浦和フットボール通信

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今の現状に何が必要なのか、興梠慎三の言葉が心の羅針盤になった【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

「俺がスーパーになる」

「俺がスーパーになる!」と興梠慎三選手は、逆転負けしたホーム開幕・広島戦後に力強く宣言した。

サッカーは、決して1人でやるスポーツではない。そんなことは、百も承知で言われなくても分かり切ったことだ。ピッチの中で、スーパーな選手が1人いても勝てない。だが、興梠選手が発した言葉に、今の浦和の現状が手に取るように分かり、何とかチームを勝利へと導きたい熱い思いが込められていたのだ。

追加点が獲れずに逆転負けし、選手を叱咤するブーイングに包まれた埼玉スタジアムだったが、興梠選手の「俺が、スーパーになるしかない。俺が、スーパーになる!俺がスーパーにならないと上手く攻撃が出来ない。ハードワークして、スーパーになる」。

この言葉に、凍てついた心の羅針盤が動き出し勇気付けられた。

昨シーズン、鹿島、川崎、横浜FMにいずれも0-1で3連敗しシーズンを終えて7位。守備の改善を多少見られたが、後ろに重心を置くと前の推進力がなくなり得点力が減少してしまったことは否めない。興梠選手も浦和のエースストライカーとして感じていた。

「堀監督になってから、なかなか2点、3点決める試合がない。ダイレクトでボールが繋げることをしても良いと思う。1点を前半でとっても、その後に2点目を獲る力があまりない。攻撃面でのコンビネーションが必要だ。

サッカーでリスクを掛けて攻撃をしないと点が入らない。リスクを掛けた攻撃が、今はない。サイドから上手く崩せれば良いが、なかなか崩せない。サイドにボールが入ったら、自分は崩せ待ちしかできない。誰かが寄っていって、コンビネーションで崩してクロスを上げるのが少ないので、多くそういうシーンを作りたい。簡単にクロスを入れても、高い(身長が)選手がいないから簡単に勝てない。何かしら崩さないと上手くいかない」とリスクを掛けた攻撃を力説した。

サイドからのドリブルの突破力は、どうしても個の能力に頼るところが大きい。相手に数的優位で守られてしまっては、なかなか崩せない。サイドでリスクを掛けて、同数か数的優位な状況をオフ・ザ・ボールの選手の動きで作り、コンビネーションプレーで崩すのだ。

また、1トップの興梠選手が下がってボールを受けて攻撃の起点となるシーンがあった。興梠選手は「自分が下がって攻撃を組み立てるのは、間違いなく成功ではない。自分は、DFの裏を抜けたりシュートする形だ。1トップだから、それを求められている。攻撃の組み立ては、シャドーやボランチがやるのが理想だ。自分が良いポジションでボールを受けられないのもあるし、自分がボールを持ったとしてもちゃんと動き出してない。タイミングが合ってない。これが、ずっと続くと危ない。観ていても面白く無い試合内容だ。ひとりひとり選手は反省しないといけない」と警鐘を鳴らしたのだ。

沖縄キャンプで堀監督が着手したのは、攻守のバランスを考えながらの攻撃の組み立てであった。ワイドの選手が高いポジションを取り斜めにゴール前へと飛び出しFW的な役割を熟したり、サイドアタッカーの動きからクロスを入れる。また、サイドバックが縦へとオーバラップを掛けるだけでなく、斜めに入る込んだりと攻撃の変化をみせた。

しかし、実際に試合になると、まるで額縁をなぞるような感じのパス回しで効果的な崩しができない。それもそのはずである。ピッチの幅を上手く使った効果的なサイドチェンジが出来ないために、相手にゴール前を固める時間を与えしまうし、ボールサイドへスライドし守備がしやすくなってしまうのだ。例え、1トップの興梠選手にボールが入っても孤立して苦戦をしいられる。

「前に残っているのが、俺しかいない。要するに相手のセンターバックが、俺を2人でみている。シャドーが高い位置を取れれば、センターバックの1人が見ることになる。そうなると1対1の駆け引きができる。俺が退いたら、センターバックの1人は食いついてくるでしょう。そしたら打開できる。でも、完全に退いているから、2人で見られると下がってもついて来られる。DFの裏を取ってもついて来られるから、パスがもらい辛い。

ワイドの武藤とか中に入ってくれば、俺はサイドから楔をもらう前に武藤とパッと目が合う。「ここでフリックですね」って感じで、昔からやっているから分かる。でも、今はアイコンタクトもあまりない」と悪戦苦闘していた。

しかし、どんなに厳しい状況でも興梠選手は決してめげない。個々奮闘しながらも、魂の籠もったプレーでゴールを目指す。それが、浦和のエースの役目だからだ。

勝利という結果が出ないリーグ戦のスタートとなったが、興梠選手の言葉が今の浦和の現状に何が必要なのか、そしてどこに向かって行くべきなのか示してくれる心の羅針盤になった。

Q. 沖縄で行われた一次キャンプでGK4選手のうち岩舘直選手と榎本哲也選手が怪我のため離脱してしまいました。GK特有の怪我について教えて下さい。

A. GKは、フィールドプレーヤーと違い手を使うことで手の怪我が多いです。例えば小学生とか草サッカーなどでたまたまGKをやって、手首を骨折することが多いですね。ボールを跳ね返せなくて、ボールの勢いで手首をもっていかれて手首を骨折してしまったり、手の甲を骨折することもあります。また、指先にボールが当たりもっていかれると、橈骨下端(とうこつかたん)骨折といって手首の付け根が折れてしまうのが一番多い。あとは、指の骨折も多いです。普通の骨折と同じで、完治するまでギブスをして1ヶ月ほどかかります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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