(Report by 河合貴子)

最終戦で引き分けたとは言え、ここまで34試合の積み重ねの結果である。その頂点に浦和が立った

ベテラン中澤佑二選手を中心に横浜FMの固い守備に苦戦を強いられることとなってしまった。

阿部勇樹選手は「我慢が必要だと話していた。我慢した中で、後半に点が獲れた。攻めている時のリスクでやられるならカウンターしかないと思った。徹底してやればチャンスは来る。そのために我慢が必要だった」と話した。

柏木陽介選手は「前半の結果を監督から聞いたが、情報は要らなかった。勝つだけだ！って思っていた。０で行ってたら、点が獲れる自信があった。攻め急がないことを心掛けた」と選手たちは落ち着いていた。

ハーフタイムに知らされた川崎のリード。それでも、焦って縦パスを入れるシーンは無かった。攻守の切り替えも良かった。横浜FMの固い守備をこじ開けたのは、ゴール前に飛び出す勇気だった。李忠成選手と関根貴大選手の見事なワンツー！そして、ゴール前に詰める柏木選手の判断！素晴らしかった。

だが、一瞬のスルーパスで抜け出したマルティネス選手の個人技で同点にされてしまった。

守備の鉄則は、まずはボールを奪うチャレンジである。チャレンジもカバーがいてこそ成り立つ。失点シーンは２対１の状況だった。マルティネス選手へチャレンジ＆カバーで行けていれば、マルティネス選手のプレーを遅らすことも出来たはずだ。本当にもったいない失点であった。

同点にされて、ピッチの中で選手たちは動揺した。「１―１になった直後は、知らなかった。獲りにいかないとと思った」と槙野智章選手が話した。しかし、ベンチから興梠慎三選手が、川崎が負けていることを伝えたのだ。興梠選手から伝えて欲しいと言われた槙野選手は、前の選手をはじめ左サイド、ボランチ、GKへと川崎の試合状況が伝わって行った。川崎の状況を知って、ピッチの中は落ち着きを取り戻したのだ。

もちろん、選手たちは勝って、勝ち点76ポイントのJリーグ史上最高勝ち点で年間１位座に輝きたかった。

柏木選手は「ガンバが勝っているのを早く伝えて欲しかった。俺は、２点目を獲りに行きたかった。「攻め急いで点を獲られたらどうするんだ」って言うのがあって、サイドブレーキが掛かってムッとした。勝って終わりたかった」と正直な胸中を話した。

駒井選手は「知っている人と知らない人がいた。僕は知らなかったし、どうしても点を獲りに行きたかった。ズラ（ズラタン選手）は知っていたが、試合に集中するために言わなかった。終わった時に、マジでホットした。人生で一番ホットした」と笑みを浮かべた。

阿部選手は「勝って終われれば良かった」と悔しそうに話していた。

同点にされても攻め急がずに、ゲームをコントロール出来たことは良かったと言える。仲間を落ち着かせた興梠選手のベンチからの声は、大事なことであった。最終戦で引き分けたとは言え、ここまで34試合の積み重ねの結果である。その頂点に浦和が立った。

あとは、本当に強いのは『浦和だ！！』と証明するために、チャンピオンシップの決勝で「真の日本一」を掴み獲るだけだ！