浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「赤き輝きを抱いて~矢島慎也選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

プロ初ゴールも満足せず。サッカー小僧の真骨頂、矢島慎也の思い。

実に8年ぶりとなる大量得点で鳥栖に快勝し、歓喜に酔いしれたこの日、そのダメ押しの6ゴール目を決めたのは、矢島慎也選手であった。試合終了間際、DFとGKの間を狙った森脇良太選手のクロスに中央で興梠慎三選手がDFを引きつけている隙に、ファーサイドから身体を投げ出して矢島選手がヘッドで飛び込みゴールネットを揺らした。矢島選手にとって、記念すべきプロ初ゴールとなった。矢島選手は、アシストしてくれた森脇選手に満面の笑みを浮かべて嬉しそうに抱きつき、その後は槙野智章選手と森脇選手に挟まれて照れくさそうにしていた。

試合後に森脇選手は「最初は、時間も時間だったからボールキープを考えたんだけど、咄嗟にこれでは終わらないだろうって思い、中を見たらあいていたんで、そこに良いボールを流し込めばと思ってやった。慎也の初ゴールに僕が絡めたのが嬉しくって、初ゴールか?初ゴールか?って何度も聞いていたのに、僕の問いにも答えてくれなかったが、嬉しかった。慎也の入り方が良かったし、良く枠におさめたくれた。練習から慎也は良いシュートとか、積極性を出してくれているので、練習の成果が今日は出たと思う。若手が試合に出て結果を出してくれると嬉しい」と自分が初ゴールを決めたかのように喜んだ。

しかし、周りの反応とは裏腹に、矢島選手本人は「嬉しいですが・・・。ヘディングで初ゴールを決めると思っていなかった。ビックリしました。結果を出せた事は良かったけど・・・。簡単じゃない」と何処か不満げな表情を浮かべていた。

今シーズンのリーグ戦で初スタメンとなったセレッソ大阪戦後に矢島選手は「昨年よりは、出来ているイメージがあるし、周りが見えている。慣れて来たのかなぁ・・・。セレッソ戦では相手DFとボランチの間で走れていて結構良かったんだけど、ペナルティーエリアの中で仕事が出来ず、ゴールに直結出来なかった。原口君と交代して、原口君が直ぐにゴールを決めて悔しかった。僕には真似が出来ない」と矢島選手と交代した原口元気選手が、短いプレー時間の中で結果を出した事を悔しがっていた。その原口選手に代わって、同じくプレー時間が短い中でゴールを矢島選手は、鳥栖戦で決めたのだ。ならば、もっと喜んでも良い筈なのに、矢島選手からは喜びを感じられなかった。

そして、矢島選手は口を尖らせて「だって、原口君も1点獲っている」と言ったのだ。「今の所、実力は原口君の方が上だから、セレッソ戦でそれを見せ付けられた感があった。悔しかった。サッカーは、負けず嫌いじゃないとやっていけない。原口君に出来て、俺に出来ない事は、他の所で勝たないといけない。ドリブルは原口君に勝てる人はいないと思う。シュートとか、動き出しの質とか、ポジショニングやファーストタッチの精度とか、練習すれば追い抜ける。簡単な壁ではないけど・・・。簡単な壁を越えても面白くない。上手くなりたい!」と矢島選手は心の思いを話した。矢島選手の負けん気の強さに心が熱くなり嬉しくなった。これこそ、正に浦和魂である。

矢島選手には、スペースを使う動きやパスのセンスなど輝く物があると思う。矢島選手は、パスを出す時に、好きな選手のプレーを真似してやっているそうだ。「シルバやセスクのスピードで無い、ボールタッチやドリブルで運んで行く感じのプレーを何度も何度も見る。その究極のプレーがイニエスタ。一番好きなのが、シルバ!シルバが試合でやった事をイメージしてやってる。ゴールに直結するプレーが大事で、意外性のあるシュートとか、それを手助けするパスとか、考えたら切りがない」と矢島選手は目を輝かせた。お気に入りはシルバ選手が真ん中でパスを受けて、3人のDFが来た所をボールキープして、最後は左足のアウトでゴールを決めるシーンだそうだ。矢島選手の頭の中には世界的名プレーが叩き込まれていた。

そして矢島選手は「自分は、ゴールもアシストも好き。ただ、自分が納得いくパスでゴールが決まった時は、アシストだと思うが、パス出した相手が上手くてゴールが決まったら、それはアシストでは無いと思う」と言い切った。昨シーズン、柏戦でのポポ選手の逆転ゴールをアシストしたシーンを「記録の中ではアシストだが、あれは頭で自分は逸らす事しか出来なかった。自分の中では納得出来ない。納得出来るプレーがしたい。そこに近づきたい」と真っ直ぐに前を見つめて「以前は、強いチームで海外でやりたいって思っていたが、今はレッズで何も出来てないから、もっとここで上手くなりたい。もっと上手くなれると思う。納得した形で壁を越えていきたい」と矢島選手は話した。

浦和で生まれ、浦和で育った矢島選手の中に、今はまだ小さな輝きなのかも知れないが、浦和魂の赤く輝くものがあった。小さいけれど、その眩い輝きは誰にも負けない、確かな強い光を放っていた。赤き輝きを心に抱き、矢島選手は理想を追い求めてピッチを走る。

Q. 捻挫の治療は?

A. 治療法としては、早く冷やして固定してあげる事です。足も着けないぐらい酷い場合は、ギブスをしますが、ギブスをすると体重がかけられないので、テーピングで固定します。今は、1~2週間ほど固定したら、早期運動療法と言って足首を動かしながら治していきます。痛みが取れて、腫れがひいたら軽くジョギングを始めます。捻挫が3度の場合で、確実に治すために手術で靱帯を縫う場合もあります。子供の場合は、骨が軟らかいので、靱帯と一緒に薄く骨が剥がれる事があり、成長と共に骨が大きくなってしまいます。何事も最初の治療が重要です。たかが捻挫、されど捻挫です。

川久保誠 profile

1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科クリニック
整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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