浦和フットボール通信

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2017シーズンを振り返って思うこと【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

過去を振り返り、浦和が目指す指針を示せ!

浦和の今シーズン最後の試合は、日本から約8,000㎞も離れたUAEの地で行われたアフリカ王者のウィダード・カサブランカとの一戦であった。

10年ぶりのアジア王者を手に、レアル・マドリードとの対戦を夢見て乗り込んだクラブワールドカップであったが、初戦で開催国枠出場のUAE王者アルジャジーラに0-1で敗戦。圧倒的にボールを支配しながらも、決定的なチャンスが作れず、ボールを持たされている様なゲーム展開になってしまった。

リーグ終盤での課題が、改善されず浮き彫りになる形となった。結局、待ち望んでいたレアルとの対戦も最低でも本田選手が所属するパチューカとの対戦も叶わぬまま、ウィダード・カサブランカ戦を迎えたのだ。

ウィダード・カサブランカ戦は、初戦のアルジャジーラ戦に出場機会を与えられなかったマウリシオ選手が意地を見せて相手の度肝を抜くスーパーゴールを決めて大会得点王に輝いた。結果論であるが、クラブワールドカップの初戦でマウリシオ選手を起用していたら違っていたのではないかと悔やまれる結果であった。

浦和は、確かにアジア王者になった。これは事実である。だが、頭ではこの事実を認めながらも、心の中ではどこか納得できない部分があった。

ACL決勝でアル・ヒラルを撃破してACL優勝した瞬間は、本当に嬉しかった。浦和を愛する人々が、共に闘い勝ち獲った栄光であったからだ。しかし、その喜びは長くは続かなかった。鹿島、川崎、横浜FMとリーグ戦を0-1と1点が遠い3連敗を見せつけられれば、浦和が置かれている現実に引き戻されてしまいACL優勝の喜びが一気に冷めた。

今シーズンの浦和が、本当に強かったのかというと決して強くはなかった。ACL決勝トーナメントで逆境に立たされながらの逆転劇は、浦和を愛する人々と共に闘い、その熱い思いに選手がピッチで応えた結果でしかなかったのだ。

考えてみれば、ACLを初優勝した10年前の浦和は本当に強かった。ワシントン選手、ポンテ選手、ネネ選手に、ブラジルから帰化した闘莉王選手と三都主選手。外国人部隊と揶揄されたが、アジア王者に相応しい強さであった。

Jリーグでも優勝争いを終盤までして、アウェイのFC東京、ホームの鹿島、アウェイの横浜FCと3回も優勝を決めるチャンスがありながら、ダブル優勝を逃した悔しさは忘れることができない。ダブル優勝することの難しさを痛感させられた。

だが、その強さを基板として浦和の黄金期が築かれると信じたのだ。高円宮杯で優勝した浦和ユースの山田直輝選手や高橋峻希選手、濱田水輝選手、永田拓也選手、原口元気選手たちがいずれトップチームへと昇格し、浦和を支える中心選手に成長すると未来を待ち望み夢を描いた。

ACLとリーグのダブル優勝の快挙を浦和なら成し遂げられると・・・。その夢や野望は、本当に脆くも崩れた。浦和が築いたものは、砂の城だったのだ。

アジア王者奪還まで10年。ACL優勝監督であったオジェック監督は、選手との確執により、リーグ戦開幕わずか2試合で電撃解任され、引き継いだ形となったゲルト・エンゲルス監督では結果でずにリーグ7位と低迷しあっさりとシーズン終了と共に解任。迷走する浦和は、フィンケ監督で再起を図るも上手くいかず、浦和愛の強いゼリコ・ペトロヴィッチ監督でもJ2降格の危機に晒されてしまったのだ。監督が代われば、戦術も変わる。選手を入れ替えながらも迷走し続けたのだ。

そしてミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任すると、監督の目指すサッカーのビジョンによって次々と選手を広島から引き抜き、チームを作り上げたのだ。それにより浦和は、常に優勝争いできるチームになった。ある意味、当然である。ペトロヴィッチ監督の戦術を理解して、忠実にピッチで体現できるスキルをもった選手たちが揃っていたからである。

一から戦術を理解して、体現するまでには時間が掛かるからだ。監督が目指すサッカーで勝利するための人材を他のクラブから買ってくる図式が、浦和の中で出来上がっていた。そこで優勝できれば良かったが・・・。大一番でのメンタル的な弱さで、優勝争いをしときながらも終盤に失速するシーズンを繰り返しながらチームは成長した。そして、昨シーズンをリーグ年間勝ち点1位に輝いた。だが、2ステージ制のためにリーグ優勝とは認められず鹿島とのチャンピオンシップで敗戦。またしても苦渋を味わうことになったのだ。

そして今シーズン、6年目を迎えたペトロヴィッチ監督は更なる飛躍を考えて超攻撃的スタイルにチャレンジしたが、それが自らの首を絞める結果になったのだ。

ペトロヴィッチ監督のあとを引き継いだ堀監督は、守備の改善を図りながら対戦相手のストロングポイントを消して行った。そのため、ペトロヴィッチ監督体制で作り上げた小気味の良いテンポあるコンビネーション攻撃は姿を消した。

点が獲れない苦しさを感じながらも、浦和のシーズン最後のウィダード・カサブランカ戦で魅せた見事な崩しからの柏木陽介選手のゴールに僅かな光明を感じることができた。

来シーズンは、堀監督体制で一からチームを作りあげていくことになる。リーグ優勝を目標に掲げ、再びアジアの舞台へと躍進するためには、この10年をしっかりと検証し同じ過ちを繰り返さないことだ。浦和が目指す指針を示し、本当の浦和の黄金期を作り上げたいと切に願う。

Q. 足の付け根の肉離れの予防を教えてください。

A. 内転筋などトレーニングで筋肉を強化したり、スポーツを行う前は動的なストレッチで筋肉をほぐし、クールダウンをしっかりとしてストレッチをしましょう。疲れを溜めないように心掛けると良いでしょう。また、体質的に左右のバランスが悪い人は、肉離れになりやすいので、バランスを良くすると良いでしょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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