【川崎戦前日レッズ練習レポート】明日、天皇杯4回戦・川崎戦。ペトロヴィッチ監督「ファイナル前の準決勝の勝ちがあるゲーム」
川崎に緊張感を持って挑む
昨夜から降り続いた雨は、練習が始まるころには小雨となり新都心のビル群が霞んでいた。練習場の照明塔に灯りが点り、冬の訪れを感じさせるほどの冷え込みとなった11月11日。寒さを吹き飛ばすような選手たちの声が、響き渡っていた。
2グループに分かれて行われたアップの通称“鳥かご”のボール回しでは、永田充選手と李忠成選手が接触し、李選手がうずくまるシーンがあった。悶絶する李選手に永田選手が心配そうな表情で声を掛けていたが、大事には到らなかったようだ。
また、ロングパスの練習では調子が出ない那須大亮選手に対して「大ちゃん~今日はアウトだね」と森脇良太選手が声を掛けたり、正確なフィードを魅せる武藤雄樹選手に対して「良いねぇ~!」と宇賀神友弥選手が称賛していた。
アップが終わると興梠慎三選手は、別メニューでコンディション調整を行った。
ミニゲームが始まる前には、ミシャ監督から「狭いから早く判断して、奪ったら縦に早く」と指示が飛んだ。
ビブ組は、GK大谷、DF宇賀神、遠藤、森脇、MF関根、阿部、青木、駒井、高木、李、FWズラタン。ビブなし組は、GK岩舘、DF永田、イリッチ、加賀、MF天野コーチ、那須、伊藤、平川、武藤、柏木、FW石原。
両チーム共に立ち上がりから攻守の切り替えが早く、激しいバトルの展開となった。先制点は、ビブなし組。平川忠亮選手からの横パスを受けた加賀健一選手が、狙い澄ましてゴールを決めた。リスクを冒して加賀選手がオーバラップすることにより、攻撃に厚みを付けたゴールであった。
先制して波に乗るビブなし組は、伊藤涼太郎選手がゴール左上の角に技ありのミドルシュートを決まった。このゴールにミシャ監督は「オォ~!」と思わず声を上げて感嘆するほどの見事なシュートであった。
更に、楔の縦パスを受けた柏木陽介選手のヒールパスを走り込んだ武藤選手が決めた。2人の阿吽の呼吸のゴールシーンであった。
立て続けに失点したビブ組であったが、DFラインから大きくサイドチェンジしたり、縦パスを入れたりと攻撃の組み立ては出来るもののラストパスやシュート精度を欠き苦戦を強いられてしまった。
そんな中、鋭い動きを魅せたのは青木拓矢選手であった。青木選手が、ビブなし組のDF陣の意表を突くミドルシュートを叩き込んだ。
すると、ビブ組みのDFラインが高くなり、阿部勇樹選手が右のバイタルエリアに飛び出してシュート放つシーンも出て来た。しかし、阿部選手のシュートは岩舘直選手が好セーブを魅せて阻止。李選手がDFの裏を狙って飛び込むと岩舘選手と競り勝ち倒れ込みながらゴールを決めた。
ビブなし組で、シャドーのポジションに入った柏木選手もゴールに貪欲に向かいゴールネットを揺らした。
一進一退の攻防となる中で「ラストゴール」の声が掛かり、ラストゴールは楔の縦パスを受けたズラタン選手から、追い越す動きを見せた李選手へと展開し、李選手からDFの裏に左から抜け出した関根選手へ、関根選手が岩舘選手と1対1になったが、角度もシュートコースも限定されている中で、冷静にゴールを決めた。
ミニゲームは、メンバーの入れ替えもなく1本のみで終了。ビブ組対ビブなし組は、終盤に追い上げたビブ組であったが序盤の3失点がひびき3-4でビブなし組が勝利を収めた。
別メニューで調整していた興梠選手は、練習後に居残りシュート練習をしてゴールへのイメージを高めていた。また、柏木選手、阿部選手、宇賀神選手は坂道ダッシュなどでコンディションを整えていた。
ペトロヴィッチ監督「ファイナル前の準決勝の勝ちがあるゲーム」
練習後、ミシャ監督は「天皇杯4回戦で当たるのは、早い対戦だ。川崎との対戦は、どちらに勝敗が転がるか分からない緊張感がある。力が拮抗している。難しいゲームになる。今年は、1勝1敗。お互いライバルとしての競争意識がある。ファイナル前の準決勝の勝ちがあるゲームだ」と話した。
また、公式戦の日程が空き選手たちのコンディションの調整が難しいことなどを視野に入れつつ「選手たちには、蓄積された疲労がある。ターンオーバーを考えないといけない。判断が難しい」と険しい表情を浮かべた。だが、「良いトレーニングを日々積んでいるし、カップ戦も獲ると高いモチベーションで準備してきた。モチベーションと集中力を維持して試合に臨んでいける。勝ち上がり、一番上のものを手に入れるためにチーム一丸となって闘う」と勝利を誓った。
ルヴァンカップを征し、年間1位の座に輝き波に乗る浦和は、3冠目指し天皇杯も獲りに行く。年間1位と年間2位の対決となった天皇杯。年間1位の意地がある。川崎相手に天皇杯初戦を落とす訳にはいかない。川崎にしっかりと勝利を収めて、浦和の強さを証明したいところだ。