浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「タフマン~森脇良太選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

磐田戦のアディショナルタイムに気持ちで決めた決勝点に、森脇選手のタフさを見た

優勝戦線に踏み止まるためにも、3連敗は絶対に許されない。そんな中での磐田戦は、連携も悪く単純なミスに繋がりリズムが出なかった。焦りからなのか、蒸し暑さからなのか判断が鈍り、しっかりとブロックを形成している磐田を打開することが出来ずに、嫌な形でボールを奪われカウンターの脅威にさらされた。後半19分、右サイドを駆け上がって来た駒野友一選手のシュートが決まり先制をされると、試合はますます難しい展開へ追い込まれてしまった。

後半38分、槙野智章選手から、逆サイドの平川忠亮選手に良い形でボールが渡ると、平川選手は右足でシュートを狙うつもりがコントロールが大きくなり、シュートぎみのクロスにゴール前の混戦の中でマルシオ・リシャルデス選手が、身体を投げ出してゴールに押し込み同点に追いついた。ラッキーなゴールであった。試合後の記者会見で、ミシャ監督が「今日は、勝利しましたが、妥当な結果だとは考えていない。引き分けが、妥当な結果だった」と険しい表情で話すほどの試合展開であった。

引き分けの展開から勝利を呼び込んだのは、森脇良太選手であった。アディショナルタイム4分と表示された中、時計の針は無情にも刻々と過ぎて行く。選手交代で右のストッパーから左のサイドにポジションチェンジしていた森脇選手は、最後の渾身の力をふり絞り右足を振り抜いたのだ。勝利への気持ちが籠った森脇選手のシュートは、ブロックに入った駒野選手のひざに当りに弧を描くようにゴールに吸い込まれて行った。その瞬間、勝利を確信した森脇選手はゴール裏に走り、拳を握り、胸を張って勝利の雄叫びを上げた。決して華麗なゴールでは無かったが、最後まで諦めない気持で生まれたラッキーゴールであった。

試合後、森脇選手は「勝てて良かったです。ホッとしている。『勝利を目指して最後まで闘うんだ』と言う、強い気持が最後のゴールを生んでくれた」と嬉しそうに話した。試合後、大勢の記者達に囲まれている森脇選手にからかうように「あれは、オウンゴールだからなぁ!」と声をかける那須大亮選手の顔も笑みが零れていた。

普段から、明るく、声が大きい森脇選手は、チームメイトから「モリ、ウザ」「モリ、顔デカ」などと弄られキャラでお馴染である。弄られキャラとは、余り良いイメージで無いが、森脇選手の場合は、傍から見て居るとチームメイトから信頼があり、愛情が溢れていることが分かる。弄られキャラの存在はチームをリラックスさせてくれて、ムードを明るくしてくれる。お調子者と思われがちな森脇選手だが、実に神経が細やかで、良く人に気を遣い、気配りが出来る気持ちの優しい選手である。

取材をしていて、何度も同じことを聞かれても、嫌な顔せずにちゃんと向き合って対応もしてくれる。ときどき、気を遣いすぎて空回りしてしまうこともあるようだが、本当に心が温かい。心が温かいと言うだけでなく、森脇選手は、メンタル的にあらゆる意味でタフだと思った。磐田戦で、初の左サイドを途中から任された森脇選手は「正直、マジかよ!」と思ったそうだ。上下運動で身体は悲鳴を上げていて、守備のところでは戻るのがいっぱいいっぱいであったが、タフな精神力で闘っていた。

次節は、首位を走る広島との対決である。思い起せば今シーズンの開幕戦、広島のホームエディオンスタジアムで森脇選手に送られたブーイングの嵐は、必要以上のものを感じた。移籍した選手に対するブーイングは、浦和のファン・サポーターも行うが、そこには何処か選手に対する愛情があった。だが、森脇選手に送られたブーイングは、哀しいことだが憎しみとしか私には感じられなかった。試合後、森脇選手はブーイングの嵐を受けたのにも拘らず、深々と広島のサポーターに頭を下げたのだ。そして「僕自身、広島のサポーターには感謝の思いはある。やりづらかった」と話したが、ボールを持つ度に森脇選手を襲うブーイングの嵐をものともせずに、冷静さを失う事なく強い気持ちで闘ったのだ。

首位の広島との勝ち点は、5差。当たり前の話であるが、勝てば2差に縮まり、負ければ8差に広がる。森脇選手は「広島を独走させる訳にはいかない!古巣が、自分達より上にいるのは、悔しい。順位が下にいるのは、僕自身が招いた結果だ。取り返したい」と闘志を燃やした。

精神的にも、肉体的にもタフでなければ闘えないことを森脇選手は、ピッチの中で見せてくれた。正に、タフな男『タフマン』である。『タフマン』と言えば、「あんたがたタフマン♪」の伊東四郎さん出演のCMでお馴染の、サラリーマン向けの栄養ドリンクであるが、浦和のタフマン森脇選手は、みんなに元気なパワーを届けてくれる。どんな時でも、タフマン森脇!勝利に向って走り出す!

KAZ_7939

Q.ギブスが出来ない肋骨骨折はどうでしょうか?

A.相手のひじが当たったりして肋骨骨折します。症状的には、肋骨の骨折は非常に痛いです。約3週間ぐらいは、咳するだけでも痛みあります。プレーは止めておいた方が良いでしょう。肋骨骨折の場合は、ギブスの代わりにサラシなどを巻いて固定して安静にすると良いでしょう。

1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科クリニック
整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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