浦和フットボール通信

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伊藤涼太郎が折れない心でカップ戦を足がかりにチャンスを狙う【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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天皇杯やルヴァンカップに掛ける思いは、誰よりも強い!

試合出場できず、ベンチ外メンバーとなる混沌とした日々の中で、プロ選手として2年目を迎えた伊藤涼太郎選手。狙うポジションは、もちろんボランチの一角である。

ベテランの阿部勇樹選手や柏木陽介選手、青木拓矢選手がスペシャリストしてボランチでプレーしている現状があり、日本代表ではボランチでプレーする遠藤航選手や那須大亮選手もボランチでプレーすることもできる。さらに今シーズンは、矢島慎也選手と長澤和輝選手がレンタル先から戻って来ただけでなく、駒井善成選手も京都時代の経験を生かしてボランチで起用されたりと、ボランチに拘る伊藤選手にとって本当に厳しい状況に追い込まれているのだ。

浦和の練習で行うハーフコートのミニゲームでは、メンバー外になってしまうことが多々ある。ミニゲームから外れた伊藤選手は、天野コーチの下で課題に黙々と取り組み、自分がミニゲームに呼ばれることを待っている。そして、コンディション調整で阿部選手や柏木選手が抜けると、ようやく伊藤選手の出番が回ってくる。

伊藤選手は「自信を無くしたわけではない。新しい選手が入ってきても負けている気は全然しない。試合に出て活躍する自信があるから、このチームにいるんだ。ルヴァンカップもあるし、天皇杯もある。チャンスを掴み取るために、毎日毎日100%で練習して良い準備をしているだけだ」とボランチのポジションを虎視眈々と狙っていた。

伊藤選手が、まず照準を合わせているのは6月21日水曜日、浦和駒場スタジアムにて19時キックオフで開催される天皇杯2回戦・盛岡との試合である。

「もしかしたら、そこにチャンスがあるかも知れない」と目を輝かせ「盛岡はJ3のチームだが、どこが相手でも関係なく自分のプレーをするだけだ。自分らしくアピールする。ゴールという結果を残したいんだ。ポジション的にボランチの基本は、ゴールに直結するパスなど攻撃の組み立てだが、僕はゴールを獲りたいと思っている。ゴールを獲るだけでも監督からの印象は変わると思う。僕は、ゴールが一番だと思う」と中盤から得意なドリブルで持ち上がったり、ドリブルシュートや追い越す動きからゴールを決める覚悟をしていた。

だが、先日行われた筑波大学との練習試合では、正直な所、思うようなアピールはできなかった。試合のテンポが掴めずに、ピッチの中で浮いた存在になってしまい観ていて歯がゆさを感じてしまった。

伊藤選手自身も「練習試合の中で、一番出来が悪かった。スタメン組が、大学生に0-2で負けてしまって、監督もサブ組がアピールのチャンスと思って見てくれていたのに、そこで自分のプレーができなかったのは、自分の準備不足だ。

2本目は、途中から入って流れを変えてやるイメージだった。もっとボールを回して大差を付けようと思ったのに、なかなか試合に入ることができなかった。

3本目は、スタートからだったので少しだけ試合に入れたが、ミスが目立って自分のプレーが出せなかった。良い準備ができていれば、良いプレーはできる。自分が悪い時に、どれだけ周りを見られてできるかだ。阿部さんは、自分が悪い時でも良いプレーができる。ここぞって言うときに、自分のプレーが出せる選手になりたい」と納得がいくプレーができていなかった。

練習試合といえフルコートでの久しぶりのプレーで、しかも途中出場は本当に難しいものがあった。伊藤選手は、途中出場で試合の流れに入れずに自分のリズムを崩してしまったのだ。

いくら自分のプレーの出来が悪かったとしても、伊藤選手には落ち込んでいる時間はない。そこで、お手本にしたのが阿部選手のプレーである。ピッチの中でミスをしても、そこからポジションニングを取り直して視野を広く持ち安定したプレーを心掛けることの大切さを学んでいた。

そして、ユースのメンバーに1人だけ混じって30分だけ出場した伊藤選手は「普段、試合に出ていないメンバーは、90分やる予定だった。僕は、2本目が途中からだったので3本目が終わっても90分やっていなかったので、30分だけユースの方でやらせてもらった。その中でも、悔しさはあったけど逆にどんな試合でもやらせてもらえるのは有り難い気持ちだった。ユースとの違いを見せようと思った。ユースの方で試合に出られず、メンバーに入れない方が一番辛い」ととにかくどんなメンバーだろうが、誰が相手だろうが試合出場できることに感謝して喜びを感じながらプレーをしていた。

そして「一番悔しいのは、公式戦のメンバーから外されることだ」と苦々しい思いを吐露した。

そこまで試合出場への強い思いがあるのであれば、厳しいポジション争いの現状を考えて試合出場機会を求めてレンタル移籍の選択がある。レンタル移籍で浦和を離れて修行するのも、短いサッカー人生の中で1つのやり方であると思う。しかし、「レンタル移籍していく選手は、ここで試合に出られない選手だ。自分は、ここで試合に出られる選手だと思っている」と伊藤選手の中には、レンタル移籍の選択肢よりも、浦和の中でしっかりと練習して試合出場のチャンスを掴むことしかなかったのだ。

「天皇杯やルヴァンカップに掛ける思いは、誰よりも強い!そこをきっかけに、リーグ戦やACLに出る」と力強く話し「アピールと思い過ぎると自分らしさがなくなる。チームのために闘うだけだ!」と伊藤選手は、冷静さを失っていなかった。

そして「守備とボールに絡む回数。一番はスタミナだ。スタミナがある選手は、後半のアディショナルタイムでも走り回ってボールを受けられるし、良い精度のパスやシュート、ドリブルもできる。スタミナが一番が大事だ」と自身のプレーの課題を話した。

そんな伊藤選手に理想のボランチを尋ねると、「理想のボランチ・・・・」と考え込み「陽介さんとか、阿部さんとか、青木さんとか、その3人にできないことが自分はできると思っている。この3人と違うところを魅せないと試合には絡めない。

その3人ができることを、自分はもっと伸ばしていって、自分しかできないことをさらに伸ばす。同じタイプのボランチは、2人もいらない。ドンドン違いを出していきたい」と意気込んだ。

どんな逆境でも、伊藤選手の心は決して折れない。折れない心が、伊藤選手のプレーを支えている。理想のボランチの姿が、3年後の自分自身だと伊藤選手は信じ、強い信念をもって突き進んでいく。

Q. ラファエル・シルバ選手が右足に付け根の肉離れと診断されたのですが、右足の付け根の肉離れと言えば内転筋ですか?

A. 右足の付け根の肉離れで多いのは内転筋ですが、一概には内転筋の肉離れとは言えません。右足の付け根の股関節の周囲には、内転筋、腸腰筋、恥骨筋などがあります。さらに内転筋には、大きく分けて長内転筋と短内転筋、大内転筋の3つがあります。右足の付け根と言ってもいろいろな種類の筋肉があるので、どこを痛めているのか、どの程度の損傷なのかMRIをかけて検査をします。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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