浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.132 (4/5)

全北現代に悔しい敗戦。来週のアウェーでこの借りを返す!

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末は、リーグ戦第4節のアルビレックス新潟戦でした。新潟といえば、田中達也が新たな挑戦の場と選んだチームということで、彼もスタメンに名を連ねていました。試合前の選手紹介でも、多くのサポーターが彼に対して拍手を送っていました。OBに対してはブーイングで応えることが多いレッズサポーターですが、達也に対しては、特別な応えだったというのは、彼がそれだけ特別な貢献をした選手という表れだったと思います。敵にした達也は怖かったですね。幾度とチャンスを作られましたが、ゴールは決められず、安心しました。

豊田:早い時間帯に先制したためにかえって消極的になり、ラインが下がったりしないかと気を揉みました。田中達也を中心にした新潟の攻めには気迫があってボール保持の時間帯も短くなりましたが、ここで追いつかれてドローにはまり込まないあたりがレッズ成長の証と思います。

椛沢:試合は終始、新潟ペースで進みましたね。浦和はパスを全く繋ぐことが出来ず本来の浦和のサッカーは全く出来なかったといってもいいと思います。そんな中でも早々にセットプレーから槙野がヘディングで先制。ロスタイムにはマルシオがクラブ通産1000ゴール目となるメモリアルゴールを決めて2-0の勝利となりました。

豊田:新潟は守りのポイントを抑えていたし、達也ばかりでなく相当にこの浦和戦をピークにコンディションを上げてきていたと思う。後ろでタイミングを計るボール回しができない分だけ、ロングフィードから前線で競るしか手がなくなり結果的に拾われる……という苦しい時間帯が長かった。達也からブルーノ・ロペスに渡った瞬間はヒヤッとしたな。決められていたらひっくり返されていた可能性が高かったのでは? あの後、危険な場所に次々と現われて火消しに走る阿部ちゃんや交代出場でもキッチリ守りを固めた那須大亮選手以下の守備陣の健闘には拍手を贈りたいです。

椛沢:自分たちのサッカーをやらせてもらえない中で勝ち取った勝ち点3は大きい意味を持ちますよね。そして水曜日は、ACL全北現代戦。2007年に優勝した際も対戦をした韓国の強豪チームが相手でした。こちらは新潟戦とは真逆に内容で上回って勝負で負けたという印象です。日中までは強い雨が降り注ぎ、試合時間には雨はやみましたが、強風がスタジアムを吹きさらしていました。その平日の中、多くのサポーターがアジアに浦和を示そうとスタジアムに集まりました。前半は、原口が早々に先制点を決めて、流れを掴み、レッズのサッカーに対応できない全北に対して、何度となく決定機を作りました。素晴らしい内容の前半だったと思います。しかし、決定機を決め切れなかったことが、自分たちの首を絞めることになりました。1点リードをして折り返しましたが、全北に逆にやれるぞという隙を与えてしまったのだと思います。後半は全北がギアを上げて、さらにレッズ対策も施してきて、3点を決めて逆転。後半は成す術なしという展開でした。

豊田:前半13分、最後尾GK加藤の足もとにまで全州の布陣をひきつけた後のカウンターで平川が右サイドを破り、原口スルーでマルシオがグラウンダーで狙ったチャンス。あの場面がとりわけ悔やまれますね。レッズはいちばんやりたかった形を決められなかった。逆に全州は切り札のイ・ドングが落としたボールを狙う思惑通りのセットプレーから同点に追いついた。韓国相手にこの流れ……ツケは致命的なものになって返って来ます。

椛沢:試合の運び方、駆け引きは確実に相手が上でしたね。

豊田:いかにも韓国らしい試合運びをレッズサイドが引き出してしまった印象です。これは85年や97年のW杯予選で日本代表が味わってきた対韓国敗戦のコピー版。駆け引きや「いなす」プレー、心理戦に長けた韓国流サッカーがいたる所に詰め込まれた45分間でした。MFのソ・サンミンあたりは盛んにやっていましたが、イエローを出されるスレスレの遅延行為まがいの動きや執拗なコンタクト……ある時間帯からレフェリーの判断基準を見定めるプレーを連発するんです。で、全員でそれを見極めると「ファールをもらう動き」に切り替えてくる。

椛沢:そうでしたね。

豊田:これをやられるとジャッジに対するストレスが増すし、ホイッスルの連続で攻守のリズムは確実に壊されてしまう。「レッズは安易にFKを与えすぎた」という戦評がメディア上に溢れていますが、これこそが全州サッカーの真骨頂。ACLの常連で揉まれて来た相手が狙っていた必然の結末ということです。それにしてもね……本来的な技術や戦術差よりも駆け引きで遅れを取った感が強いだけに、悔しさ倍増の敗戦です。

椛沢:アジアの舞台では試合内容ではなく、如何に勝負に勝つかが求められるということですね。その部分をレッズはもう少しレベルアップしていかないといけない。

豊田:失点場面に関して言えばミドルレンジのシュートコースを空けすぎたと思う。要注意の駒のマンマークに気をとられるあまり、ボールホルダーのシュートコースの監視が疎かになりました。Jリーグを見ていても「繋ぐサッカー」の隆盛を感じますが、アジアの舞台に出てくる各国チームにとってはあそこはシュートレンジ。枠に収めて来る技術も持っていますから。

椛沢:ホームゲームとしては非常に残念な試合ですね。そして、来週のアウェー全北現代戦が、グループリーグ突破をかけて勝利が求められる重要な試合になりました。韓国のアウェーゲームでこの試合の悔しさを如何にぶつけられるか。熱い試合を期待したいです。

豊田:ACLに関して言えば、今回の出場までレッズはガンバ大阪に対してしか事実上の敗戦は喫していなかった。他国のアジア勢に対して無敗だったわけです。このまま無抵抗のように消えてしまえば「レッズ恐れるに足らず、日本勢組みやすし」の印象を各国に与えてしまう。JのためにもURAWAは意地を見せなくてはなりません。あの07年の全州スタジアムでスタンドの戦術の醍醐味を見せたレッズサポーターですからね。あの夜に客席に居合わせた全州ファンは「日本のサッカーファンにここまでしてやられたことは初めてだ」とためらいなく口にした。あのスタジアムは、私たちにとってはただのアウェーの地ではない。ここは編集長としても望むところの出番でしょう? 私も現地取材に加わらせてもらいますが、レッズゴール裏の健闘を信じています。

椛沢:了解です。ライバル国・韓国には負けられないという気持ちを多くのサポーターが持っての韓国アウェー戦だと思います。気持ちを高めて挑みましょう。そして週末にはジュビロ磐田戦です。こちらは好調を維持して、現在2位。まずはACLでの惨敗を晴らす試合をホーム埼玉スタジアムで見せてもらいたいと思います。

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