浦和フットボール通信

MENU

浦和レッズ2013ライブディスカッション 「直輝の復活。元気の覚醒が優勝争いの原動力になる」

SHI_3428

レッズ密着取材を続ける河合貴子氏に、本誌・椛沢編集長が浦和レッズの現状や選手達の思いを毎月訊く「レッズ2013月刊ライブディスカッション」。残り試合、最後に笑うためのキーポイント、キープレイヤーは誰か、河合さんにお話を訊いた。(浦和フットボール通信編集部)

夏場に大車輪の活躍をみせた柏木陽介に変化が見える

椛沢:夏場の試合で、特に目立っていた選手としては、柏木選手。彼の最近の活躍は目覚しいものがある。ピッチでのプレーを見ていても、試合後のコメントを読んでも、彼自身のメンタルにも変化があったのではないかと思うんですが、そのあたりの変化を身近に取材をしていて、感じますか?

河合:陽介は動き回って守備も頑張っているよね。この夏の陽介はすごく良かった。苦しいのに頑張って守備をしてくれたというシーンが多くあった。変化については、人の見方だと思う。陽介は浦和に馴染むまでに時間が掛かって、それまでに「広島に帰れよ」などと厳しいことを言われたりもしたけど、今年もどこも変わっていないと思う。みんなが柏木を認めてくれるようになったんじゃないかな?今季も一時、落ち込んでいて、それを乗り越えたところもある。相手にブロックを作られた時に、それでも無理にボールを入れて、周りからも厳しい言葉を言われたけども、今は、縦にボールを入れることも、我慢するようになった。サポーターが、後ろでボールを回すことに文句を言う人が少なくなったこともあるんじゃないかな。その雰囲気があるから、無理に縦に入れなくても良いんだと言えるようになった。皆が変わったんだと思うよ。皆が変わってくれたから、陽介も伸び伸びとプレー出来るようになったんじゃないかな。

KAZ_3967

椛沢:体調管理も今以上にしていたという話ですね。

河合:それは、前からしていたこと。それも変わらない。以前は認められたい、良いプレーをしなきゃいけないという周りからのプレッシャーがあった。それで無理なプレーをして、自分で自分の首を絞めていたけども、そこで無理しないで行こうと思えるようになってきた。これまでは早く縦パスを入れろよという雰囲気がスタジアムにもあったと思う。

椛沢:今も点を取られた時に、スタジアム全体が、そのような雰囲気になってしまうことがありますよね。それがチーム全体の焦りに繋がっていると感じることもありますから、サポーターも含めて我慢することを覚えないといけないのかもしれません。

終盤戦は、直輝と元気の活躍に期待。

椛沢:直輝はようやく戻ってきましたが、また怪我で離脱してしまいました。しかし、復帰してから、途中交代ながら起用される場面が数多くあり、ミシャにかなり期待されているんだなと思いました。

河合:このタイミングで直輝使うの?ということもあったくらい期待されていると思う。直輝自身は、「ミシャさんのサッカーは練習からずっと見ていたからイメージは出来ている」と言っている。それで体現できてしまうところは、彼のサッカー指数は高いという証明なのかもしれない。でも怪我をしてしまったのが残念。怪我は肉離れで一ヶ月くらい。もう今日は走っていたので、復帰は遠くはないと思います。

椛沢:ヒールパスをした時に怪我をしたそうですね。

河合:川久保先生が言っていたけども、ジャンプをする時など、筋肉を伸ばした後に逆の動きをする時にハムストリングを痛めることが多いと。まさにその状況だったんだと思います。

椛沢:サポーターとしても直輝がいてくれると、頼りどころが出来るので応援がしやすい。終盤戦にまた戻ってくると貴重な戦力になると思います。

河合:私的には、まだ頼りにならないな(苦笑)。直輝にみんな甘いから(笑)もっともっと伸びてもらわないといけない選手。

椛沢:元気は、なかなかうまくいきませんね。ミシャに相当指示を受けていて、本人も迷っている所があるようですが、ミシャが口うるさく言うのは、期待をしているからだとメディアから発信もされていましたね。

河合:ミシャは、元気自身にもそう伝えています。ドリブルをするなとは言われていないけども、自分で持っていった時に良いタイミングで出せるのに、出さずに強引にいこうとした時には怒られている。今日の練習でもトップにボールが入らずに、下がってボールを受けて次の展開に持っていく時にカットをされて、そうしたらミシャがフリーズをかけて、元気はもっと前にいろと指示を出していました。我慢をしすぎていて、自分のタイミングや自分の得意とするプレーが出ていないこともあるとは思います。

KAZ_3654

椛沢:プレーを見ていても、ドリブルを使うところとパスを出すところの判断に迷いが見えます。元気の良さが消えている気がします。

河合:元気が苦しくなる前に、もっと皆が動いてフリーで顔を出してあげるなり、顔を出すプレーをしてあげれば、彼が生きると思う。

椛沢:新潟戦では、途中交代で入ってきて、ドリブルで打開をして、シュートを打ったシーンがありましたが、あれで試合の流れは変わったと思います。そういう意味でも今のチームの中で打開力という力を持っている彼の存在は大きいと思います。

河合:あのようなプレーをされると相手ディフェンダーは警戒をするからね。新潟戦の前に、元気が話していたのは、「今は感情を良くも悪くも抑えていて、おとなし過ぎるかもしれない。爆発する感情、激しい感情が出た時に、自分らしいプレーができる。その感情を抑えてしまっている。そこは我慢をしないで、自分の感情とチームを考えてやりたい」と。気持ちを抑えて冷静にプレーすることも大事だけど、元気の俺がやるんだー!という気持ちを出す部分も必要なんだと思います。

椛沢:東アジア決勝での元気が縦にドリブルを仕掛けて決勝点を演出したプレーは元気らしいなと思いましたけどね。あのプレーが出来る日本人はあまりいないと思います。

河合:あの試合では、あのプレーしか出来なかったけどね(笑)。元気も気持ちは沸々と出てくるもんだと話をしていた。やるところ、やらないところというコントロールと使い分けの判断力がまだ出来ていない。出来るための選手としての壁なんだと思う。それが絶対に出来るようになる。うまく判断をして、自分でいけるところと、周りが生かしてくれるところがもっと元気はできるようになる。そうなればもっと凄い選手になる。その時は海外に行っちゃうかもしれない。私は、それでも良いと思う。今季でも、元気の気持ちが爆発した試合があったと思うけど、どの試合だと思う?

椛沢:長居でのセレッソ戦ですか?

河合:正解。あの試合の前日。「俺はやるから!」と宣言をしていった。肝臓を傷めてサッカーが出来ない時期が続いて、うずうずする中で、試合に出場をして、あのドリブル突破からのゴールが出た。あの使い分けが出来るようになったら、世界で通用する選手になると思う。ただ、今は苦労をしている。

椛沢:どのようにすれば、その判断力はついてくるのでしょうね。

河合:練習などで、自分の中で何度も何度もチャレンジしてみること、もしくは柱谷哲二方式で自分のプレーをビデオテープが切れるまで繰り返して見て、どういうプレーが良くて、どういうプレーがダメで、相手がどうだったか、味方の位置はどうか。どこの判断が間違っていたのか。なぜ取られたのか、自分のプレーを検証必要があるのかもしれない」。

椛沢:単純に考えると、自陣の深いところで受けて、ドリブルを仕掛けて相手にボールを奪われると大ピンチになりますが、バイタルエリアの近くで仕掛ける分にはリスクも少ないので、エリアで仕掛けどころの考えるというやり方もあるのではないかと思います。

河合:一番、相手のディフェンダーが嫌なのはペナルティエリアで仕掛けられることだからね。あとは縦と横の使い分け方。中に切り込んでシュート。そうすると相手は中をケアしてくるから、そうしたら逆で、縦に行く。中を見せて縦に行くと、元気がボールを持った時にどっちに来るのかと惑わせることができる。

リーグ戦、残り10試合

椛沢:早いもので、リーグ戦も残り10試合になってきました。FC東京戦からスタートを切りますが、大宮、鹿島、川崎と難敵揃いの終盤戦になります。(取材日がナビスコ準決勝1st川崎戦前でした)

河合:まずはナビスコカップのタイトルを獲りたい。これを獲って弾みをつけて、リーグタイトルを獲りたい。狙うは三冠だから。ミシャさんのサッカーは花が咲くと言って来たけども、今季それを果たしたい。

椛沢:まだ、花がすごく咲く時と、咲かない試合があります……。

河合:相手も咲かせないようにしてくるから。どうそれを対応するかということが鍵になってくる。その対策に対して、さらに相手も策を練ってくるわけで、そこにサッカーの楽しみがありますね。ミシャさんはあくまでも自分たちのサッカーは変えない、という話もしているので、基本のやり方を変えないけども、徐々にオプションを提供していると思う。残り10試合では、鹿島は嫌な相手になってくると思う。

KAZ_4001

椛沢:サポーターも鹿島戦が山場だと思っていて、2003年以来の4000人バスツアーをやるという話をしています。

河合:すごく良い企画だと思う。あとは、大宮にも勝たせて頂きますよ。対戦成績が前回の対戦で抜かれたから、次の対戦で、勝利して五分に戻す!ナビスコの決勝ではマリノスと当たりたい。リーグ戦でボコボコにやられているから、それを乗り越えるために、戦いたい。

椛沢:終盤戦に向けての課題としては、前半戦は失点が少なかったけれども、ここにきて守備に綻びも見えてきています。

河合:槙野が攻撃に参加した時に、ボールの失い方が悪くてバランスを崩した時の緩さ。そこのリスクマネジメントが良く出来ていないことが、目にはつく。失点はチーム全体の責任だからね。あとは、夏の暑さで戻りきれないということもある。良い守備から良い攻撃が生まれるわけだから。それをナビスコのフロンターレ戦で、証明したい。これが出ている時には結果が出ていると思うので、皆さん検証をしてください。

椛沢:現在は、首位と勝ち点差1の2位。上位のチームを見ても横浜、広島、鹿島と、どこも実力は拮抗しています。

河合:ミシャさんも世界中を見回しても力がこれだけ拮抗しているリーグは稀だと言っていた。

椛沢:そう考えてもチャンスはあるということですね。

河合:このチャンスは絶対に物にしよう!

椛沢:次のライブディスカッションでは、どんな状況になっているか楽しみですね。優勝が近付いていることを願いたいと思います。

(2013年8月末 さいたま市内にて)

ページ先頭へ