浦和フットボール通信

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那須大亮、完全合流 夏休みも終わり、頼もしい男が戻って来た!!【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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兄貴からの言葉

軽やかなステップワークを魅せて、ボールをヘディングでクリアーしながら「う~ん!気持ち良い~」と明るく弾む那須大亮選手の声が、夕暮れ迫る練習場に響き渡った。

怪我で戦線離脱していた遅れを取り戻すように、那須選手は身体を追い込み気持ち良い汗をかいていた。

そして「感触的に徐々に上げている感じで、凄く良い感じで上がってきている」と滴り落ちる汗を拭いた。那須選手が長期離脱したのは、浦和に移籍してきて初めてのことであった。

「プロ16年やってきて、夏休みをもらっちゃたので、僕だけ・・・」と歯に噛み「チームのためにみんな頑張っているので、本当に返せたらなって気持ちで今、やっている」と戦線離脱して休んだ分をピッチでしっかりとプレーで返す思いで取り組んでいたのだ。

磐田戦を目前にして那須選手が、チーム全体練習に完全合流したのだ。まだ、試合復帰の目処はついていないが、9月の過酷な連戦の中、本当に嬉しい那須選手の復帰であった。

しかし、那須選手にとって心苦しくなる戦線離脱だった。7月29日に開催された札幌戦で、前半に槙野智章選手が退場処分となり1人少なく1点を追う状況で、守備の安定を求めて後半から投入されたのは那須選手であった。アクシデントが起きたのは、後半開始早々の49分であった。相手と競り合いの後に、ピッチにうずくまってしまった。左足ハムストリングの肉離れでプレーは続行できず、既に交代枠を使い切った浦和は、2人も少ない状況で試合に臨み、苦しい展開の中で0-2の敗戦。そして、翌日にはペトロビッチ監督が解任されたのだ。

那須選手は「やっぱり・・・あそこで、怪我をしたことはしょうがないことだが・・・」と言葉を詰まらせ「試合に出ていれば、結果を残す自信はあった。本当に、そういう意気込みでやってたので、それで怪我してしまった。ミシャ(ペトロヴィッチ監督)が、勝てなかったことで解任されて、悲しい気持ちになった。結果を残してあげられなかった。ミシャに恩義を感じている分、返せなかった」と遠く見つめて話したのだ。

リーグ戦での出場機会を掴めずに、苦しい時間を過ごした柏から浦和へと呼んでくれたのはペトロビッチ監督であった。その監督の期待に応えるように、どんなに苦しい状況でもピッチでは闘う姿勢を全面にだしていったのだ。

そして、百戦錬磨のベテランらしく若手を叱咤激励し、面倒見の良い兄貴的存在でチームを支えていった。責任感が強い那須選手だから、札幌戦の敗戦が監督解任の決定づけたことを重く感じていた。

それでも、沈みがちな気持ちに喝を入れるように「このサッカー界は、目まぐるしく1日、1日の単位で変わっていく。何が起こるか分からない。起きたことを悲観するよりも、起きたことに何を感じて前に進むかが大事だ。必ず意味があると思っている。ミシャが交代したことにも意味があるし、僕が怪我したことにも意味がある。それで、日々成長していくと思う。そこで、後ろを向いた時点で成長は止まる。

それは、僕たちもそうだし、チームもそうだ。みんな、必ずそういう時期がある。それをどう捉えて、どう次ぎに活かすかが、一番大事なことだと思う。

監督が交代したことは、残念だったし悲しい出来事だったけど、未来に向かって時間が進んでいる。そこで、結果を残すために何をしないといけないかだ!」と力強く話した。

那須選手の戦線離脱と同時に浦和は、ペトロビッチ監督体制から堀監督体制へと変わった。浦和の守備の仕方もスタイルも徐々に堀監督流が、チームで構築されつつある。

那須選手は「4枚(4DF)は、やったことがあるし、4枚でも3枚でもずっとプロでやってきて、やることは分かっている。4枚でも3枚でも守備の連動性が大事。人を動かして、自分も動いて、距離感だったりコンパクトさやチャレンジ&カバーとか初歩的なことだが、非常に大事だ。やっぱり、1人では守れない。いかに、チームで4枚が一心同体で糸で繋がっているような距離感でやれれば、良い闘いができる」と話した。

その表情は、「さすが兄貴!」と思わず言いたくなるほど自信に満ち見溢れていた。

そして「あとは、堀さんが言ってるように競争があるので、競争の中で切磋琢磨して、(試合に)出た時には必ず結果を残すスタンスは変わらない。この怪我が、無駄じゃ無かったと証明するために日々の積み重ねが大事だ。良い準備をして、チームが苦しいときに助けられるようにする」と話した。

那須選手の言葉には、力があり頼もしいかぎりであった。

そして、那須選手はリハビリ生活の中でいろんなことを感じていたのだ。その中でも「今までプロ生活の中でこんなに長期離脱することがなかった。当たり前のように練習がやれて動けるのは、有り難いことだ。本当に僕らは、素晴らしい環境でサッカーをやらせてもらっているんだって改めて思った。

掃除のおばちゃんたちや芝生を管理している方々、サポーター、クラブスタッフとか目に見えないところでたくさんの人たちチームを支えてくれている。当たり前のようにしてくれていることが、本当に有り難いことだと感じた。

だからこそ、僕らはみんなの代表で闘っているから、結果と言う形で返さないといけない。ピッチに立つ以上は、闘わないと」と改めて浦和を支えてくれる多くの人々への感謝を感じることができたのは、今後の那須選手のプレーに輝きを増すに違いない。

最後に那須選手は「怪我して、良い時間を過ごさせてもらった」と笑った。夏休みも終わり、本当に頼もしい浦和の男がピッチに戻って来た。

Q. 肉離れの3型で、手術が必要な場合もあるのでしょうか?

A. 肉離れの多くは、安静にしていれば治ります。しかし、中には3型で完全に腱断裂してしまったプロ選手の場合などは、アンカーと言って骨に特殊な錨を埋めて糸で結合させます。アンカーは、チタンでできていて0.5mmほどの小さいものです。手術が必要とされる肉離れは、本当にごく希なケースです。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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