浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「たったひとつのポジション」(6/4)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

たったひとつのポジション

 

勝つためには、ゴールを奪い、そしてゴールを守る。失点さえしなければ、決して負ける事は無い。

しかし、ヨーロッパチャンピオンに輝いたバルサでさえ失点はするのだ。失点した時ボールの失い方はどうであったか?その後のDFは?相手の選手の動きは?など常に考えてしまう。失点はチーム全員の責任だと思うが、GKは、ゴールを守る最後の砦である。
果敢に身体を投げ出しゴールを守る。「後ろの声は神の声」と言われるぐらいGKからの指示は絶対であり、ゴールを守る責任感を持ってゴールマウスに立っている。当たり前の話であるが、ゴールマウスに立てるGKはたった一人である。だからこそ「守護神」と喩えられるのである。そしてゴールを守るだけでなく、後ろからのゲームの組み立てやゲームの流れのコントロールも求められる。

背番号1番の誇りを持ち、シュートストップには絶大な信頼感のある山岸範宏選手がレッズでの「守護神」である。しかし、加藤順大選手、大谷幸輝選手は虎視眈々とそのポジションをねらっている。山岸選手だって、順風満帆でその地位を築いて来た訳ではない。都築龍太選手とポジション争いをしながら、いつでも出場出来る様に日頃から、コンディションを整え、試合勘を失わない様に、そして自分のプレーに磨き掛けて来たのだ。その努力の甲斐があって、チャンスをしっかりと自分のものにしたのだ。そう簡単にポジションを譲る訳にはいかない。

その山岸選手の背中を見て、加藤選手も大谷選手も成長して来た。練習中から大谷選手は「後ろから声を出し、前を動かす。今のボールはぶれるので、パンチングで弾く時とキャチングする時の判断を意識している」と話し、加藤選手は「チームの流れに乗ったプレーが持ち味。良い流れに僕から攻撃に繋げたい」と話す。二人ともアピールの場は、練習と練習試合だけである。公式戦のピッチに立ちたい気持ちは練習を見ていても伝わって来るものがある。いつ試合に呼ばれても良い様に、常に良い準備はして来ている。

目標とされる立場になった山岸選手は「慢心は全くない。常に危機感を持っているし、成長するために、何をやって行くか?日々の積み重ねだよ。シュートストップ、クロスの対応の精度をより上げて、守から攻に切り替わった時の幅を広げられるか?プレーの正確性を意識している。浦和のゴールに立ち1試合々が貴重な経験だと思う。積み重ねて来たものがあるが、常に上にと、どん欲なハングリーは持っている」と話す。決して自分に満足する事無く努力をし続ける山岸選手の姿があった。

今まで、ナビスコ杯は代表選手が抜け、日頃出場機会がない選手や若手を試す良い機会であった。しかし、レッズの選手は代表に選出されず、その上、日程の変更もあり、ホーム&アウェーのトーナメント方式になってしまった。若手を起用すると言う状況ではなくなってしまったのだ。しかし、ペトロビッチ監督は「加藤は公式戦の経験は少ない。ただし、トレーニングの姿勢、ギシを支える姿勢を評価して出場させる事を決めた」とナビスコ杯前に起用を明言をした。チャンスが巡って来た加藤選手は「試合の流れを読んで、配球とか落ち着いたプレーでチームをまとめたい。連動して良いラインの高さでやりたいし、バランスを考えてやって行きたい」とナビスコ杯の初戦の抱負を語った。

約1年ぶりの公式戦となる加藤選手に不安が無いわけではない。しかし、それを払拭出来るものが、今の加藤選手には備わっている。チャンスを自らの手で引き寄せた加藤選手が、ナビスコ杯でどの様なプレーをするのか楽しみである。また、そのプレーに刺激を受けて山岸選手と大谷選手も更にパワーアップして行くだろう。タイプの違うGK3人が、たった一つのポジションを巡り切磋琢磨する。それが、ゴールを守る最後の砦を、より屈強な砦にして行く。

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