河合貴子のレッズ魂ここにあり!「ゲームの流れを読む力~小島秀仁選手」(6/22)
J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
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期待の若手・小島秀仁。浦和のピルロになるためには、本人にもトレーニングの手応えを聞きました。
フィールドの中央で、ゲームの組み立て、パスを出すタイミング、スペースを気にしながら身体を半身にして左右に首を頻繁に振る小島秀仁選手がいる。もともとポテンシャルが高い選手であるが、若手ながら更に磨きがかかり、落ち着いた安定感を練習から見せて来ている。
ミーシャ監督が就任した今シーズンの当初は、練習中に「秀仁!!」とミーシャ監督が声を荒立ててフリーズをかけ、ボールを受ける時の身体の向きや守備の仕方など指示を受けていたのを良く見かけた。しかし、最近の練習では小島選手に対してミーシャ監督が、声を荒立てる回数が減って来た。ミーシャ監督は、常に反復練習をする事により、選手達に判断力の良いインテリジェンスなプレーを求め続けている。「反復練習をする事により、インテリジェンスな選手は言われなくても出来るようになる」とミーシャ監督が明言した通りである。(詳しくは前回のコラムを参照して下さい)小島選手は「監督から言われた事を常に練習で意識をしている。言われ続けて、無意識に動けるようになった。最初の頃は、足を伸ばしてプレーしていたから、直ぐに動けるように『仁王立ちするな!』とかGKからボールを受ける時に『身体を半身にしろ!』とか、監督から言われましたね。言われる数が減って来てるのは上達した証拠ですかね!?」と笑った。
身体を半身にする事で視野が広くなり、確実にプレーの質が上がった。小島選手は「攻撃では、1人でかわせるタイプで無いから、常に周りの動きを意識して、ボールを捌きたいんです。そのためには、ボールが来る事を想定して、周りを見て、次に何処にパスをだしたら・・・。その次は?とイメージしてます。守備の時は、バランスを考えてDFラインに入るけど、攻撃に人数をかけているから、奪われてカウンターが多くなる。まず、相手のプレーを遅らす事を考えています」と話してくれた。攻撃の組み立ては、常にワンタッチで前を向いて、パスを出しスペースに走り込む。守備は、直ぐに飛び込まず、ファーストDFで相手のプレーを遅らす。小島選手は、ゲーム形式の練習の中からゲームの流れを読む事を常に考えて取り組んでいる。
最近の小島選手に対して、ベテランの坪井慶介選手は「落ち着いてるよね!細そうに見えて意外と球際が強いし、状況判断が良くなってきている。僕には無い攻撃のセンスは羨ましい。ミスを恐れずに思い切ってプレーして欲しい。後ろで僕が相手の攻撃を止めるから、安心して攻撃して欲しいなぁ」と心強いエールを送る。そんな小島選手に理想とするフットボールプレーヤーを尋ねてみると、「今回のユーロでイタリアのサッカーが変わって、素晴らしい。スペインの攻撃のアイデアを読んだデロッシも凄い。でも、前にボールを運んで、一発のパスで打開出来るピルロ!攻撃の起点となるピルロみたいな選手になりたい」と目を輝かせながら教えてくれた。
イタリア代表のピルロ選手のようになる為には、試合に出て実戦経験を積みたい。それには、阿部勇樹選手と鈴木啓太選手を超えて行かなければならない。「阿部さんも啓太さんも、危険察知能力が凄い。周りが見えているって感じます。2人の危険察知能力を盗みたいです。監督からの2人の信頼度は厚いし、その中に食い込んで行くには、練習でアピールしか無いんです。自分の所で安定したプレーを出したいですね。100%とは行かないけど、せめて80%ぐらい。プレーの波を失くしたいです」と小島選手は身を引き締めて話した。
練習から高い意識で取り組んでいる小島選手なら、フィールドの中央でゲームの流れを読み、的確な判断力を持ってインテリジェンスなプレーを魅せる「浦和のピルロ」と呼ばれる時が、いずれやって来るだろう。ゲームの流れを読む力を小島選手は持っている。今は、小さな力かも知れないが、やがて大きな力になり、必ず花開く。