浦和フットボール通信

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高木俊幸がACL川崎戦で決めた決勝ゴールを「意味あるゴール」と語った想いとは【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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サッカーの神様からの贈り物、意味あるゴール

「一生懸命やっていれば、自然と結果はついてくる」。

凛とした口調で高木俊幸選手は言った。

川崎との激突したACL準々決勝、ベスト4目指して窮地に追い込まれた浦和を救ったのは、高木選手のゴールであった。まるで、サッカーの神様からの贈り物のようなゴールだった。

「正直、キツイ状況だったし、1点獲れば流れは変わると思っていた。それが、前半に取り返せてことが大きかった。相手に退場者が出たのも幸運だった。僕としては、退かれても自分たちはボールを繋げられるし、出来た隙間つかって崩せると思った。逆に自分もやることがハッキリしていて、攻めきることだけだったので自分としては良かった」と高木選手は試合を振り返った。ピッチの中でやるべきことが明確になったことも良かったのだろう。

ACL準々決勝・第1戦川崎で1-3と敗戦した時点で、浦和にとって必要なことはホームで2点差以上で勝つことであった。

19分に川崎に先制点を許したが、退場者が出て浦和が数的優位になって川崎を攻め続けた。35分に興梠慎三選手、70分にズラタン選手、84分にラファエル選手とゴールが決まり3-1と川崎を追い詰めていった。

あと1点!時計の針が、刻まれていく中であと1点獲れなければ延長戦になる中、高木選手のゴールが決まった。

高木選手が右足でGKとDFの間を通すクロスに、武藤雄樹選手がゴール前に飛び込むイメージだった。それが、弧を描くようにボールがゴールネットへ吸い込まれていったのだ。

この高木選手の起死回生のゴールで浦和は、2試合を合計して5-4の逆転勝利をおさめてACLベスト4進出を決めたのだ。

ゴールが決まり、赤い歓喜の渦が埼玉スタジアムを包み込むなか、1人浮かない表情をした高木選手がいたのだ。それも、そのはずである。高木選手は「アジアの舞台でようやく結果を出せましたけど、正直、100%狙ったゴールじゃない。喜んで良いとは思うけど、まだ満足してはいけない」と憮然としていたのだ。

そして、「完全に中に折り返すことを考えていたので、シュートは5%も頭の中になかった。入っちゃうのか・・・。自分でもビックリした」とイメージと全く違うミスが、ゴールへとなったことを恥ずかしそうに話した。

ミスパスであったが、高木選手は「自分に対してメッセージ性のあるゴールだった」と話し「怪我でなかなか、チームに迷惑ばっかり掛けていて、今シーズン良いものが出せていなかった中で、ここから自分が何かをやっていくぞってきっかけになるようなゴールを与えてもらった」と苦しかったリハビリ生活が頭に過ぎったのだろうか、高木選手は目頭を抑え、こぼれ落ちそうな涙を隠した。

そして「意味合いのあるゴールを与えてもらった。あのような場面で、あんなラッキーなゴールってないと思う。きっかけになりそうな感じだった」とゴールを振り返った。高木選手にとって、怪我から復帰し再スタートを切るための意味のあるゴールだったのだ。

チームで一番繊細の心を持ち、細部まで神経を巡らす几帳面な高木選手にとって、今シーズンをスタートする時点で、戦線離脱していること苛立ちを感じていた。

昨シーズンの疲労が重なり、第五中足骨の疲労骨折であった。どれだけ、我慢してシーズンの終盤を走り続けていたのだろうか。疲労骨折は、接触骨折と違い防げる骨折である。昨シーズンの終盤に無理をしなければ、こんなことになっていなかった。

「チームに迷惑をかけている」とポツリと呟くぐらい、ずっと気にしていたのだ。

「出遅れた」という焦りがある中で、その逆に「前の年も怪我はしていなかったけど、半分シーズンが過ぎてから、結果が出るようになって試合にも出場しはじめた。怪我で出遅れたからって、自分の中ではないようにしていた。みんなよりよりも身体のピークの時期が、ちょっと遅れるし、チームが疲れてきたときに、自分が役に立てるかな」とポジティヴに考えていた。

だからこそ、過密に日程の中でもフレッシュな自分がチームのために貢献する思いが強かった。

あの川崎戦から、もうすぐ1ヶ月が経とうとしている。高木選手は「川崎戦から勝てていないし、個人的に結果が出せていない。残りの試合は、細かいことを考えずに、1試合、1試合、全部勝つ。リーグもACLもここから全部勝てれば、今成し遂げられるベストな結果がでてくると思う」と気合いを入れた。

10月1日に3-2で勝利を収めたアウェイの仙台戦は、試合終了間際にラファエル・シルバ選手に代わり高木選手はピッチに送り込まれたが、高木選手にとっては試合出場した実感がなかった。

サッカーの神様からの贈り物のゴールを本当に意味のあるゴールだったと高木選手自身が、ピッチの中で示していかなくてはいけない。今シーズン怪我で出遅れたが、高木選手にとって、ようやく今シーズンが始まった。アジア王者奪還と来シーズンのACL出場権獲得を目指し、高木選手はピッチで躍動していくだろう。

Q.肉離れはどうして起きるのでしょうか?

A.肉離れは、ボコっと筋肉が切れるのではなく、鳥のささみのように腱と筋肉の境目から剥がれるのです。激しい運動で急激に筋収縮を強いられたときに、筋肉繊維が部分的に断裂します。筋肉のバランスが悪かったり、筋肉の柔軟性がない、筋肉が緊張していて疲労が溜まっていたり、オーバートレーニングなど肉離れになりやすいです。疲労骨折のように、徐々に筋肉が損傷していき、走った瞬間に肉離れになるような筋肉疲労肉離れがあります。小中学生では、腸腰筋の肉離れが多いです。走っていて急に走れなくなります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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