浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】柏木「チームとしてこれが一番のやり方だと実感した」2015ヤマザキナビスコカップ準々決勝第2戦・新潟戦<柏木、森脇、大谷、高木、阿部、ペトロヴィッチ監督コメントあり>(2015/9/7)

今日のポイント!「気迫を見せた柏木選手」

前半は、シャドーでプレーして新潟の守備を打ち破る打開策を必死に模索し、後半はボランチの位置で攻守に渡る気迫が籠ったプレーを見せた柏木陽介選手だ。

試合後、柏木選手は「前半は、上手く行かない部分が多かった。後半、球際も勝てて行けそうな感じがした。今日みたいな試合が出来れば、どの相手にも上回れる気はする。やっぱりうちの強さは、前からの守備で、そこから2次攻撃、3次攻撃へと行ける。チームとしてこれが一番のやり方だと実感した。突破できなくても、5点差をひっくり返す試合がしたかった。でも、これが次に繋がると思う。雨の中で応援してくれた人たちに対して希望の光を見せられた」と手応えを掴んだようだ。

「前半、前に行っても後ろが着いて来てない状況だったから、後半は後ろに下がったり、前に出たりバランスが取れてボール回しの関係性が良くなった。もう少し良いパスの供給もしたかった。危ないシーンにも顔を出せたし、しんどかったけど、これがベース」ともっとハードワークして行く姿勢を見せていた。

試合前に柏木選手は「応援してくれるみんなに失礼な試合をした。勝ちに行く試合をみせないといけない。応援してくれる人の気持ち、支えてくれるスタッフの気持ち、自分たちの気持ちを籠める」と話していた通り、5点のビハインドを跳ね返すために気持ちを見せて闘い、この先の闘いに希望の光を灯してくれた。

3得点も第1戦のビハインドを引っ繰り返せず、ナビスコカップは準々決勝で敗退

Jリーグヤマザキナビスコカップ準々決勝第1戦、アウェイの新潟で0-5と惨敗した浦和は、準々決勝突破に向けて6-0で勝利するか、5-0で延長に持ち込むかの、ほんの僅かな可能性に掛ける。それだけでなく、リーグ戦の横浜FM戦から2試合で9失点した敗戦を踏まえて男の意地を見せたい。シトシトと降る雨の中、最後の笛が鳴るまで諦めない姿勢、心を熱くさせるものを求めて浦和を愛する人々が集結した。その思いにピッチで応えるべき浦和の選手たちは燃えた。

ホームに新潟を迎えた第2戦、浦和は第1戦目から永田充選手に代えて那須大亮選手、平川忠亮選手に代えて関根貴大選手、李忠亮選手に代えて高木俊幸選手と4選手を代え、41-3-1の攻撃的システムで挑んだ。このシステムは、リーグ戦でボランチの阿部勇樹選手がDFラインに下がり両ストッパーの槙野智章選手や森脇良太選手が高いポジションを取る攻撃の形であった。

浦和は、試合開始直後から攻撃的にサイドに数的優位をつくりながら仕掛けて行った。一方、大勝して2戦目を有利に進めることが出来る新潟は、第1戦目と同じメンバーであった。第1戦で得た5点リードの新潟は、守備意識が高くマンツーマン気味のDFからカウンターを狙っていた。

浦和は、ボールをポゼッションしながら攻撃のチャンスを狙うが、なかなか前線にボールが収まらなかった。11分には、ワンボランチの青木拓矢選手からサイドチェンジを受けた梅崎司選手が低めの早いクロスをゴール前に送り込んだが、飛び込んだ武藤雄樹選手と関根貴大選手には僅かに合わなかった。

森脇良太選手は「前半に1、2点獲りたかった。監督から高い位置を取って、ローテーションでサイド崩して行くように言われていた。高めのポジションをキープして攻撃的に行った。アグレッシブに行ったけどカウンターからピンチになった」と話した。

14分、前線の指宿洋史選手にボールが収まり、指宿選手からパスを受けた山本康弘選手が右足を振り抜きゴールを狙うが、大谷幸輝選手が何とか触りゴールを死守した。15分には、CK崩れから零れ球を拾われて展開されると大井健太郎選手が放った右足ボレーシュートがクロスバーに直撃!安堵のため息がスタジアムを包み込んだ。

大谷選手は「失点は絶対にしちゃダメ!アウェイゴールがあるから取られたら終わると思っていた。4DFだったけど、3DFの時と変わらず前線からの守備なので自分はDFラインの意識を持っていた。前回がボロカスにやられた後だったから、気持ち的にね」と話しリスクマネジメントの意識を高く持っていた。

19分、武藤選手からペナルティーアーク付近でパスを受けた高木選手が、タイミング良く梅崎選手へとスルーパスを送り、梅崎選手が左足で倒れ込みながらシュートを放つが守田達弥選手に冷静にキャッチされてしまった。浦和が前半に放ったシュートは、この梅崎選手の1本のみであった。

浦和は、流動的に動いて新潟のマークを外して攻撃の糸口を見つけたいところであったが、ボールは保持するものの今1つ噛み合わずに苦しい闘いとなってしまった。逆に新潟は、31分、GKから一気の前線の指宿選手へとロングパスが通りシュート、その1分後にも指宿選手のこぼれ球を山崎亮平選手がフリーで右足シュートと立て続けに決定機を作られるが、いずれも枠を捉えることが出来なかった。

高木選手は「前でボールが落ち着かず、前にボールが入った時に、次のパス出しが見つからず、パスを受けても相手のマークがタイトに着かれてしまい上手く打開するのが難しかった。後ろで回しても相手のプレスを剥がすことが出来ずに距離が遠かった」と前半を振り返った。

柳下監督は「森脇が高い位置を取り、青木が外に開くことをうちとやるときは、やって来る。レオは経験済みだった。動かされてからでは遅いので、レオが出て対応した。浦和が嫌らしいところの出て来ていたがリカバーし、前半は良かった」と満足そうに話した。ボールを保持しながらも相手を崩しきれず、カウンターから新潟に決定機を作られたが0-0で前半を折り返した。

新潟がケアしていた外に開くポジションを取っていた青木選手に代えて、李忠成選手を後半から起用して攻撃の起点を変えて挑んだ。すると、前線にボールが収まり攻撃にリズムが生まれ始めた。

高木選手は「チュン君の存在が後半入って来て大きかった。あれだけボールが収まると攻撃の起点になる」と話し、関根選手は「最終ラインに落ちないポジションを取りだった。1失点したらゲームを崩してしまう。その中で行くところと行かないところのバランスが難しかった。相手が前半で外してくれた分、後半に流れが来た」と話した。

50分、李選手がDFを交わしてドリブルで右サイドへと流れ、森脇選手へと落とし、森脇選手のパスを拾った武藤選手が切れ込みシュート!攻撃の形が出来始め、タッチライン際や球際に対して気迫の籠ったプレーが見えた。そして55分、高木選手の左CKをニアに走り込んだ阿部選手が右足のヒールでファーへ送り込むようなボールが右ポストに当り、GK守田選手が思わず見送る形でゴールへと吸い込まれて行った。

阿部選手は「今日は、5点獲らないと振り出しに戻らないし、全部が前だと失点してしまう。前回は、チームのバランスを含めて闘えなかった。その試合で足りなかったのは、球際だったり、運動量だった。今日みたいな闘いは、自分たちがやって来た原点だった。今日のようなプレーをリーグや天皇杯で続けていきたい。この結果があったからと、この先に言えるようにしていきたい」と話した。

浦和に、待望のゴールが生まれると新潟は、すぐに小林裕紀選手から大野和成選手を投入して5DFへとシステムを変えて守備固めに入った。しかし、浦和の勢いは止まらなかった。

柏木陽介選手からパスを受けた梅崎選手がドリブルで仕掛けてエリア内に進入するもDFに当り、そのこぼれ球を勢いよく掛け上がった宇賀神友弥選手がその勢いのままゴール前に走り込んだ李選手へ、李選手がインサイドキックで綺麗に合わせて2-0とした。

64分、山崎選手のクロスに指宿選手が飛び込みシュートを放つが、大谷選手が好セーブを見せた。「正直、正面に飛んで来ただけです。移動して構えたらシュートが来た」と少し照れながら話していた。

新潟にアウェイゴールを与えずに、あと3得点必要であった。勢いづいた浦和は、阿部勇樹選手が武藤選手へとボールを預けてエリア内へと走り込み、武藤選手からパスを受けた李選手が身体を張りながら走り込んだ阿部選手へとパス繋いだ。その瞬間、後方から成岡翔選手が阿部選手を止めに入りPKを獲得。阿部選手がGK守田選手の動きを冷静に見てしっかりと決めて3点目を叩き出した。ファールを犯した成岡選手にはカードも出ず、ミシャ監督は猛抗議をしたが認められなかった。

試合後の記者会見でミシャ監督は「41年間、プロサッカーをして来て、後ろから明らかに倒されたPKのシーンでイエローカードすら出なかった。レッドで相手が10人になっていてもおかしくない。1人多い形でゲームが進められた」と怒りが収まらないようであった。
だが、ミシャ監督は冷静になり「レフリーの判定が、ナビスコカップの敗退の言い訳にはならない。アウェイで失点を重ねて、クラブに損害を与え、サポーターにも本当に申し訳なかった」と謝罪した。

あと2ゴールを目指し、浦和は攻め続けた。76分には、柏木選手が左に流れてクロスを上げるがDFがクリア。そのこぼれ球を関根選手がボレーシュートを放ち、ゴール前で武藤選手がコースを変えるも枠を捉えることが出来なかった。そして浦和は、高木選手に代えて平川忠亮選手、関根選手に代えて橋本和選手と一気に2枚代えでサイド攻撃の活性化を図った。アディショナルタイムは4分。90+1分には、森脇選手からのアーリークロスを武藤選手が落とし、宇賀神選手がシュートを放つがGKががっちりと押さえられてしまった。

最後の笛が鳴るまで攻め続けた浦和であったが、5点のビハインドを返すことが出来ず、3-0で勝利したもののナビスコカップ敗退となってしまった。

しかし、最後まで諦めずに闘った姿勢にスタジアムからは温かい拍手が巻き起こった。ナビスコカップは、敗退したがリーグ戦に繋がる確かな手応えがあった。

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