<ハイライト動画付>【河合貴子の試合レビュー】明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ決勝 第1戦 vs鹿島 <武藤、駒井、阿部、西川、興梠、関根、ズラタンコメントあり>
レッズがアウェイで虎の子の一点を守り第2戦へ
底冷えのする夜だった。だが、浦和を愛する人々の心は熱く燃えていた。浦和は、チャンピオンシップ第1戦をアウェイの鹿島スタジアムに乗り込み、鹿島のお株である試合巧者を上回る試合運びを魅せた。
攻撃的姿勢でアウェイでの勝利を目指す浦和は、興梠慎三選手の1トップ、李忠成選手と武藤雄樹選手のシャドーとし、浦和の得点力を誇る通称『KLM』が8月27日開催されたJリーグ神戸戦以来の復活となった。
一方、チャンピオンシップ準決勝で川崎を破り波に乗る鹿島は、ファブリシオ選手をベンチスタートとし中村充孝選手をスタメンで起用した。また、怪我明けの柴崎岳選手がベンチに入っていた。
浦和のキックオフで始まった試合は、立ち上がりから浦和は積極的姿勢を出していった。
最初にチャンスを作ったのは浦和であった。8分、李忠成選手のクロスに合わせた武藤雄樹選手がヘディングシュートがゴールネットを揺らした。しかし、これはオフサイドの判定。
武藤選手は「どうかな?出ていたかな~微妙なラインだった。ラインマンが自信をもって上げていたので・・・。」と残念そうな表情を浮かべながら「ギリギリの身体1つ出てるか出てないかだったと思う」と話した。
鹿島は、浦和の攻撃を封じ込めるために、ブロックを作りボールサイドに素早くスライドし、激しい守備を見せてきた。浦和は、ボールを保持しながらもサイドから揺さぶりを掛けるも鹿島DFをなかなか崩ずシュートまで持ち込めない展開となってしまった。
駒井善成選手は「真ん中で回せていたが、サイドに入ったときの自分の質に満足出来なかった」と悔しそうに下を向いた。
武藤選手は「ボランチがDFラインに入ってしっかり着いてきていたし、もう少しダイレクトでコンビネーションが出来たと思う。なかなか上手く行かなかった。ボールを収める部分でも特に僕はあまり収まらなかった。攻撃のリズムが出来なかった要因だ。李選手は収めていた。もう少し、僕のところで収めることが出来れば全体的に攻撃のリズムが出たと思う」と話した。
一方、鹿島はインターセプトから縦に早い攻撃を試みるも浦和の攻守の早い切り替えにシュートまで持ち込めない展開となった。
阿部勇樹選手は「川崎Fとの試合を見ても守備のところで徹底していたし、それは変わらないと思っていた。守備で勝ち抜けてきたわけだから、そこで僕らも体を張るところは張るし、走るところは走る。そこで負けてしまっては相手が勝ってしまうと思うから、そこでも負けないということは監督も話していた」と鹿島に走り負けない気持ちで身体を張っていた。
前半終了間際の44分、興梠選手の落としを阿部選手が武藤選手へとスルーパスを出し浦和らしいリズムのあるパス回しから武藤選手が豪快に放ったシュートは、曽ヶ端準選手の好セイブで決め切ることが出来なかった。
前半に浦和が放ったシュートは2本、鹿島が放ったシュートは0本とお互いに譲らない展開で0-0で前半を折り返した。
後半、最初にチャンスを作ったのは鹿島であった。56分、土居聖真選手のスルーパスに抜け出した遠藤康選手のショートカウンターが決まり、西川周作選手と1対1の決定的チャンスを作られてしまった。しかし、ここは西川選手が落ち着いて止めた。
「後ろから宇賀神選手も来てましたし、自分は間合いを詰めながら先に動かない。上手くスルーパスに対して間合いをつめることが出来た。遠藤選手の右足だったので慌てることは無かった」と西川選手は笑った。
ピンチの後には、必ずチャンスはやって来る!56分、柏木選手のアーリークロスに興梠選手がペナルティーエリア内で西大伍選手に倒されPKを獲得!!
興梠選手は「あの場面、陽介が中にボール運んで、あの場面は、陽介が中にボールを運んで、センタリングを受けようとしてファーからニアに飛び込んだところで体をぶつけられた。対して強く無かったけど、ああいうのが一番PKになりやすい。そこはうまく駆け引きの血ができたと思う。大事な試合はガチガチになってシュートチャンスがない試合になる。そこでは、ああいう駆け引きがすごく大事になる」とPKを獲得したシーンを振り返った。
このPKを阿部選手が、しっかりとゴール右上へと流し込んで浦和が先制!
阿部選手は「興梠選手が体を張ってPKを取ってくれて、本人は古巣相手だから蹴りたかったんだろうとは思うけど譲ってくれたので、譲ってくれたからには決めなければいけないPKだったし、自信を持って蹴れたので入って良かった。曽ヶ端選手はいたけど、その後ろの大勢の壁を見たらそれ以上怖いものはないかなって(笑)。リラックスして蹴れたので良かった」と笑顔を見せた。阿部選手のPK成功は、浦和を愛する人々が大きな力になっていた。
浦和が先制すると、62分に鹿島は此処まで温存していた柴崎岳選手を中村選手に代えてピッチへと送り込んで来た。柴崎選手投入を切っ掛けに、鹿島はしっかりとポゼッションしながらDFラインを上げてコンパクトに厚みのある攻撃を仕掛けて来た。
浦和も68分に、駒井選手に代えて関根貴大選手を投入。関根選手は直ぐにドリブルで仕掛けてクロスを入れるが山本脩斗選手に跳ね返されてしまった。
関根選手は「最初のプレーでアシスト出来たかなと思う。自分のリズムで通っていたら入れたし、そこで引っかかって難しい時間帯が自分の中で続いた」と少し悔しさを滲ませた。
そして、74分には武藤選手に代えて青木拓矢選手を投入し中盤での守備を固くしていった。
対する鹿島は遠藤選手に代えてファブリシオ選手を投入し攻撃を活性化してきた。鹿島に押し込まれる形となった浦和は、81分に興梠選手に代えてズラタン選手を投入。前線で溜めを作りたいところであったが、ズラタン選手も守備にまわりワントップを李選手に任せる形になった。
ズラタン選手は「タフな試合だった。チャンスは多く作れなかったが、両チーム闘った」とお互いの健闘を讃えた。
西川選手は「パワープレーで来ると思ったし、ズルズルとDFラインが下がらないようにみんなで意識した」と無失点で鹿島の攻撃を抑えた。後半、怒濤の攻めを見せた鹿島が放ったシュートは、何と11本!最後の笛が鳴るまで浦和に襲い掛かった鹿島であったが、浦和は集中力を切らさずにしっかりと身体を張った守備を見せてゴールを死守し、1-0で鹿島を下して勝利の雄叫びをあげた。