浦和フットボール通信

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【This WEEK】週刊フットボールトークVol.71(1/18)

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:1月20日の浦和レッズ始動にあわせて、今シーズンの陣容がようやく見え始めてきました。ミハエル・ペトロヴィッチ新監督の下、ケルンから槙野智章、神戸からポポの加入が発表されました。槙野は広島時代もペトロヴィッチのサッカーを体現する一人でしたので大きな戦力になってくれると期待します。あとは試合を決めるストライカーの存在が必要だと思いますが。どうもこの部分は欠けたまま始動をするかもしれません。

豊田:新監督はかつてのインタビューで、「監督がチーム連携の要素をこと細かに植えつけてもJリーグのクラブ自体がそれを引き継ぐのはきわめて困難だ」という意味のコメントを残しています。何とかレッズにおいてはクラブとともに一定の「戦術蓄積」を果たすプログラムを確立して欲しいと思います。選手指導よりも、まずはそのための組織づくりの方が優先タスクであり、難しいとも思うのですが(笑)。その意味で、昨季の降格回避を果たす采配を振るった堀孝史前監督がトップチームに残るという決定は将来を考えれば望ましい判断と思います。

椛沢:昨日の監督就任会見でもチームの土台を創るべく戦術を浸透させていきたいという意気込みを語っていました。詳しくは全文会見をお読み頂ければと思います。さて、先週もお送りした、取材で得た名言集の第2弾は、私がピックアップしたものです。まずは帰国間際にフォルカー・フィンケ元監督から聞いた言葉です。

★日本においてのそのような場所は浦和と静岡をおいて他にない。さらにプロサッカーには欠かすことができない要素。例えば森さんのような人物とか、スタジアムの熱狂とかもあわせ持っている場所はどこですか。URAWAしかないでしょう? URAWAにホームを置く浦和レッズが他にはない可能性を秘めている。

フォルカー・フィンケが、ホームタウンの状況を理解していたのは正直驚きでした。豊田さんもこのインタビューを行ったわけですが、当時思い起こされることはありますか?

豊田:何より思うのは、この部分に言及したフィンケ発言が在任中にはほとんどクラブからもメディアからも発信されなかったことです。「ホーム浦和のサッカー現況に関し、レッズ監督に就任した外国人監督がどのような見解を持っているか」 これはJクラブの本来的な意味を考えればかなり優先度の高いニュースと思うのですけれどね。日本を離れる直前だったあのインタビューの最後にはレッズとバイエルン・ミュンヘンの提携関係も解消されてしまったことを嘆き、我々に「ぜひまた会って議論しよう」と述べた表情が忘れられません。

椛沢:続いては、古くから三菱、浦和レッズを見続けているサッカージャーナリストの重鎮、大住良之さんの言葉です。

★「浦和レッズがなぜここまでの人気クラブに辿りつけたかといえば、クラブとホームタウンが「このクラブを良いクラブにしたい。強くしたい」という、強い思いの絆で結ばれていたからです。」

客観的にも状況を見てくれている大住さんの言葉だからこその重みがあります。クラブ内部にも影響力のある大住さんの言葉だったわけですが、未だ、強い絆の構築はやっていかないといけない課題として残っていると思います。大住さんには近々、またお話を聞きに伺ってお伝えをいたします。

豊田:ひとつめのフィンケ元監督の発言に密接に関連する指摘と思いますね。クラブとメディアはもちろんホームタウンと観客、サポーターである我々自身も、自分たちがお客様扱いをされている問題の深刻さを認識しなければ現状は打開できないということでしょう。

椛沢:3つ目は最近のインタビューから犬飼基昭元レッズ代表と轡田隆史さんの対談から犬飼さんがサッカーにおいて必要なことを犬飼さんが発した言葉です。

★「サッカーというスポーツは地域基盤をベースに考えられなければ、勝てもしないしスポンサーの理解だって得られない。」

犬飼さんというとビッククラブ化、大型補強という派手なキーワードが付き纏いますが、ベースとしては「地域」があったということは忘れていけない部分なのかと思います。

豊田:犬飼さんのあのエネルギッシュな改革の源にホームタウンがあったことは間違いありませんが、短期的な目標としては「クラブの経済的な自立」、このベクトルを内外に示すことを一定の成果として描かれていたのではないでしょうか。いずれにしても当時と現況の比較は浦和レッズの将来に関わる重要な分岐点ですので、次週の大住さんインタビューでも見解を伺おうと考えています。

椛沢:今回、ご紹介した合計6つの言葉を指針として、「浦和フットボール通信」として、来るべき新シーズンを迎えたいと思います。

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