浦和フットボール通信

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興梠慎三がMr.レッズ越えで名実ともにエースへ「浦和だけで100ゴールを獲りたい」【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

野望を抱き令和でも輝く

平成最後のゴールを決めて、名実ともにJリーグ史上に名を残した興梠慎三選手。清水戦のアディショナルタイムに、汰木康也選手からのグラウンダーのクロスに合わせて決めた。ゴールに吸い込まれるボール軌道は、GKをあざ笑うかのようにオシャレであった。

興梠選手は「押し込まれている中で、カウンターが綺麗に決まった。汰木から良いボールが来た。冷静に決められて良かった」と安堵の表情を浮かべながら「もう、死んでましたけど最後のチャンスだと思って走った。GKが突っ込んできたのが見えたので、チップキックでうまくゴールができた。あれ、疲れていなかったら思いっ切り撃った。疲れていたから逆に冷静になれた」とニヤリと笑った。ヘトヘトになりながらも、最後の力を振り絞ってゴール前に走り込んだ結果がゴールへと結び付いたのだ。

平成最後のゴールは、興梠選手のJ1通算139ゴール目であった。これで、三浦知良選手のJ1通算ゴールと並んだ。

「自分の中では、今年も二桁ゴールを獲りたいと臨んでいる。そこに1歩近づいている。8年連続の二桁も掛かっている。1人、1人、抜いていきたい。今、カズさんと並んでいるが、カズさんも現役でいつJ1に上がってくるかも分からない。その時にカズさんがドンドンと決めたら、また差がついてしまう。今のうちに突き放したい気持ちもある。もっともっと前の選手に近づいていきたい」と話したのだ。

ちなみにJ1通算得点ランキング1位は、大久保嘉人選手の184ゴールだ。2位が佐藤寿人選手の161ゴール。3位、中山雅史選手の157ゴール。だが、決定力となると話は違う。5月8日現在の時点で、大久保選手は1093本ものシュートを放っていたのだ。興梠選手のシュート数は、585本だ。大久保選手の決定率は約16.8%に対して、興梠選手は約23.8%だ。その決定力は、J1でもトップクラスだ。

浦和のエースストライカーで得点王に輝いた選手は、福田正博選手とエメルソン選手、ワシントン選手の3選手だ。福田正博選手は、通算406本シュートを放ち91ゴールを決めた。決定率は約22.4%だ。破壊力があったエメルソン選手は通算503本のシュートで71ゴール、高さも技術もあったワシントン選手は302の本シュートで64ゴールだ。決定力が一番あるのは、浦和史上で興梠選手なのだ。だが、一度も得点王になれていない。

「レジェンドである福田さんの記録を塗り替えたいと、ずっと頑張ってきた。福田さんは、非常にサポーターから愛されていた選手だった。そういう人になりたいと思っている。浦和だけで100ゴールを獲りたい」と話した。

興梠選手には、得点王に輝き、浦和史上最多得点である福田選手の91ゴールを越える活躍してタイトル獲得に貢献してほしいと思う。

「得点王は、難しい」と興梠選手は言った。確かに浦和の現状を考えると難しいのは事実だ。だが1チャンスを生かす力を興梠選手は持っている。

「今のサッカーは、前の選手も守備をしないといけない。守備をさぼるんだったら、攻撃でインパクトを残さないといけない。自分は、前でインパクトを残すタイプではないでの、守備も攻撃もやらないといけない。1つのチャンス(ゴールチャンス)を逃さない選手になりたい」と目を輝かせた。

平成に残した悔やむ思い

そして「鹿島の時「に、オリヴェイラと一緒にやって試合に出られるようになって、浦和に来られたのはミシャ(ペトロヴィッチ監督)のお陰だし、また浦和でオリヴェイラと再会して、俺は恵まれている。本当に、うれしいことも悲しいこともあった。鹿島から浦和に来られたことは、うれしいことだ。いろんな監督とやれて、再会したこともうれしい。でも、やっぱり自分のサッカー人生でミシャがいなくなったことは、最大の悲しみだった。優勝(リーグ戦)できなかった。あんなに良いサッカーをやっているのに、タイトルが少なすぎた。終わったことだけど、やっぱりあんなに信頼して使ってくれて何も残せなかった悔いが強い」と平成を振り返ったのだ。

攻撃的なサッカーを貫き、前線での巧みなコンビネーションからテンポ良いパスでゴールを目指したペトロヴィッチ監督体制であったが、リーグ制覇を目の前にして何度となく煮え湯を飲んだ。悔やんでも悔やみきれない思いが興梠選手の中にあったのだ。

だからこそ令和は、平成を払拭するような輝かしい浦和の歴史を残したい。浦和は、オリヴェイラ監督の下で、日本とアジアの頂点に立つことを今シーズンの目標として掲げた。正直なところ、目標を達成できるような好調な滑り出しとは決していえない。だが、苦しい中でも少しずつ改善してきている。

興梠選手は「点を獲れば、FWは勢いづく。気持ちも楽になる。90分間を通してポストプレーとか、最近うまく出来てきている。攻撃は、自分のところから始まる。自分のところでボールを失うと攻撃の形がつくれない。そういう意味では、今サッカーを楽しんでいる。徐々に試合を続けて良くなってきている」と笑った。

苦しいシーズンの序盤だが、最後に浦和に至福の時が訪れれば良い。決めるべき浦和のエース興梠選手が決めれば、結果がついてくるだろう。福田選手の浦和史上最多ゴールまであと1ゴール。興梠選手が浦和で掲げた100ゴールまであと10ゴールだ。8年連続二桁ゴールで浦和を勝利へと導く。

そして、黄金期を築き上げた鹿島でも川崎でも広島でも為し得なかったJリーグとACLの2冠を獲る大きな野望を抱き興梠選手は、浦和を愛する人々とともに闘いゴールへと突き進む。どんなに苦しい試合でも、浦和にとって令和が輝かしい時代になるように、決して諦めず最善を尽くしていく。

Q. 以前、荻原拓也選手が「踵に痛みがある」と言っていたので心配になってしまいました。

A. 踵といってもすごく難しいです。本来、踵は人間しか地面に着いていません。動物は、4つ足なので踵は地面に着きません。指で立つのが動物です。人間は、立ったので踵が地面に着くのです。もともと踵は、地面に着くものではなかったので衝撃に弱いのです。踵は、強い組織ではないので怪我をしやすいのです。縄跳びで爪先で着地しますが、踵で着地して踵の疲労骨折をすることもあります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科
http://www.kawakubo-clinic.j

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