備に嵌まってしまった。
吉田靖監督は「日テレが強いのは分かっていた。粘り強く良い奪い方で点を狙っていくことは出来ていた。持って行ったときに、パスが乱れてたり、1対1で抜けなかった。最後の大事なところだ」と日テレとの力差を感じていた。「優勝相手に互角の戦いが出来た。最後に失点して負けてしまった。0-4で負けた時に比べれば進歩している」と手応えを感じていた。
猶本光選手も「(今シーズン)自分たちから崩れていたところがあったので、しっかり粘り強くみんなが失点しないという思いでやっていた。まぁ、ポンポンとやられてしまったけど、評価はして良いと思う」と笑顔を見せた。
本当に粘り強い守備を魅せていただけに、86分の失点がもったいなかった。
長船加奈選手は「自分が夢穂(ポストの跳ね返りを決めた阪口選手)に付いていた。ポストに当たるイレギュラー・・・。もう少しボールに強く行けていたら」と悔しそうに話していた。
先制点を決めた阪口夢穂選手は、ボランチのポジションでプレーをしていたが、攻撃の起点となる籾木結花選手がベンチに下がると、ポジションをトップ下へと上げて攻守の切り替えや中盤を美味くコントロールしていた。
長船選手は「夢穂が思っていたよりも下がって来て、前が3枚になることが多く絞り切れず、出所が予測出来なかった」と阪口選手のポジショニングは見事であった。そして、決定機を見逃さずに確実に決めたのだ。
吉田監督は「日テレは、切り替えが早い。ボールを動かす力も日テレはある。最後の得点する力もある。パス、コントロール、周りを見ての判断を上げていかないといけない。互角に勝負しても勝ちきることが出来ない」と厳しい口調で話した。
日テレは、どんなに浦和が粘り強い守備をして0-0でゲームが進んで行く中でも焦りや慌てることが全く無かった。これが、女王に輝いた勝者のメンタリティーなのだろう。最後の最後に得点する力は、さすが女王であると思い知らされる試合であった。
浦和は、選手たちが持っている個々の能力を考えると残留争いするチームではない。皇后杯の決勝で女王日テレを倒す日を思い描いて、一戦一戦しっかりと勝ち上がっていきたい。